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ぐるぐる思考をなくす方法(悩むをやめて、考えるへ)

00:00 OP
01:17 思考とは?
04:58 ぐるぐる思考とは?
09:13 ぐるぐる思考を止めるには

今日は「ぐるぐる思考の止め方」というテーマでお話ししようと思います。

「ぐるぐる思考」は聞いたことあるかな、ないかな。それとも自分が診察室の中で「何かぐるぐるしてる」とかそういう風に訴えたことはありますでしょうか。
もしくは主治医側から「何かずっとグルグルしているね」とか「同じところで悩み続けてるね」と言われたことあるのかなと思います。

日常語として使うかどうかわからないですけど、こういうものを聞いたときに「ああ、あれかな」と思い浮かぶ人は多いんじゃないかなと思います。

今回はぐるぐる思考、悩み続けることをどうやったら止められるのか、それをお話ししようかなと思います。
ぐるぐる思考の止め方というとわかりにくいので、悩むをやめるとか、考える、切り替える、そういうテーマで喋ると理解されやすいのかなと思います。

混沌から考えるとは

そもそもぐるぐるしていない思考とはどういうものなのか、定義付けてみたいなと思います。

世の中というのは混沌としてるんですよね。
ゲームの世界だったらパラメーターとかあるんですけど、僕らが生きている世界は混沌としています。
混沌としている中から問題を出していく。こうなんじゃないか、ということを考えていく。問いを見つける。
問いから混沌とは何かというものの構造や因果を見出すという感じです。

混沌としているとよくわからないので、問いを中心に構造や因果関係、モデルを見いだす。
そしてそこからこうじゃないかと言って仮説検証をしてみる。

難しいね、この言い方。
後で例を出しますのでついてきてください。

仮説検証してみて、決定、行動をする。
これが「考えて行動する」ということだったりします。

これでうまく行くか行かないかに合わせて、また混沌に行くんですね。
また問いを立てて、構造や因果をもう一回自分でデザインし直して、また仮説検証して行動してみる。

考えるというのはこういうことなんですね。
思考とは何かといったら、こういうものを指します。

人生とは何かと言ったときに、混沌としていますよね。それだと何を言ってるかよくわからない。
私ってどういう人なのかと言ったときも、混沌としていて定義しにくいし、説明しにくいですよね。

「私がやりたいことって何ですか?」
「やりたいことって何か」と言っても、混沌としてわからないんですね。
ある程度これに対して自分で決めてあげなきゃいけない。

例えば、人生とはこういうものである。
苦しいことを乗り越えていくものである。
人生とはお金を儲けることである。
楽しいことをやれたほうがいい、とか。
何かをつけて構造や因果を付けたりします。

混沌としているものから補助線を引いて何かを見つけていく、そういう作業をするんですね。
考えるというのは。

普通の仕事やゲームだと、この補助線は誰かが引いてくれてるし、枠ができているんです。
だけど枠がないものがあるんですよね。
枠がないものに関しては自分で枠を作る。
そして枠が正しいか仮説検証してみて行動してみるということをやっていきます。

なかなか難しい作業なんですよ。
小説を作るとか、レポートを作るとか、混沌から何かを見つけ出して、それで形を作って名付けて仮説検証する。まあ、結構難しいことですね。

それが混沌から考えていくということです。

ぐるぐる思考とは?

じゃあ、ぐるぐる思考とは何かというと、この混沌の周りをぐるぐる回っているということです。
あれかな、これかなと言って何も進まない。
進んで問いまで辿りついたと思うと、すぐ引き返しちゃう。違うかもしれない、と。

構造を自分で決定できない感じがぐるぐる思考の本質というか、こういうことを僕だったらイメージするかなと思います。

どうしてこうなっているかというと、混沌としたものから名付けたり問いを見出したりする作業ができないというのが1つ目のパターンかなと思います。

何か構造を見出したとしても行動ができないパターン。
これもぐるぐる思考なのかなと思いますね。
行動ができない、認知を決められない。
こうやって分けることができます。

どうしてここができないのかを考えてみると、精神科の場合はどの病気に当てはまるかということを考えるのも1つなんですよね。

例えば、ぐるぐる思考をよくしてしまう病気は何かなというと、意識障害とか記憶障害と呼ばれるものです。
事故で頭がぼんやりしている、認知症で記憶がなくなってきている、判断力が落ちている、そういうものから来ることがありますよね。
だから混沌としているとかできなかったりする。

あとはうつですね。うつ状態であるときには「思考制止」と言って頭が回らないんです。
頭が回らないから混沌から出せないとかあります。

あとは強迫性障害でこだわってしまって先にいけない。
自分はこうであると思ったら、混沌から新しい秩序を見出せないとかそういうことです。

あとは不安ですね、不安が強いので決められない。
決めると恥をかくんじゃないか、失敗してしまうんじゃないか、という失敗への恐怖から起きている場合。

あとはそもそもこういう混沌から何かを見出すことが苦手。
いわゆる発達障害ですね。
作文が苦手みたいなそういうパターンもなかなかぐるぐる思考が止まらない。難しいのかなと思います。

あとは混沌から問いを見出す知的な問題。
子どもだとか知的障害とかそういうのもありますね。全体像として見られない、メタ認知がきかないというのがあります。

なぜぐるぐる思考が起きるのかというと、ざっくり言うとこういうことが考えられます。

他にも躁状態でどんどん先に行くから秩序を作れないとか、ADHDでどんどん散らかっちゃっているとか、パーソナリティ障害でものの見方がズレている、統合失調症の幻覚妄想状態だから混沌としているとかいろいろあります。
こういう風にいろんなことを考えていくというのがあります。

ぐるぐる思考を止めるには

実際はどういう風にやっていくのかというと、疾患ごとにぐるぐる思考の止め方は変わるんです。
個別にカスタマイズしていく必要があるんです。
それは結構被るパターンが多いからなんです。

不安障害かつ知的な能力に問題があるときもあるし、発達障害でも作文が得意だったりとか、発想力がある人もいますが、今度は不安が強くてできないとか。
あとはそこにこだわっちゃって先に進まない、依存的というか、そこに固執してしまうパターンもあったりします。
それは発達障害の強迫性の問題だったりもする。

つまり脳というのは単純なカテゴリーの問題ではなくて、一人一人違うんですよね。
よく発達障害でもいろいろ違うよとか、人によって違うじゃないかとか言われるんですけれど、確かにそうです。
精神療法をしていくときには、一人一人違うのでカスタマイズしていかなきゃいけないんです。

でも一方で、薬物療法や福祉、診断に関してはカテゴリー分けしなければ話が進まないんですね。
薬物療法でさえカスタマイズしていけばいいじゃないかと言われそうですが、漢方みたいに。ただ現代はそういう形で治療していくことはまだ医学的に困難なんです。
まだわかってないことが多すぎる。

統計的に正しさを証明していくやり方しかできなくて、統計的に正しさを解釈するためには、ある程度カテゴリーされたものじゃないと効果判定できないんですよ。
そういう事情があるのでカテゴリーのものを使うのですが、基本的には治療はカテゴリーなものとカスタマイズなものを割と使い分けて、組み合わせてやっていくことになります。

ぐるぐるの原因というものを考えていくためには、ある程度構造を使わなければいけないので、カテゴリーを利用していくんですんけれども、カテゴリーを超えて重複もあるので一人ずつカスタマイズしていく必要があるということです。

うん、難しすぎますね、この話。

余談ですけど、やっぱり精神疾患というのは複数の要素から発症したりするので、単純に感染症みたいにはいかないんですよ。
この人が今熱が出ているのはこういう菌が感染したから。
こういうウイルスが感染したからこうなっている、じゃあこのウイルスに効く薬を使おう、この菌に効く薬を使おうという単純なモデルは使えなくて、やはり脳はいろいろな要素が合わさっているので、抗生剤を出すやり方ではできないんですね。

ただ薬の種類がまだ全然なかったり、脳科学のことはわからないので、薬の選択についてはそういう抗生剤のモデルのような使い方をしているということです。

あと福祉のことに関しても、ある程度はそういう抗生剤的なやり方、カテゴリーのやり方を使っているということになります。

この話は難しいですね。
難しいんだけど結論は単純で、勇気を持つとかですね、こだわりが強いんだったらこだわりをなくしていくとか、そういうことを一緒にトレーニングしていく。作文の練習をしてみるとかそういうことになっていきます。
自分の気持ちを書いてみる練習とかね、ということになります。

あと、混沌から問いを見出すワークは自助会内でも結構やっているんですよ。
もしよかったら参加していただいて、一緒にディスカッションしながら、混沌から問いを見出す練習をしてもらえたらなと思います。


2023.1.30

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