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発達障害とPTSD  トラウマを忘れられない、フラッシュバック

00:00 OP
00:41 グレーゾーン
03:25 ASD/ADHD
05:57 ケース紹介(創作)
08:45 自尊心の回復
09:57 社会への恐怖、つながり

本日は「発達障害とPTSD」というテーマでお話ししようと思います。

これから毎週木曜日は発達障害関係の動画を撮ろうと思っています。
発達障害といっても色々な人がいるんですよ。色々なパターンがあります。
一言で発達障害といっても色々な経過をたどりますから、色々なケースを創作のケーススタディを交えてお話できたらなと思っています。

グレーゾーン

発達障害とPTSD、この合併症は結構多いです。
発達障害のグレーゾーンかつPTSDのグレーゾーンと言うかPTSDの診断基準にギリギリ満たない、これを合併しているケースは結構多いんですよね。

だからよく神経症とか不安障害と診断されているんだけれども、実はよく聞くと発達障害のグレーゾーンだったり、PTSDのグレーゾーンみたいなことだったりします。難しいね。

「何ですか?グレーゾーンって」と言われそうですけど。
ラインを越えないと発達障害と言わないんですよね。
発達障害傾向であって困っていても、この診断基準を満たさない場合は「該当なし」になってしまうんですよ。
うつ病、躁うつ病、統合失調症もそうです。PTSDもそうなんですよね。

この症状とこの症状がある。
これぐらいの期間続いているということであれば、診断基準を満たすということなんだけども、それに満たない場合は病気と言われにくいんですね。
だけど、診断基準を満たすから病気で治療を受けなきゃいけなくて、グレーゾーンは困ってないというわけではないんですね。

こういう場合は診断で困ったりするし、医者も「○○疑い」という形で言うことが多いです。
そこら辺の細かいニュアンスやこういうことなんだというのは、長く通院していくとか、精神科のことをよくわかってくるとわかるんですけど、なかなかわかりにくいなとは思います。

だから結局「診断に満たないんだよね」と先生から言われた時に、「自分は病気じゃないってことなのか」「甘えなのか」と自分を責めてしまうかもしれないんですけど、決してそうではなくて、苦しいのはわかるけれどもラインは超えていないよねということです。

ラインなんかない方がいいのかもしれないですね。そう考えると。
ない方がいいかもしれないけど、ないはないで困るからね。
本当に精神科の診断というのは色々な意味で難しいですね。難しいというか、どういう風にカテゴリーしていくのか、どういう風に学問としてやっていけばいいのかは人類はまだわかっていないんですよ。
科学哲学的な分野になってくるんですけども、そこでもどうしたらいいんだということを日々研究したり、ディスカッションされているけれども、答えが出ていないという感じです。

ASD/ADHD

発達障害はASD(自閉スペクトラム症)とADHD(注意欠如多動症)とLD(学習障害)の主にこの3つから成り立つんですけども、その3つが合併していることが結構多いです。
LDはなくても、ASDとADHDを合併していることは多いです。

ASDの特徴として、忘れられない、こだわりが強い、別の角度からものが見れない、そういうものがあります。
この「忘れられなさ」がPTSDの症状のようなことを起こすことがあるんですよ。
つまり、フラッシュバックですね。

嫌なことやトラウマを思い出しちゃう、突然思い出しちゃう。そして忘れられない。
これがASDの症状から起きているのかもしれないし、PTSDがあるから起きているのかもしれないし、この奇妙な重ね合わせの結果増強されているかもしれない。
ちょっとわかりにくいですけど関係ありますよね。

ADHDは衝動性があったり不注意があったりして、危険な場所に行ってしまうことが多いんですよね。
その結果、人よりもトラブルに遭うことが多くてトラウマになりやすいということも結構あります。
だから発達障害とPTSDを合併している人は結構多いですね。

危険な場所というと、歌舞伎町とかそういう夜の街だけかというとそうでもない。
それだけじゃなくて、例えばアパレル、不動産、金融系とかハードワークですよね。華やかだけど、ハードワークな場所ですね。そういうところに行っちゃうと。
あと怖い人がいたりしますよね、ここら辺の業界には。

血の気が多いというか、バイタリティがあるというか、ヤンキー上がりというか、そういう系の人たちもいる。
だからみんな気を遣ってあまりズケズケ言わなかったりするのを、そこをズケズケ言っちゃったりして反感を買ったり、キレられるとかあってトラウマになってしまうということも結構あるなと思います。

「ああ、怒られちゃったな」と思って、「でもこんなこともあるか」みたいな体育会系のノリで忘れられたらいいんだけれども、なかなかそういかないのが発達障害的な人の特徴です。
いつまでも嫌な記憶を忘れられないこともあるなという感じです。

ケース紹介(創作)

例えば症例としては、40代の女性で結構お洒落な人です。お洒落で洋服が好きなんですね。
だけど目立ちすぎちゃうんだよね。
目立ちすぎちゃって、男性からのアプローチや性的な危険によく遭うことがあるということです。

世の中はこうなんだよみたいな話をしていくと、暗黙知というのがよくわからないんですね。
あそこへ行くと結構危険だよねとか、怖い場所は歌舞伎町だけじゃないよねとか、そういう雑談の中で「あれ?どういうことですか?」と引っ掛かることが多かったりするという感じです。

その女性は家事やマルチタスクが苦手だったり、休日はひきこもり気味になってしまう。
つまりトラウマがあるので回避してしまう。
うつっぽい、麻痺症状みたいなものがあってトラブルのある場所に行けない。怖くて行けなくなってしまって、半分引きこもりみたいになることも多いですね。

あと、男の人に不倫相手にさせられそうになってしまう。
そんなつもりはないのに、ちょっとフランクだったりすると、こっちに気があるのかなと相手が勘違いして、この人も暗黙的なルールが分からなくてOKに思われてしまう。
それですごくトラウマみたいになることも結構あるなという感じです。
だから結構難しいですね。

お洒落な格好をそういう場所でしてくると、デートの服着てきたみたいに見えるから、こういう時行く時は地味な格好がいいよとか、「それって私の楽しみを奪うってことですか?」とかね。
奪うってことですかという言い方をするかどうかわからないですけど、でも「自由がないじゃないですか」とか、色々なことを言われたりしますけど、でも社会はこうなんだよとか。

面倒くさいですけどね、一個一個丁寧に伝えていく。雑談の中で伝えていくというのは発達障害の人にとっては重要だなと思います。

こちらが思っている以上に相手はよくわかってないことがいっぱいあるので、一個一個丁寧にこういうものなんだよと説明してあげるというのは、発達障害の治療においてはとても重要です。

自尊心の回復

PTSDの治療もしていく必要があるんですけれども、暗黙知がわかっていないということを、その人の責任にしちゃいけないですよね。

普通はわかるだろうとか、私はわからないけど、私はダメな人なんでしょうかとか。
そういう風に被害に遭ってしまうとか、苦しい思いをしているというのは自分がダメなんでしょうかというと、そうじゃないんだよということをきちんと説明していく。

かといって、あまりにも相手が悪いよと言うとつじつまが合わなくなっちゃうんですよね。
社会や会社の人は、「でも相手にもこういう事情があるのでは?」「あなたが悪いんじゃない?」と言われることもあるので、診察室と彼女ら彼らが暮らしている日常とがあまりにも意見にギャップがあったらうまくいかない。
会社側の人や周りの人が言っている意見も踏まえて、うまく橋渡しをしてあげる必要があります。

その中で自尊心を回復していくということが重要かなと思います。
発達障害の理解と対策をしっかりしていく。障害を理解していって、日常生活と対策を一個一個丁寧に伝えていくということが重要です。

社会への恐怖、つながり

社会に恐怖を抱いてたりするので、ここは大丈夫なんだよ。でも、このケースは大丈夫じゃないかもしれないねとか、そういうところですね。
向こうは白黒になってしまっているので、もっと粗いんですよね。
モザイクが粗いので、発達障害の人はもっと細かくモザイクを作っていくというイメージです。

ここは白だけど、ここは黒。ここは微妙とか、そういう細かいところをやっていく。
全部が怖いわけじゃないですから、社会は。もちろん怖いところもたくさんありますけど、そういう風にアップデートしていく必要があります。
あとはつながりや仲間を作っていくことを援助していくことも重要かなと思います。

結局、雑談の中でも社会をどう捉えるのかということですよね。
認知の修正やティーチングの要素はとても重要です。
ただ、あまり言い過ぎると一方的に言ってしまうと相手の自尊心を傷つけることにもなります。
だからティーチングをしつつ、でも相手の気持ちも大事にしつつ。
お洒落をしてはいけませんと言ったら、ある意味そうと言えばそうなんだけれども、楽しくないし、自分の好きなことを否定されているような感じになってしまう。

じゃあどういう時にそういう格好ができるのかとか。
合わせ方とかバランスの取り方もきちんと一緒に考えていくことは重要です。
頭ごなしに「それはダメなんだよ」とか言うとダメですよね。自尊心が傷つけられてしまいます。

今回は、発達障害とPTSDというテーマで、合併しやすいよということをお話ししました。


2023.7.6

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