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精神科の診察室で話すことを解説

00:00 OP
03:18 よく患者さんが話すこと
05:46 もったいない時間の使い方
09:30 全人格的に見ていく

本日は「診察室で語るべきこと」というテーマでお話しします。

もしかしたら、サムネイルは○○を語らなければ損、せっかく診察室に来たんだから○○を話しなさい、というテーマになっているかもしれませんですが、今回は、診察室で語るべきこと、というテーマでお話しします。
サムネイルと今の内容が違ったら、気が変わったと思ってください。

診察室で何を語ったらいいのかというのは結構難しくて、皆さん悩まれています。
当然、診察室で語るべきことというのは、親に相談することや友達に相談することとは違います。全然違います。

心理士さんと喋ることともちょっと違うんです。
心理の人たちや福祉の相談員の人たちに相談することともやはりちょっと違っていて、じゃあ薬の話だけすればいいのかというと、そういうわけでもなく、もっと複雑で複合的なことを話さなきゃいけないです。

時には嫌なことも言われます。
病院ですから言われます。
それは言わざるをえないから言っていることもあります。
もしくは、医者側が手加減を知らないというか、そういう時もあります。
どれだけ強い球を投げ込むかというのは、その時の雰囲気やリズム、その人、相手によって決めるんですけれども、難しいですね。

それは患者さんが強がって「自分は強い人間だ」という形でやっていて、ああそうなんだと思って、割と遠慮せずに喋ってたら、その言葉の強さによって傷ついちゃうということはあります。
「病気だから休むのは仕方ないですよね」「そういう意地悪な人もいますよね」という言葉もどこか刺々しく聞こえることもあるでしょう。

とにかく何を話すのかというのは結構難しいです。
これは僕もかなり変わってきています。
臨床していく中でかなり変わってきていて、それはなぜかというと、YouTubeがあるからです。

僕の場合は特にそうだと思いますけど、YouTubeがあることによって病気の説明をする時間が本当に減ったんです。
一般的な病気の説明、薬の説明、薬の副作用の説明、あと福祉制度の説明、そういうものが減ったので使い方がちょっと変わりました。

クリニックを開業して今年で6年目になるのですが、初診の方も減ってきておなじみさんが増えたので、語ることが変わってきたというのももちろんあると思います。
このやり方が正しいとかそういうわけじゃないのですが、参考にしていただければと思います。

前書きが長いですね。

よく患者さんが話すこと

よく患者さんが話すことはどういうことかというと、
「何かよくわからないけど調子悪いです」
「原因が分からないけど寝れないです」
「3日前くらいからちょっとお腹がキリキリしたと思ったら肩こりが始まって、でも便秘っぽいんですよね」
「何かやる気が出なくて寝てばかりなんです。でも途中で何回か起きちゃって睡眠の質が何かちょっと変なんですよ」

こういう症状や身体で感じたこと、そういうことを訴えることが多いです。

ただ、こういう話はある程度役に立つのですが、実際は細かいことを言われても、診断が決まっていて治療方針が決まっているときは、こういう話をしてもらっても(話を聞くんですけれども)もったいないなと思います。

僕は聞くんですよ「なるほど、これはストレスが原因だと思いますよ」と。
特別新しい病気を発症した、身体の病気が出てきた、他の病気を発症した、うつ病とか躁うつ病などを発症したというよりは、ストレスが悪化して身体に出てきているのかもしれないし調子が悪いのかもしれませんね、と言います。

そうすると患者さんは、「そんなことわかってるよ」みたいな顔をするんです。
新しく病気にかかったと思ってないよ、おなかの調子が悪いからと言って胃腸炎になったと思ってないよ、それだったら内科行くわ。
そういう顔します。

でもじゃあ何で調子が悪くなったのか?
このストレスの原因って何でしょうね?ということを聞くんです。
何がストレスなんでしょうか?とだいたい聞きます。

そうすると「うーん」とか「よくわかりません」とだいたい言います。
あと「普通です」と言ったりします。
「いつも通りですね、普通ですね、でも調子悪いですね」と言ったりします。

もったいない時間の使い方

というと、だいたい僕はこう答えるんです。
「なるほど、じゃあ自分ではそのストレスに気づいてないんですね。セルフモニタリングや原因特定の問題ですか」と言います。

自分の今の状況がわかっていない、原因がよくわからない、原因を特定できないことが問題ですか?と聞いたりします。
ちょっと意地悪と言えば意地悪な感じに聞こえるかもしれないですけど、実際そういう人もいるんです。

セルフモニタリングができない、身体が調子が悪いのに気付けない、そういう人もいるのでそういうことですかとか、あとヒステリーとかそういう類いだと原因がよくわからなかったり、うつ病、統合失調症、双極性障害だと、きっかけはあるにしてもあまり原因がよくわからないことがあります。
「そうですか?」と聞くと、「う~ん」と言ったりします。

そこから原因の話ができる人、「原因はこれだと思いますよ」「最近上司と仲が悪くて」「口論したので」「もしくはこれもあるかもしれませんね」「でも実は昔から親子関係でこういうことで悩んでたんですよね、毎回同じですけどね」と言ったりします。

こうやって自分の隠れていたストレスを語ることもあれば、やはり原因がよくわからないよ、ということになることもあります。
こっちの場合はまた別の方針になるのですが、だいたいここに話が行ってしまい、ここまでで2~3分使っちゃうんです。

実際これはどういうことなんでしょうか、例えばこれはどういう問題なんでしょうね、と話していって、問題を整理していって、じゃあどういうプラン、どういう解決策がいいんでしょうね、と言ったりするときに、「新しいことに挑戦するように心がけてみます」と言って話が終わります。

じゃあ新しいことって何なの?
新しい問題って何なんだろうね?
と本当は話したいんだけれども、時間が足りないのでできなかったりします。
他にも、そもそもプラン2はないの? プラン3はないの? この中でどれだったら行動できるの?
本当はそこまで行きたいんです。

だけど時間があまり使えなかったり、有効に使えなかったりすると話が行きません。
心構えがない状態でそんなことを言われると、明確化というか、自分の嫌なところを晒された感じがして落ち込んだりして、「益田、すごい嫌なことすんねん。益田のところに行ったら、逆に調子悪くなったよ」みたいなことにもなりかねないんです。

でももったいないなと思います。
しっかり話せた方が僕はいいと思いますし、それだけ提供してあげたいんです。

話の整理、問題の整理、ロジカルに考えていく、何が原因か考えていく、そしてそれをどういうプランでというのはあんまりカウンセリングではやらなくて、やはり臨床的というか、診療行為に近いなと思います。

それは医師というのがそういうところまで含めて、パターナリスティックにマネジメントしていく必要がある。
そこまで含めて考えていく。
転職がいいのか、休職がいいのかまで含めて一緒に決断していく必要があるのでここまでやっていきます。

全人格的に見ていく

ストレスというとちょっと難しいので、抽象的だからわかりにくいので、例えば「ラーメン売れませんよね」と。

売り上げが上がらないですよね、と言うと、じゃあ何が原因なんだろうね、と。
やはりチャーシューかなと思います、チャーシューを美味しくしましょう、明日からチャーシューの勉強を始めますという形になるんです。

いや、だけどこれだと普通の診察になっちゃうんです。
準備しなかったです、と。

いやいや、美味しいラーメンを作る以外にも他に方法はない? 接客はどうなの? 立地を見直す、メニューを増やすのはどうなの、じゃあチャーシューだけでいいの? ラーメンを美味しくするのはチャーシュー以外にも麺とかスープとか色々あるよね。
チャーシューを良くするんだったらどういう風に良くするのか、作り方を変えるのか、煮豚にするのか、それとも焼き豚にするのか、それとも銘柄を変えるのか、と色々な選択肢が出てきます。

現実的にはなかなか大きく変えられないので、そういえばチャーシューメンを頼まれてもいつも品切れになっていることが多いのでストックを増やします、そういう形になるかもしれないんですが、でもこういうところまで色々考えていく。
それが全人格的に見ていくということなんです。

これが家の問題なのか、仕事の問題なのか、過去のトラウマの問題なのか、全人格で見ていかなきゃいけない。

でも全人格をナラティブにストーリーで話をしていくと、どうしても時間が足りなくなってしまうので、上手く利用するためにもこういう構図を思い浮かべて、こういう問題でこうなのかなとすぐプレゼンできるといいなと思います。

なかなかできないですけど、そういう風に整理していく。
そういうプレゼンができるようになってくると、治療効果も高まりますし、そもそもこういう風に喋れたら、診察室に来る前に自分で解決できちゃうんです。

「益田先生に話そうと思ったんですけど、話す準備をしているうちに話すことなくなっちゃいました、エヘ」みたいな感じで終わっちゃうこともありますから。
そういうものだと思ってください。

でもこういう発想はすごく重要で、薬の問題なのか、身体の問題なのか、健康の問題なのか、職場の問題なのか。
色々なアプローチがありますから、多角的にやらないと、やはり全人格を見ているとは言えないですから。

精神のことだけじゃなくて、僕らは時に、精神科の問題と思っているけど実は甲状腺の問題ではないか、精神科の問題と思っているけど認知症の問題じゃないか、これは精神の問題と言っているけど実は親子関係の問題、虐待の問題じゃないか、と色々考えていきます。
考えていく中で、ただ僕らの頭の中で終わるのではなくて、一緒に共有したいですし、一緒に次の治療プランもプランニングしたいですから、こういう発想をちょっと持ってもらえたらなと思います。

詳しく知りたい方は、シンプルライフコーチングとか、そういう形でワークブックとかも置いてますので、それを見てもらったらなと思います。
https://wasedamental.my.canva.site

ということで、今回は、診察室で語るべきこと、というテーマでお話ししました。

あとですね、これに関して、リアルワークショップとかオンラインワークショップもやってるんです。
どこでやってるんですかというと、オンライン自助会でやってますから、もしよかったら入ってください。

あと本ですね、本が出ました。
『親を憎まなくなる方法』という本を今回KADOKAWAさんから出してますので、皆さんもしよかったらご購入ください。

ストレスの原因が親子問題である場合、この整理の仕方がこの本には書いてますので、もしよかったらご購入ください。
購入していただけると益田の作家生命が伸びます。


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