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クレーマーの心理と対応 職場の心理的安全性

00:00 OP
01:58 文句を言いたくなるとき
08:17 相談できる体制を作る

本日は「クレーマーの心理と対応」というテーマでお話ししようと思います。

クレーマーの心理と対応を精神科医目線で話すというと、いろいろ誤解が生まれそうなので、あらかじめ言い訳というかこの動画の主旨を話しておこうと思います。

もともと企業研修がありまして、そこでいただいたお題の中にこういう時にどうしたらいいのか、どういう風に従業員のメンタルケアをすればいいのか、ということがありました。
その内容を一部ここで動画にしてみようかなと思った次第です。

クレームを言う人ですね。誹謗中傷してしまう人、暴言を吐いてしまう人。
彼らに対して別に差別偏見を助長したいというつもりはないです。
そういう人たちが全員精神疾患なんだとも思わないですし、患者さんが全てクレーマーになるかというと、そういうわけでももちろんないと思います。

あくまでこういう時にトラブルが起きやすいよ、こういう心理状況のときにトラブルが起きやすいよ、そして精神科の患者さんの中で、こういう人が時々クレーマーになってしまうかもしれないよ、ということを知識として知ってもらいたいということなんです。

知識として知っていれば対応もうまくいくし、差別や偏見も減ります。
そして自分たち従業員側のメンタルケアにも有効なので、知識を知ってもらえたらなと思い動画にしているという感じです。

文句を言いたくなるとき

精神疾患があるとかないとか関係なく、僕らは腹が立って思わず文句を言ってやりたくなりますよね。
それは一企業であったり、親だったり、学校の先生だったり、日本政府だったり、何でもいいんですけど、まあ言いたくなりますよね。

言いたくなる時はどんな時なのか。
病院のドクターに対しても何か言ってやりたくなるときはどういう時なのか。

一つは「白黒思考」に支配されている時はクレーマーになりやすいです。
つまりいいか悪いか白黒はっきりさせたい。
正しいのか正しくないのか、どっちが悪いのか、という時は白黒思考になりやすいですね。

でも現実的な問題を考えると、どちらかだけが一方的に悪いということはもちろんないわけですよね。ほとんどの場合はね。
たとえあったとしても、そこまで怒らなくてもいいことも多いわけです。

怒って感情的に言う時は白黒思考になっている可能性が多いので、できるだけそういうのをなくすのが大事です。

あと「国語力」や「想像力」が弱い人、そういうところまで気を働かせていない時には怒りに支配されやすいです。

文章をきちんと読めない、相手の意図を読み取れていない、相手の文章を一部だけかいつまんでしまっている、そういう時はあります。
相手もきちんと国語力があるわけじゃないんですよ。
僕らが読み取る力、国語力がないように、相手も国語力が低いので、自分が思っていることや伝えなければいけないことをきちんと正確に喋れたり説明できたりしないんですよね。

だから互いに思いやって、想像力を働かせて相手の足りない言葉を補ってあげなきゃいけないんですけれども、そういうことをしないとうまくいかないですね。

相手の立場に立てない。だから相手から見たらどう見えているのか、相手の立場で考えることを怠るとやっぱりうまくいかないですね。

あと思いやりですよね。
思いやりがない人だとクレーマーになりやすい。

あと複雑な人間を理解できない時ですね。
人間というのが「良い」「悪い」しかないし、「こういう時もあるよね」というのがないんですよね。
人間は超複雑なわけですよ。僕らが理解できないもの。僕らの頭脳とか認知のレベルでは理解しきれない、把握しきれないほど人間というのは複雑なものなんですね。複雑なものにもかかわらず、自分が理解できる形に落とし込んでしまおうとすると、物事をシンプルにしすぎてしまう。
単純化しすぎてしまって、その人らしさを失っちゃうというかそういうことがあります。

人間というのは複雑だし、複雑な状況の中、複雑にやっているわけです。
自分が考えている通りのことではなくて、「こいつはなんか嘘つきだ」と思うかもしれないけど、嘘つきじゃなくて国語力が足りなかったとか、言えなかったとか、時間が足りなかったとか、いろんな要素がある。
でも自分の理解できる形で、自分の中のストーリーで満足してしまう。そういうのがあります。

自分の中で都合のいいストーリーの中で相手を決めつけて、そのストーリーに則って相手のことを非難するというのはあります。

あとは自分の誤りを認められない。
自分が間違っているかもしれないということをそもそも勘定に入れられないというのがあります。
この問題ってそもそも自分が間違ってた可能性はないの?とか、自分の問題があるかもしれないなというのを勘定に入れられないんですよね。
自分が間違っていた可能性を排除して喋ってしまうので問題があるという感じですよね。

あとは感情に支配されているということとか、その後の展開において、建設的にやっていこう、互いに妥協ラインを見つけていって良いものを生み出していこうという発想が乏しい。
何がしたいのかよくわからない。
壊すだけ壊していってその後どうしたいのかがよくわからない。

壊すだけ壊して、そのあと泣き叫ぶ赤ん坊のように、0から1を積み上げていくのはこちら側の仕事みたいになってしまう。双方でやっていくのはできないで、しかも「じゃあこれがいいのね」と提案しても、それは全部突っぱねる。嫌だ嫌だっていう感じですよね。
あとは妥協できない。

クレーマーのことはよくわかりますね。
退行(赤ちゃん返り)してしまって、こういう状況になっている時かなと思います。

あとは精神疾患、病気のせいでたまたまクレーマーみたいになってしまうことがあるんですね。
例えば、強迫性障害の人はすごく気になると止められないんですよね、自分でも。
なので何度も電話して確認してしまうということがあります。
あとは統合失調症とか妄想性パーソナリティ障害の人とか。病気のせいで被害的になったりとか盗撮されている、ストーカーされている、ハッキングされていると思ってしまうんですよね。

こういう人たちが治療中だったり、未治療だったりして世の中には1~2%いるんですよ。
そういう人がたまたまぶつかってしまうと、クレーマーのように見えてしまうこともあるし、なかなか治療につなげたくても繋がらないこともあったり、そういうものです。
社会の中にはそういう人たちも一定数いるということを知ってもらえたらなと思います。

相談できる体制を作る

結構疲れますね、対応していると。
なのできちんとマニュアルを作るとか、相談できる体制を作るというのがとても大事です。

上司はお客様を怒らせてしまったと心配になってしまって部下を責めてしまうことがあるかもしれないけれど、やはりこういう問題の時はスタッフの問題でないこともありますから、きちんとスタッフを守ってあげるというのはとても重要です。

お客様は偉いとかお客様は神様だというのでもなく、やはり限界がありますから。
上司の人とか、従業員の人たちは特にそうですけど、自分たちの仲間を守るという発想はとても重要です。
メンタルケアを互いにする、そしてマニュアルを作っていって、同じような失敗がないように努めていくことが建設的かなと思います。

相手の感情に飲み込まれてしまって、自分たちを過度に責めたりとかするのではなく、ちゃんと方針を決めてマニュアルを作り、それに従ってきちんとやっていく。
凛とした態度がとても重要なので、凛とした態度が取れるような準備や仕組みを作ってあげるっていうのが会社としてやるべきことだったりします。


2023.5.22

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