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ひきこもり・うつ病のケーススタディ。30代女性、ひきこもりのうつ病

00:00 OP
00:22 ケース紹介(創作)
05:11 うつの時は

本日は「30代女性、うつ病、ひきこもり」というケーススタディをお話ししようと思います。

ケース紹介(創作)

32歳の女性です。父親は61歳で、母親は59歳でパートをしている。
妹がいて、妹は結婚して子供もいるという感じです。

このA子さんは大学卒業後、会社員として働いていました。でも、忙しすぎて29歳の時に退職する。
退職後なかなか復職できず、そのままひきこもり状態で今3年経っているという感じです。
ひきこもりの状態が長いので、精神科につながったというケースです。

こう聞くと、働けている期間が長いなという気がしませんか?
会社員として7年くらいは働いているんですよね。そうすると、典型的なひきこもりのケースとは違う。
本人も社交性があったりして、コミュニケーションがすごく下手なわけでもない。
認知の歪みはさほどないという印象だったとしましょう。

このケースは創作なのでどういう言い方かアレですけど、僕の中でかなり明確にイメージがあるので、さも自分が体験したみたいな言い方をしますが、あまり気にしないでください。

何だろうなと思いながら通院をしながら、でも自尊心が少し低くなっている。3年間も働けていないからね。
自尊心が低くなっているとか、社会に対する恐怖感とか、妹に対するちょっとした嫉妬とか、両親に対する申し訳なさを扱いながら話を聞いている。

でも、一番のメインは体力や気力が自分にはないんだ。苦しさ、多忙から来るうつを味わいたくないという恐怖感だったという感じです。

通院から1、2年経つ中で、やはりこの人に波があるなということにようやく気付くんですよね。
最初のうちはなんかこじらせているのかなとか、調子悪いんですと患者さんが言った時に、ひきこもっている側の負い目なのかなとか思っているんだけど、何か違うなと。

何かこう体力の低下とか食欲の低下とか寝れない感じが、心理的な要素だけで説明がつかない。
食べられない時には1日1食になる。「だって動けないからほぼベッドの上にいるだけだからなんですよ」と言うかもしれないけど、それでも1日1食は少ないよなとか。
その1食もほとんど食べない。
お弁当を1個ようやく食べられるくらいですみたいな感じで、これってもしかして普通にうつ病なんじゃないのか?ということですよね。

うつの期間が6ヶ月とかあって、再発予防の時が1、2年とかあったりするんですよ。
うつの状態の時が、うつ病のうつ状態だとわからずに、ただただ怖いような状態だったということですね。

これってあなたうつ病ですよね。
うつ病というのはこういう病気ですよ。潜伏期間もあったりして、でも調子が悪くなると1、2ヶ月とか半年ぐらい調子悪い時があるんだよと。
調子が悪くなると確かに動けないし、食べられないしみたいな期間があって、死にたいとか恐怖に襲われる期間がありますよと。

薬をしっかり飲めばこの病気は症状が軽くなって、波はあったとしても小さくなりますよ、みたいなことを言うと、そうなんですかと薬をしっかり飲むと良くなるということです。

本人が薬の治療を希望しないとか、心理的な要素を中心に語ると、治療者側も無理に薬を飲ませるものでもないしなみたいな形で治療は進んでしまうんですけど、こういうしっかり話を聞くだけじゃなくて、通院しながら1年、2年一緒にやり取りしていく中で見えてくるものはたくさんありますので、その中で診断がはっきりして薬を使うようになったと。

そして薬を飲むことで良くなってきて、働くまではいかないけれども彼氏と同棲したりして、今楽しく過ごしているというケースですかね。

うつの時は

うつの時にはやっぱり薬を飲んだりしてゆっくり過ごさなきゃいけない。
毎年この時期なのかねとかいって、毎年梅雨の時期になるとやっぱりうつっぽくなるよねとか、2月、3月、4月はちょっと調子が悪いから薬をしっかり飲んで、通院間隔を狭める必要があるんだねみたいな話をしたりするという感じですかね。

普通のひきこもりではなく、心理葛藤の問題ではなく、やはり内因性うつなどしっかり薬を入れてあげることでフォローできる病気もたくさんあるので、何でもかんでも心の問題にしないというか、何でもかんでも本人が望まないから薬はダメだとか、そういうことではなかったりします。

何でもかんでも薬を出す医者はダメなやつだと思われがちですけど、そうじゃないんだよね。
やっぱりこういうケースがあるから、薬を出すとか、薬の治療を広めに捉えるというのは大事なんですね。

薬が効かないなと思いながらも、薬を調整し続けることも結構重要なので、何でもかんでも心理の問題にしないというのは大事です。
こういう創作ケースだと、ひきこもりになるまで7年きちっと働けていたというのが単純なひきこもりを疑いますよね。

やはりひきこもりになる人たちは、中学高校で不登校の時期があるとか、働けたとしてもそんなに働けなかった。2、3年でやっぱり潰れちゃったとかが多いので、そういう意味では典型的なひきこもりじゃないので、うつ病を疑えてしっかり薬の治療ができたという感じかなと思います。

今回は、30代女性うつ病のひきこもりという創作のケーススタディをお話ししました。


2023.7.10

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