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発達障害グレーを否定する精神科医

00:00 OP
01:57 精神科医とは?
07:19 今の状態を把握してプランを立てる
10:51 人生に正解はない

本日は「発達障害を否定する精神科医」というテーマでお話ししようと思います。

精神科医は、あなたは病気ですよとか病気じゃないですよとか、正常ですよ、正常じゃないですよということを判断するのが仕事と思われています。
もちろん、そういう側面もあるんですけれども、それは一部でしかないんです。

コメント欄を見ていると、病院行ったけれど、あなたは病気じゃないと言われましたとか、グレーゾーンじゃないと言われましたとか、あなたにはトラウマがある、トラウマはないです、PTSDじゃありませんと言われましたとか、そういうコメントを見ますね。
それ以来、精神科へ行くのが怖くなっちゃいましたと書いてあるのもよく見ます。

「精神科に行ったら何でもかんでも病気と言われて病人扱いされて、薬を無理やり飲まされるんじゃないかと思って嫌です」とか、そういうのもよく見ます。
何でもかんでも病人扱いして儲けようとしているんじゃないかとか、そういうコメントもよく見るんですけれども、そういうものじゃないんですよね。
精神科医はそもそもそういう存在ではないんです。

そこら辺を僕なりの言葉で説明してみようかなと思います。

詳しくは「精神科医の本音」という本を書いていますので、そちらの方を読んでもらえたらよりわかりやすいんじゃないかなとは思いますが、最新版の、僕なりの精神科医とはこういうものであるということをお話ししたいなと思います。

精神科医とは?

精神科医とはそもそもどういう存在なのかということですよね。

精神科医というのは、精神医学的に診断して処方したり、福祉につなげる存在である。
医療というのは仁術であり、どんな人にも愛情を注ぐ。障害がある人にも差別偏見がなく、精神科の患者さんに対しても愛情を注げる。そしてその愛情を補うことで、心を癒していく、病気を治していく存在である。

精神分析的なイメージがあって、カウンセリングで人には言えないことを言ったり、それを聞いたりしていく中で、心の真実を発見し理解してもらうことで、心を理解する特別なノウハウを患者さんと共有したり、理解してもらうことで病気を治していく、心が強くなっていってよくわからないうちに治っていく。
そういうイメージがあるかもしれないんですけど、それは精神科医の1つの側面ではあるんですけども、誇張されたり誤解があるものだと思います。

僕は精神科医とは何かと言ったときにもっと違う存在だと思っています。
神経科学を中心に、全身や薬理科学を理解している存在であり、理系的な考え方、ロジカルに考えたり、統計や確率を理解していく中で問題を整理し、コンサルティングできる存在が精神科医なんじゃないかなと思っているんですよね。

最新のニューロサイエンスを中心に理解し、全身のことを科学的に理解し、その上で理論的に今の問題を把握し直して、感情や主観に左右されるのではなく、理系的に問題を整理して、それをわかりやすく患者さんに伝え、最適なプランを一緒に選べる存在、というのが精神科医なんじゃないかなと思っています。

どうしてそう思っているのかというと、僕自身がもともと自衛隊にいて、自衛隊に行くと医師というのは参謀の一人なんですよね。
部隊の参謀の一人であり、参謀として部隊長や長の人に対して医学的な見地を伝えるために存在するということなんですよ。
そういうのもあるし、僕はもうインフォームドコンセントの時代で育ったというのもある。
患者さんにコンサルの人が多かったりもするのはあると思うんですね。今の臨床の現場では。

だからそういう風に考えていて、いわゆる昔ながらの父性の強い医師像というのは、イメージとしては薄くなっています。
多くの人にとってもそういう感じなんじゃないかなと思いますね。

こういう部分で理解しているんだけれど、一方で上の部分も追い求めてしまうからどういう存在なのと思ってぐちゃぐちゃする。
都合よく解釈して腹が立ったり、都合悪く解釈して不安になったりしているのかなとは思うんですけれども、あくまで患者さんの話や様子から、医学的に、過去の臨床経験や最新の臨床から、普段見ている他の患者さんとの経験から、その人の問題を整理した上で合ったプランを提案しているというのが精神科医なんじゃないかなと僕は思っています。

もちろん愛情が足りない人に対して愛情を注ぐとか、全ての患者さんに対して別にわざわざ差別偏見を持ったり、わざわざ憎む必要もないわけで、距離を取りつつ愛情を持って接しますし、心の秘密を一緒に考えていくこともします。
適切に診断したり、処方したり、福祉を導入することもしますけど、基本的には理系的にコンサルティングしていくということなんじゃないかなと思います。

脳はまだわかってないし、意識はどういうものかよくわかっていないし、過去に医学以外にも人間の心や人間の意識、人間の考え方を倫理や哲学を持って解釈してきたという歴史がありますので、その歴史やそこでの思想を応用しながら一緒にビジョンやミッションを考えていくというのが精神科医の仕事です。

今の状態を把握してプランを立てる

患者さんは困っている時にいつ来たらいいですかということなんですが、困っていたらいつ来てもいいですね。
それがメンタルと関係があると思うのであれば、別にいつ来てもらっても僕は構わないと思ってるんですよね。
どんな問題であっても、僕は来てもらって構わないと思っています。

今の状態を物理的に把握していくということだと思います。
何かイライラしてるんですけど、どうしてですかね、寝不足ですかね、うつなんでしょうかねとか、そういう状態を一緒に考えていくということだと思います。
僕は専門家ですし治療経験もたくさんありますから、そういう中で今の状態はこうですよというのをアドバイスしていく感じです。

そしてセルフモニタリングの手法を一緒に身につけてもらったり、今ある心の状態を混沌から秩序立てるように言語化していく言葉を覚えてもらう。
精神医学を中心とした色々な学問や理論を覚えてもらうことで、今の心、社会、人間関係の混沌としたものに名づけ方を覚えてもらって、そして頭を整理していく、問題を整理してもらうことをすればいいんじゃないかなと思っています。

その結果、どんなプランや戦略を取るかというのは患者さんそれぞれ違うわけですよね。
必要があれば薬を使った方がいいですし、必要があればカウンセリンでもっと深めていくこともあるだろうし、必要があれば福祉を導入していけばいいわけでということです。

この診断だからこうしなさい、ということではないんですよね。
テストの合格・不合格みたいに、あなたはこの病気です。病気だから薬を飲みましょう。薬を飲んだ治りますよ。
あなたは病気です、だからこれをやりましょうとか、そういうものではない。

今こんな感じで、こことここが弱くてこういう感じに結果的になっているから、システム上こういうジレンマが起きているから、ここを治していきましょうとか、問題を整理していきましょうと提案して、必要があったら薬を使ったりするということです。

でも薬を出すことが多いですね。
それはなぜかというと、抗うつ薬を飲むことで不安に強くなるというのがあるし、発達障害であれば薬を飲むことで不注意が減ったりするんですよね。

副作用がない限りは薬を提案することが多いです。
精神科医の中で一つあって、名医よりヤブの方がマシみたいな言い方がある。やっぱり薬はきちんと出していた方がいいんですよ。
「この人はこういう問題かもしれない」「薬は必要ありませんよ、あなたは心の病だから一緒にカウンセリングしていきましょう」と言って薬を出さずに1時間話を聞く精神科医よりも、きちっと薬を出す精神科医の方が治療成績がいいことはもうわかっているんですよね。

だからある程度広めに薬を出すことはあります。
うつ病の範囲を広く取るとか、発達障害の範囲を広く取るとか、PTSDの範囲を広く取って薬物治療をちゃんと適用することはよくあります。

人生に正解はない

精神医学を否定する人はいますけど僕も意見はそんなに大きく違いはなくて、人生に正解はないですし、心の苦しみに正解はないんですよ。
どういうプランを組めばいいのかとか、どういう生き方を選べばその人が幸せになれるかは千差万別であって、答えはもちろんないですね。
こういう病気ではこうしましょうというのはない。

過去にこうしてますよとか、多くの人はこうしてますよとか、統計的にこうした方がいいと知られてますよということは伝えることができますけど、別にそれを絶対選べというわけじゃないですね。

コスパがいい治療法が良いわけじゃないですからね。
個性的な家だってあっていいわけですよね。大手の会社が作った家にみんな住みたいかもしれないし、転売したりするためにはマンションの方がいいとかいろいろありますけど、それが全てじゃないですからね。

別に個性的な家を建てたって良いわけですよ。コスパの悪いね。
不思議な形をした家を建ててもいいわけで、まあそういう風に思います。
どんな道を選んでもいいと思いますね。もちろん、民間療法とかを僕はオススメしないですよ。金の延べ棒をさすりますとかね。

うつ病だとわかっているのに薬を出さないというのは、医師の倫理観に反すると思いますけど、そうじゃない範囲であれば、ある程度自由は利くと思います。
自由に治療を一緒に考えていく方がいいと僕は思っています。

「益田とどう付き合うか」ということだと思うんですよね。
精神科医益田裕介とどう付き合うかということですね。大学病院とか大きい病院ではないですし、クリニックなので僕はもう開業してますから。
よほどのことがない限り、僕はここで臨床をあと20年、余裕があったらプラス10年やると思います。
その間、益田と付き合いながらやっていけると思います。

その上で益田とは相性が合わないなということであれば、東京はクリニックはいっぱいありますから、色々なものから選べばいいと思います。
益田のコンサルティングというか、益田の見方で問題を整理したり、益田のことを信用してちょっと話を聞いてみたいなことであれば、通院してもらえばいいんじゃないかなと最近思います。

昔は精神科医というのは相性があってはいけないとか、個性があってはいけないとか、診断書も病名をつけたらかえって患者さんは甘えて悪くなるんだとかそういう風に思っていたというか、そういう風に教わってたんですけれども、昔の先生からね。

でも時代を経ることによって世の中も変わってきていますし、変化に合わせて先輩のドクターももちろん僕も医療に関する考え方が変わっています。
正解はないですから、相性とかもありますし。
でもこういう人生のプランを一緒に考えていけたらいいんじゃないかなと思います。

益田の患者さんは初診を一回受けたら再診はいつでも来れるんですけども、通院ができなければ益田と付き合えないのかというとそういうわけじゃなくて、YouTubeを見たり、コメント欄を通じて付き合っていくというのも、益田と付き合っていく、僕らとの関係がある、繋がりがあるということだと思います。

自助会もやってますからね。自助会に入ってもらっても繋がりはできる。
もちろんそんなに僕は毎回毎回へばりついて自助会にいるわけじゃないですけども、中川さんやリョーハムさんもいますから。
そういう中でゆるやかに繋がって、プランとか戦略を一緒に考えていけたらなと思います。

今回は発達障害を否定する精神科医というテーマで、精神科医とはどういう存在なのかということをお話ししました。


2023.8.10

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