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自分を愛せない人の特徴と解決策

00:00 OP
00:39 自己肯定感、恥
02:48 自己肯定感が高い人とは?
05:46 自分を愛せない人
08:16 悪い結果は悪い予測を生む
10:12 どうやって悪いサイクルを切るのか
12:21 傾聴、共感だけで治療は終わらない

本日は「自分を愛せない人の特徴」というテーマでお話しします。

自分を愛せない人、自分のことをなかなか好きになれない人は多いと思うんです。
特に精神疾患を持っている患者さん、精神科に通われてる患者さんは多いです。

今回は、自分を愛せないというのはどういうことなのか、そしてどういうことをすれば自分を愛せるようになるのかをお話しします。

自己肯定感、恥

自分を愛せない人というのはどういう人なのかというと、言い換えるのであれば、「自己肯定感が低い人」ということになります。

自分のことを価値があると思えない、自分はあまり優れていないと思っている人、社会に不要なんじゃないかと思っている人は自分を愛しにくいです。

自己肯定感はどういう部分と関係しているのか、神経科学的にどこと関係しているのかというと、おそらく「恥」を感じる部分と関係しているのではないかと考えられています。

恥ずかしいと感じるときはどういうときなのか、どういうところが活性化しているのかというと、脳の中でざっくり言うと、扁桃体から大脳辺縁系から大脳皮質、前頭葉にかけた皮質に関わるという感じなんです。

これだけいうと「ああ、そうなのか」と思う人もいれば、ちょっと脳のことを知ってると「いやもう、ほぼ脳の全てやんけ」という感じがするかもしれないんですけど、まあそういう感じなんです。
まだよくわかっていないです。

扁桃体というのは不安とか恐怖に関係する場所で、大脳辺縁系や海馬があったりして、より複雑な感情になっていって、大脳皮質というと理性に関わってくるという感じです。

恥や自己肯定感というのは単純な感情ではなくて、過去の記憶、自分の意思判断、色々な情報が混ざって感じる感情だということです。

扁桃体によって、「不安だ」となると、そこに身体反応、自律神経症状が出たりしますし、大脳辺縁系や皮質に関わることなので古い記憶ともかかわってくる。新しい記憶から古い記憶まで、全てが関わっていることがわかります。

自己肯定感が低いとか高いというのは結構複雑な症状なんです。

自己肯定感が高い人とは?

ただ扁桃体から始まってるということを考えると、究極的に言ったら、恥をかかない人は恥を恥だと思わない人、鈍感な人というのは自己肯定感が高めなんです。

益田ってどんな奴、と言われたら、自己肯定感が高いかどうかはまた別として恥を恥と思っていないところがあります。

「何かもういいや」みたいな、「おじさんだからいいや」と思っているところがあって、人の目を気にしなくなっているところがある。
そういう意味では、自分を愛しているかどうかわからないですけど、自己肯定感高めというか、自分を愛している人のように見えます。
見えるというか脳科学的にはそうみたいです。

ちょっと脱線しますが、なぜ益田が恥を恥だと思わないか、YouTubeで喋っていても恥だと思わないかというと、自分のことが大好きというよりは、僕的には使命感があるんです。
皆のためにやらなきゃいけない、過度な膨張というのは発達障害っぽいと言えば発達障害っぽいんですけど、でも現実的に結構な数の人が見てくれてるわけです。

登録者数が40万人近くいて、そして日本の精神疾患患者さんは400万人ちょっとです。
僕のチャンネルの登録数は40万人いるわけだから、登録せずに見てる人もいるわけで、そう考えると結構な影響力があるので使命感を持たない方が変な感じです。使命感じゃなくて、自己愛のためにやっているとしたら相当図太いと思いますが、まあ似てると言えば似てるかもしれないです。

僕は使命感があるんです。
使命感があるから、あまり恥を恥だと思わないという感じもありますし、失敗したとしても何とかなるというか、それを込みでやってやると思っているところがあるのかな、そういう感じです。
何か参考にしてください。

という感じですが、自分を愛せない人というのは、自分のことを考えずに使命感や相手の気持ちのことを考える、世の中のために何が大事かということを考えて動けば楽になる、というのはそうなんですけれども、そうは言ってもなかなかそう思えないと思います。

僕は今、たまたまこういう立場だからそういうことが言いやすいし、言えるわけで、そういう風に思えるようになっただけであって、この立場に立てなかったら、たまたま偶然このチャンスがつかめなかったら、僕はそこまで達観した気持ちになっていないと思います。
だから綺麗事と言えば綺麗事です。

自分を愛せない人

精神科の中で自分を愛せない人、自己肯定感が低い人というのはどういう人がいますか、どういう人が多いですかというと、代表的なところを3つ持ってきました。

例えば社交不安障害や回避性パーソナリティー障害と呼ばれる人たちです。
緊張してしまう、恥ずかしいことはしたくない、そこに対する過度な怯えがある人たち、そのまんまです。
恥と関係してるような人たちです。

彼らはSSRIという抗うつ薬を使うことで症状が緩和して、曝露療法という形で治していくのですが、こういう人たちが特徴の一つです。

あとはうつ病の人です。
うつになっていてそもそも扁桃体自体の活動が落ちてしまっている場合、そこの大脳辺縁系のバランスも含めて活動が落ちてる、もしくは何か悪い循環を生んでいる場合というのは、やはり自己肯定感が低いんです。
そういう病気ですからね。

社交不安と回避性パーソナリティー障害というのは生まれつき扁桃体~大脳辺縁系が過敏に反応してしまうということです。
逆の人もいます。生まれつき鈍感な人たちもいます。

うつ病の人たちは精神疲労が蓄積したり、何かしらの病気の原因があって扁桃体~大脳辺縁系の活動が落ちてきたり、バランスが悪い状況を指します。

トラウマの人は、強力な不安や恐怖体験をして、その記憶が抜けないという人です。PTSD、複雑性PTSD。
大脳辺縁系に関与しているので自己肯定感が低いということです。

発達障害、ASD、ADHD、LDの人たちというのは精神発達遅滞も含みますが、やはり失敗体験が多かったり、感情のコントロールが上手く行かないです。
扁桃体~大脳辺縁系の機能の弱さというのがあるし、実際に悪い体験、失敗体験が多いので、自分のことを肯定できないという風になっていると思う。

他にもパーソナリティ障害の人など色々います。
こういう原因で起きているという感じです。

悪い結果は悪い予測を生む

悪い結果は悪い予測を生むんです。
一回失敗すると次も悪いことが起きるんじゃないかなと脳が予測するんです。

悪い結果が起きるんだと思って予測するから、行動を回避してしまう。
もう行かない、人前に出たくない、と。
出たくないと思って出ないから、成長する機会を失ってしまうんです。

行けば成長するかもしれないです。
益田のYouTubeもそうです。
僕は3年間毎日やってますから、3年以上。
だからずいぶん上手くなったんです。

僕は元々人前で喋ることは上手くないし、そういうキャラじゃなかったんです。
だけどこういう場を与えられたことで成長できたというのもあります。

場を自分から奪ってしまう、自分から避けてしまうとやはり成功できない。
そうすると、だんだん周りの人と差ができてしまう。
周りの人と能力の差ができて、より回避的になって悪い結果を生むし、悪い予測をさらに生んだりするということが起きている、という感じです。

自分を愛せない人というのは、より愛せないサイクルに入ってしまっている。
最初は親から愛されなかったのが、だんだんそこでうまい体験を積めなかったので、友達も愛せなくなってしまう、愛されなくなってしまう。

子どものときに最初にちょっとしたいじめがあった結果、そのときに親、教師など色々な人が介入しなかった結果、ずるずる行って、小学校のいじめが中学校でのいじめを生み、そして高校になったときの人見知りを生み、そして大学になってからの引きこもりを生み、その結果、就活が上手く行かないなど、色々なことが起きます、会社でも上手く行かない、と。

悪い結果が悪い予測を生み、また次の悪い結果を生んでしまうので、サイクルを切らなきゃいけない。

どうやって悪いサイクルを切るのか

ではどうやってそのサイクルを切るのかというと、大脳辺縁系に関係するところの薬物治療というのも結構大事です。
抗うつ薬(SSRI)を使う、発達障害であれば発達障害に対する薬物治療を行う、ADHDに対する薬物治療を行うのも大事です。

あとは成功体験を積むということなんです。
いきなり人前で喋れとか、そういうのはあまり上手く行かないので、小さいところ、小さいステージで色々なことを繰り返して成功体験を積む、小さいところで失敗していく。

そうすればダメージが少ないので、トライアンドエラーを繰り返していって「ああ、こういう感じなのか」と慣らしていくことはとても重要です。

これがまず第一目標なんです。
成功体験を積んで、その結果、認知が変化していくんです。
「こうなんだ、悪いと思ったけど、こういう結果なんだ」ということで脳の予測が変わってくるんです、良い経験を積めば。

それは無意識にやってくれているので、脳が。
デフォルトモードネットワークとかチューニングとプルーニングとか、色々難しい言い方をしますけど、そんなことは置いておいて、皆さんには無意識が勝手に整理してくれると思ってくれたらいいです。
脳が勝手に処理してくれるので、とにかく我々がやるべきことは、小さな成功体験を積むことなんです。

そして良い予測を生もう、そういう風に脳を変化させよう、と思うことなんです。
どうせ悪いこと、悪い結果しか出ないんだと思い込んでたら、脳もなかなか良い方に変化していかないんです。
とにかく良い結果を想像する、良い結果が生まれるんだという風に持っていこうとするんです。

持って行こうとしていれば、脳が勝手に半年とか1年くらい経ったらそっちの方へ持って行ってくれますから。
良い結果を思い込もうと言って「いや、そんな綺麗事だよ」と最初から全否定してしまうと成長しにくくなるので、そこはそういうものだと意識してもらったらと思います。

傾聴、共感だけで治療は終わらない

結局、良い成功体験をするための認知行動療法であったり、診察室の傾聴とか共感だったりするので、傾聴や共感だけで治療は終わりません。

いっぱい私の話を聞いてくれたら、理解してくれたら、私は次に進めるのに、と思うかもしれないですが、それは論理の飛躍というか、ちょっとすっ飛ばしています。

本質的に重要なのは良い予測を生むということですし、変化していくことなので、共感してもらうとか診察室の中に留まっているだけだと、やはり良くなっていかないので、そこから次に進むことが大事です。

もちろん、治療者側が焦りすぎてしまうという問題もあるかもしれないですが、そうじゃなくやはり診察室の中だけでは収まらないので、そこは意識しつつ、今できることをやっていくのがいいんじゃないかなと思います。

今回は、自分を愛せない人の特徴、というテーマでお話ししました。


2023.3.14

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