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虐待(いじめ)の特徴と治療

00:00 OP
01:08 脳の成長
06:56 個人の問題ではない
08:56 治療

本日は「虐待(いじめ)」の特徴と治療、というテーマでお話しします。

虐待やいじめは社会的な問題というか、皆さん興味がある話題なんじゃないかなと思います。
やはりこのチャンネルを見ている方で、そういう辛い経験をされた方は珍しくないんじゃないかなと思います。

今回は、虐待やいじめはなぜ悪いのか、どういう治療していけばいいか、という話をします。
これは忖度なく正直なことを言おうと思います。

結構苦しい話になると思います。
今日は辛い話をするので、もし今調子が悪い方、辛い話を聞きたくないなという方は、今のうちにチャンネルを閉じてください。
閉じて、また後日観てもらえたらなと思います。

脳の成長

まず、虐待やいじめにはどういう特徴があるのか、どういう風な脳への影響があるかを説明します。

高ストレスなんです。
虐待やいじめとは何かというと、高ストレスということで、炎症みたいな形で捉えられることが多いです。
ストレスを感じている時、脳内で炎症反応が起きているという風に言われていて、炎症というのは結構幅広く見られる状況なんです。

例えば、感染する、風邪をひく、熱が出る、がんがある、ケガをするとかでも炎症反応が起きるんですが、やはりストレスというのは炎症反応を起こします。
炎症反応が長期に続くと、やはり脳に影響があるということです。

脳への影響はいつから始まっているかというと、胎児、母親が感じるストレスから子どもの脳に影響があるということが、動物実験(ラット実験)及び人間でも確認が取れています。

胎児から、生まれくるよ、と。
そして、だいたい25歳くらいまでは脳の成長が続くんです。

僕は25歳になってからもう10年以上経ってますけど、完成してからようやく10年以上経っているということです。
15年くらいそろそろ経ちますけど、25ぐらいまではやはりまだ未完成という感じなんです。

10歳から20歳ぐらい、報酬系が結構活発化される時期、いわゆる思春期+αという感じですけど、この時期は報酬系がすごく育つ時期で、ドパミンなどに支配されやすいんです。
楽しいことを止められないんです。
報酬系が一気に育つ時なんです。

ここで一気に育って、ここが優位なんだけれども、だんだん歳を取るにつれて、理性の成長が勝ってくるという感じです。

理性というのは最初は弱いんだけれども、年をとるにつれて我慢強くなっていくというのがわかっています。
理性というか、大脳皮質の力です。

脳みそというのは、生まれる前から25歳くらいまでは成長してる。
そして成長のやり方というのは色々あるんですけれども、思春期前までの成長と、思春期に入ってからの成長では、またちょっと毛色が違うということです。
10歳~20歳の時期は報酬系の影響をすごく受ける。
報酬系が強く働くので危ないことをしたりなどやりがちです。

といっても初期がすごく脳を大きくする時期なんです。
超成長期です。まず脳においては。
超重要な成長期なんですけれども、ここでストレスや虐待があると、将来的にうつ病その他の病気になる可能性が上がります。

それはわかっていて、かつ潜伏していたりするんです。
その当時は、海馬の成長が遅かったりしたときに、それが病気や異常としては捉えられてないんだけれども、大人になってからうつ病の発症率などに関わってきたりしているということが分かっている。

10歳~20歳のときにすごいお酒を飲んじゃう、若者のうちにお酒を飲んじゃう、ギャンブルなどをしてしまうと、やはり報酬系が敏感な時なので依存症への発展が大きいんです。
あと、統合失調症やそういうものの可能性というのも上がるんじゃないかと言われてます。
当然、依存症はうつ病の発生も多くなるので関係しているよ、ということです。

10歳~20歳問題が起きて、じゃあ20歳とか22歳の段階ですぐ依存症になるんですかというと、そういうわけではなく、それも潜伏的に進行し、ある段階で依存症として発症するということがある。依存症になりやすい脳になってしまうということがあります。

あとは25歳までのときにストレスを感じると、複雑性PTSDの問題、発達障害の問題、パーソナリティ・ディスオーダーのリスクがあることなどはわかっています。

やはり成長過程において高ストレス反応にさらされるということは、なかなかリスクなんです。

虐待を受ける、いじめに遭う、教育格差の問題で悩む、健康格差と呼ばれるようなことにもなるということです。
十分な愛情を受けられない、ネグレクトのようなことになってしまうと、やはりストレスが強くて、脳の成長に何かしら影響があるということは分かっているということです。

個人の問題ではない

そうは言うけど、全員がなるわけじゃないでしょう?と言われそうなんですが、確かにその通りです。
遺伝子+環境・教育によって脳は出来上がっていくので、単純に幼少期からのストレス反応だけで脳が出来上がるわけではないんだけれども、わりと大きいファクターではあったりします。

大丈夫ですかね、この話?
すごく悲しい話になりそうですけれども、結構それはわかっています。
だから社会的な介入、貧困の問題の解決をしていかなきゃいけないし、個人の能力など個人の問題じゃないんです。

気が付いたらお前の責任だぞ、自分で頑張れと言われる、18歳なんだからしっかりしろと言われるんだけれども、そうじゃないんだよね。
やはり遺伝子、育て方、ストレス反応で自我ができあがっていくので、本当に自分の自由意志はどこまでなのか、というのはよく思います。

僕ら精神科医というのは脳を生物学的な機械と考えていることが多い立場なので、本人の意志じゃないのにな、という気にはなります。

もちろん最初で決まるわけじゃなくて、その後の育て方によって病気の発症率、発症具合が変わるなど色々あります。
子どもの時は発達障害と診断されていても、大人になってからそう診断されない、そういうのもあります。

脳というのは補う力も強いんです。
一度傷ついても回復する、回復できなくても他の能力でそれを補うという力も強いので、本当に色々なことができる臓器なんです。

色々なことができる臓器なので、全然大丈夫なんだけれども、傷が決して残らないということではないですよ、ということです。

治療

治療はどうするのかと言うと、これは社会的な要素、その時の環境や色々なものに合わせてやります。
時代の変化に合わせて正しい治療法は変わってきます。

これはめちゃムズいんですよ。
どういう治療法がいいのかなというと、その人個人に合わせた今の困りごとを一個ずつカスタマイズして治療していくということになっていきます。
今回動画を撮るにあたって、どういう風に説明しようかなと思ったんです。

どうしてあげたらいいんだろうということが上手く言えなくて、ちょっと悩みました。

『親を憎むのをやめる方法』という本を書いたので、それがKADOKAWAさんから出ますので、概要欄にリンクを貼ってますけど、それを読んでもらって、子どもの時の記憶やその時の思いというのをリライトしてもらうことが重要かなと思います。

記憶をリライトして認知や考え方を変えていく、というのがオーソドックスなスタイルです、治療としては。

ただ、もうちょっと重要なことは何かというと、僕ももう一回読んだんですけど、『タコピーの原罪』というマンガ賞になった本。もう一回読んだんですけど、この中には治療者が出てこないんです。

精神科医という存在が出てこない。
虐待を受けている子どもたちのやつなのに、学校の先生も出てこない。
大人が不在の中で、自分たちで治さなきゃいけないという形で、治療的なマンガじゃないなと思ったんです、子どもだけで治せ、という形で。

そこがすごく僕はネックでした。もうちょっと頼ってほしいなと思ったんですけど、仕方がないですね、それだけ僕らは認知が低いですから。

でも治っていく中で重要なポイントは何かというと、孤独ではないということを伝え続けたということなんじゃないかなと思うんです。タコピーが。

虐待を受けている子ども、いじめに遭っている子は孤独なんです。
一人なんじゃないか、自分のことを理解してくれる人、助けてくれる人は誰もいないんじゃないか、なぜなら一番理解してくれるはずの親がそもそも理解してくれないからだ、と。
親が理解してくれないなら、学校の先生や友達が絶対理解してくれるわけがない、事実してくれてないじゃないか、ということを思うわけです。

そうだなと思いますけど、でも本当はそうじゃなくて、たまたま親が悪かっただけであって、他の人はすごくサポーティブだったりすることもあります。
親はただ発達障害とか何かしらの問題があるがゆえに、気持ちを共感してあげられなかったのかもしれないし、色々なパターンがありますから、そういうことを理解してもらうのはいいのかなと思いました。

ただ今話した内容は中学生にとってはあまりにも難しいので、やはり僕のYouTubeってすごい大事なんだなと思いました。

それはぱんだ先生も言ってくれたんで、他の心理士さんや精神科の先生も僕のことを褒めていただいた点だと思うんですけれども、益田は頭悪いし才能ないかもしれないけど頑張ってるね、毎日やってるね、というのはすごく褒めてくれるので、やはり毎日やっているYouTubeというのは何かしら孤独を緩和してるんじゃないかなという風に思いました。

よくわからないんですよ。
まだまだわからないことが多いし、治療法は何かわからないし、彼らの傷がどういうものなのか、この時に受けたダメージがどういう風に脳で現れているのかというのはわかってないんです。
社会的な要素も絡みますので。

わからないんだけれども、逆にじゃあ何ができるんだろう、自分たちが今できることは何なんだろう、彼らの孤独感を癒す、彼らの認知の歪みを正すためにはどうしたらいいんだろうと思うと、YouTubeを見てもらえるとか、頻繁に顔を合わせる、一緒にいる、一人じゃないよということを言い続ける、そして大人として「これが大人なんだよ。正しい大人はこういうことを考えてるんだよ」とロールモデルとして伝えていくということだと思います。

それは言葉とかそういうものではなくて、態度や息づかい、そういう形でしか伝えていけないものだったりもするし、そういうものを伝えるのがそもそもYouTubeの本質だと思うので、言葉ではなく、態度や動きで伝えていきたいなと思います。

何か最後はウルッときちゃいましたけど、ダメですね。
最近はちょっと疲れが溜まってますね。
今日はもう帰ります。

ということで、今回は虐待について解説しました。

あと自助会もやってますので、もし悩みがある方、傷ついている方は一緒に考えていけたらなと思いますので入ってください。

KADOKAWAからも『親を憎むのをやめる方法』という本を出しましたので、もしよかったそちらの方も購入をご検討ください。


2023.1.31

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