本日は、障害年金の話をします。
特に障害年金の診断書です。
障害年金を申請するにあたり主治医から診断書を書いてもらうのですが、それを上手く書いてくれていると上の等級、1級、2級。主治医がきちんと診断書を書いてくれなかったから落とされた、色々なことを思う人が多いんです。
実際に僕は現場を見てないからわからないんですけど、確かに診断書には細かく書くポイントがあって、これを埋めてくれないときちんと現実が反映されているとは言えない。
年金事務所の人もわかってくれない、というポイントがあります。
今回は、きちんと現状を診断書に反映させるためにはどういうポイントを意識した方がいいのか、そしてそれを主治医の人に忘れずに書いてもらうためにはどういう行動をしたらいいのか、ということを解説します。
年金には診断書のポイントが結構あり、これらはオープンにされています。
実際、年金事務所のホームページに行くと見ることができます。
見てもらえば「なるほどこういうことなんだな」「益田が言っているのはこういうことなんだな」ということがわかるんじゃないかなと思います。
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年金の診断書を作るのは大変
年金の診断書を作るというのは、医師側にとっても言い訳に聞こえるかもしれないけれども、結構大変なんです。
普段の臨床で聞いている内容とはちょっと違うことも聞かなければいけないんです。
薬の選択とかそういう時に必要な情報と、年金に落とし込むときに必要な情報はちょっと違うので、また新しく情報を取り直さなきゃいけないんです。
患者さんサイドにこういうことを言うと、ちょっと嫌な気もするかもしれないけれど、診断書は一緒に協力しながら作っていく、というイメージを持ってもらった方がいいんじゃないかなと僕は思います。
そういうことを言うと「いや、できないよ。難しいことを言わないでよ。調子悪いときに何で益田はそんな意地悪なことを言うんだ」と思うかもしれないけれども、まあ、そうと言えばそうです。
そうと言えばそうかもしれないけれども、やはり一緒に作るという気持ちになってもらった方が結果的にいいんじゃないかという気がします。
もしできないのであれば、誰かに手伝ってもらうのがいいです。
例えば社労士さんに手伝ってもらうとか、病院が大きければPSWの人に手伝ってもらうのがいいと思います。
そんなのお金がかかるし信用できない、と言う人もいますけど、そこは信用しましょう。
もちろん全ての人を信用しろとは言わないです。
僕も現場を見ていないのでわからないですが、あなたたちを騙してお金を取ろうと皆思っているわけじゃないので、ここは信用してもらってもいいんじゃないかなという気はします。
実際、僕はそういう人たちとやりとりして、僕の臨床ではやってますから。
この動画を見る人もあまり警戒しすぎないほうがいいんじゃないかなと思います。
どうして僕は手伝ってもらうことを推奨するかというと、やはり一人でやります、私一人でやります、恥ずかしいので自分でやります、と言う患者さんも多いんですけど、そうすると気が付いたら半年とか1年とか経っていたりして僕が書いた診断書も「もう一回日付を直してください」と言って、何度も出し直しになることがあったりするんです。半年くらい経ってしまって。
日付を変えて、ちょっと文章を直すだけなのでそんなに苦じゃないのですが、もったいないですよね、その期間が。
なので、自分一人だとちょっと難しいと思うのであれば、手伝ってもらうのがいいと思います。
障害年金とは
障害年金とはそもそもどういうものかというと、年金は聞いたことありますよね?
高齢になった場合もらえるものです、だいたい。
働いているうちに、基本的に多くの人は、納税の義務を果たしていますので、働いている時に、一緒に年金のお金を払っているんです。
払っている人が高齢になったらもらうものもあれば、病気になってしまったり、障害を持ってしまった時に早めにもらう年金というのもあるんです。
それが障害年金です。
初診(最初の受診日)から1年半経っても病気が治っていない、1年半以上通院し続けている、治療が必要だった場合は、これはもう障害として認定しましょう、ということで障害年金がもらえます。
厚生年金と国民年金という2つが年金にはあって、入っている年金によってもらえる金額は違います。
高齢者になった時にもらえる年金の給付額が違うように、払っている金額、入ってる保険によって、年金によってもらえる金額が違うというのはあります。
国民年金だけしか入っていない場合は、1級と2級しかもらえません。
厚生年金は3級まであります。
ここら辺は不平等じゃないかという意見もあります。
なかなか正社員になれないから国民年金しか入れなかった、なのに自分たちは2級までしかもらえないのは変じゃないか、不公平じゃないか、そういう意見もあるかと思いますが、障害年金の法律は50年前からあまり変わっていないんです。
50年前にできたものをブラッシュアップしたり、解釈を変えたり、ちょこちょこ修正して現代に合わせている感じです。精神疾患の患者さんが増えたのは本当にここ10年、20年の話なんです。
だからそこにはまだ法的なルールというか、年金機構の作ったものと、現在の状況とはあまりマッチしてないんじゃないかなというのは個人的には思います。
あくまで個人の意見ですが、個人の意見としては思います。
そこはまた別の動画とかで別の機会に置いておいて、今、現状そうなっているよ、ということです。
診断書で正しく現状を伝える
正しく診断書を書く、現状を伝えないといけない、ということになります。
3級、2級、1級の目安がガイドラインに出ていまして、3級というのが労働制限があるという感じです。
働けているんだけれども労働制限がある。
2級というのは基本的には働けていない人を想定しています。
働けていなくて、かつ日常生活に制限があるという感じ。
1級はひとり暮らしもなかなか厳しいので常時援助の必要がありと書いていますが、昔の長期入院をしている患者さんのイメージなんです。
そういう人だと、やはり1級相当という感じですね。
入院を常にしてるわけじゃなくて、ちょこちょこ援助が必要な場合、ちょこちょこ入院が必要な人だと2級というイメージなんです。
これはもう50年前のイメージですよね。
昨今の精神科の状況には、なかなか適応させにくいというのはあったりします。
診断書作成のポイント
この話をしたときに、前回の動画とか前々回の動画では「いや僕は働いているけど2級もらってますよ」「2級をもらってる人がいましたよ」ということがコメント欄でいくつかあったので、そこの点も今回話しをしようと思います。
しっかり現状を伝えれば働けていても障害年金はもらえますし、2級に該当することもあるので、そのポイントを今回は話しますから、最後まで聞いてください。
これから話すポイントは主治医の先生にしっかり伝える必要がありますし、診察室の中で伝えきれない場合は紙に書いたり、メールで送るのがいいと思います。
僕の臨床はどうしてるかというと、障害年金を取りたいという患者さんには、診断書の作成資料として、この紙を埋めてきてくださいという紙を渡しているんです。
それを埋めてきてもらう、もしくは待合で埋めてもらって、それを受け取ってから2週間以内に、2週間後までには作りますよ、みたいな言い方をしています。
結構ポイントがあるんです。
主治医の先生に書いてもらうにはそういうポイントを伝えてくれたり、メールで送ってくれると向こうは助かるんじゃないかなと思います。
診断書の書き方を全部説明してしまうと、いないとは思いますけど患者さんによって嘘をついてしまう人とかいると思うので、ある程度ポイントだけ絞って解説します。
例えば3級、2級、1級相当があります。
全ての場面でそんなに援助が必要とかそういうわけじゃないと思うんです。
細かく状況に応じた障害の程度を知る必要があるので、そこを診断書に落とし込む必要があるんです。
ポイントとしてはここら辺があります。
特に患者さんから聞きたいのは、例えば食事内容です。
どんな食事を摂っているのか、バランスのいい食事を摂れているのか、それとも2日に1回ドカ食いをしているのか、野菜を食べているのか、外食中心なのか、患者さんによってはカレーパンを冷凍庫に入れておいてカレーパンだけ毎日解凍して食べてます、だから2、3ヶ月野菜食べてません、何か最近めまいがするんです、みたいな患者さんもいるんですけど、そんなことはないかどうかが大事です。
あとは身だしなみです。
お風呂にはどれぐらいの頻度で入っているのか、例えば家の片付けはどれぐらいしているのか、週1回というのはちょっとした目安になります。
週2回以上お風呂に入っている、週1回しかお風呂に入ってない、2週間に1回しかお風呂に入っていない、というのも大事なポイントです。
うつや病気に波がある場合は、この1年のうちの半年間ぐらいは、ほとんど月1回ぐらいしかお風呂に入ってなかったよ、そういう風に説明してもらうといいです。
あと、金銭管理です。
お金の使い方はどうなのか、結局自分ではできないから外食中心になっていて、手取りはあるけれどももう全部すぐなくなっちゃう、場合によっては毎月親から援助をもらっている、消費者金融からお金を借りていてもう破産寸前だ、借金がいくらぐらいある、そういうポイントも教えてもらえると診断書に反映させやすいです。
あと、通院です。
通院はちゃんとできているのか、不規則なのか、薬の飲み忘れはどれぐらいあるのかというのもポイントです。
週2回以上飲み忘れがあるのであれば、しっかりそこを記載する。
それを診断書に反映してもらうことがとても重要だったりします。
あとは日常生活のポイントのところもちゃんと聞きたいんです。
家事は結局誰がしているのか、家族にやってもらっているのか、部屋の片づけも結局家族にやってもらっているのか。
福祉の人、訪問看護の人がどれくらい入っているのか、どんなことをしてくれているのか、そういうサポート状況もしっかり知る必要がある。
お風呂掃除は月何回できているのか、それは家族がやっているのか、そういうことが大事です。
波があると思うので、この1年の波の状況をちゃんと伝えてもらう必要があります。
例えば、1年のうち何月から何月まではうつだった、うつ状態でほとんど引きこもっていた、寝たきりだった、最近でこそ生活ができているけれども、ひどいときはそうなんだよ、そういうことをきちんと診断書に反映してもらう必要があります。
あとは自傷や対人トラブルの回数です。
月にどれぐらいあるのか、週に何回ぐらいあるのか、というのも大事だったりします。
しょっちゅう喧嘩してしまうのか、警察官とのもめ事は年に何回ぐらいあるのか、そういうところも診断書に反映させるポイントかなと思います。
働けているけれども2級だとか、そういう人がいるという話なんですけれども、これは仕事内容をチェックされるんです。
どんな仕事をしているのか、例えば単純かつ反復的な仕事なのか、仕事はしているんだけれども実際はさっき言ったような期間限定なのか、そういうポイントがしっかり書かれているのがとても重要です。
とにかく仕事内容が単純かつ反復的かどうかというのは結構ポイントです。
あとは臨機応変です。
臨機応変なことが求められたら、突然別の指示を与えられたときにどうなっちゃうのか、予定外のことを言われたときにどういう反応してしまうのか、というのもポイントです。
例えば、いつもと違うことを言われるとパニックになってしまう、その場は大丈夫でも家に帰ったらご飯を食べられなくなってしまう、上司とケンカになってしまう、そういうところもしっかり落とし込めていると診断書としてはいいなと思います。
あと、意思疎通です。
職場の上司と意思疎通できているのか、自分の状況をどれくらい伝えられているのか、というのもとても重要なポイントなので、そこもきちんと書いてみる、もしくは主治医に伝えるということが重要だったりします。
結構ムズイですね、こういうことね。
診断書に落とし込むのも難しいし、それをやるのはやはり酷なので、社労士さんとかPSWの人に手伝ってもらうというのもよくあるなと思います。
とにかくこういう内容を本人ないし家族の人が理解してもらって、それを主治医に伝える。
それを紙で渡すのか、口頭で伝えるのか、メールで渡すのか、それは病院によって違うと思いますが、こういうポイントを押さえてもらって診断書に落とし込んでもらう必要があります。
どこに書くかというと、診断書の自由欄があるんです。
結構僕も書くの大変だなと思って毎回困ってしまうのですが、10のイの障害の状況、11の現症日の日常生活能力および労働能力と呼ばれるところがあるのですが、そこのところに今言った内容を落とし込む必要があるので、主治医の先生はどういう診断書を書くのかなと想像しながらここのポイントを伝えてもらえると良い協力関係ができると思います。
ということで今回は、障害年金の診断書作成のポイントを主治医に伝えるべきこと、というテーマでお話ししました。
社会保障、福祉、連携
2023.3.13