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精神科医、心理師の実力と成長、相性?

00:00 OP
00:43 実力とは?
05:08 相性とは?

本日は「精神科医、心理師の実力と成長、相性?」というテーマでお話ししようと思います。

よく患者さんや患者さんの家族は、「医師との相性は大事ですよね」と言います。
でも、僕はこの言葉はあまり好きじゃないです。
相性じゃなくて、やっぱり実力がしっかりあるかないかが大事だと思います。
今回はそこら辺の話をしようかなと思います。

実力とは?

まず、精神科医や心理師の実力ってどういうものなのかということです。
人間がやることですから、実力差というのはあります。
ピンキリになってしまうんですよ。どうしてもそういう要素は否定しがたいと思います。

実力とはどういうものかというと、例えば冷静な状況理解ですね。
患者さんの訴えから冷静に理解していく。患者さんの言動だけで理解しようとするのではなくて、その背景にあるものをどこまでリアリティを持って想像できるのか。

それは優しいとか心がけの問題ではなくて、知識、経験がすごく効きます。
そうしないとわからないですよね、社会のことや患者さんの背景、家庭の状況とか。
そして自分の感情を入れ過ぎず、相手の感情に飲み込まれず、しっかり状況を理解できるか。
そしてその状況の中から最善策を正しく論理展開の中で導けるかということなんです。

正しく論理展開をしていく中で、患者さんが取るべき合理的な正解の行動を、複数提示できるのかが大事です。
ここでは正しく論理展開していけば良いだけであって、そこに価値観や信念、これがいいだろうという主観はいらないんですね。
正しく論理展開できるか。

そしてその中できちんと説明ができるのかこういうことがあるので、こういうメリット・デメリットがありますよ。
薬を飲むことはこういうメリット・デメリットがあって飲む方をおすすめしますよみたいな説明能力がきちんとあるか。
それは相手のレベルや相手の病状に合わせて説明のやり方も変えていかなければいけないですから、そういうプレゼン能力がしっかりあるかないかということですね。

あと、相手は人間なのでロボットじゃないわけですよね。
だから正しい情報を伝えれば良いというわけではないので、感情のやり取りがあります。
そこで感情のやりとりを適切にできるのか、親密感をどういう風にコントロールするのかもとても重要です。

あとは予測する力です。
今後、患者さんがどういう風に変化していくのかを予測する力も、知識、経験がないと難しいかなと思います。

僕も若い時に比べて、今の方が実力がついてきていると思います。
最低限の実力はありますよ。それは医師国家試験に受かっているからとか、専門医試験に受かっているから最低限のものはあるけども、それはお寿司屋さんでお寿司をようやく握れるようになったというか、お米を炊いて魚を乗せて握ってお出しできるようになったというレベルですよ。

お寿司屋さん同様、そういうものには本当に修行が必要なんですか?みたいなことを言われるじゃないですか。
このものを出すだけだったら、修行はいらないですよね。

最低限のレベルを目指すのであれば修行はいらないですね。だから精神科医も同じですね。
あくまでそこは最低限のライン。

でもそこから先の実力は、やはりどういう風なトレーニングを組むのか。
自己流でやるのか、師匠のところでコミットしてやるのか、それとも師匠との距離をもうちょっと取ってやるのか、人それぞれ良いやり方はあると思うんですよ。
自己流で試行錯誤する方が得意な人なのか、そうじゃなくてもっとしっかり学んだ方がいい人なのか。
それとも臨床をベースに理解していくよりは、色々な分野で人と出会うことで成長していくのがいいのか。

実践派よりも文献を読む方が成長につながりやすいのか、いろいろなタイプがありますが、実力というのはありますね。
あとはその地域性とかね。地域の中で密着している方がその地域の人を見やすいとか、色々な要素の組み合わせであると思います。
だから職人系の人を想像すればわかると思いますけど、そういうのと似てますね。
実力や成長というものがもちろんあります。

相性とは?

相性と言いますけど、相性という言葉はあんまり好きじゃないんですよね。

相性というのはどういうものかというと、例えばコミュニケーション能力の問題だとか言ったりします。
コミュニケーション能力が高いと相性が良かったりしますけど、治療者側がきちんと共感しているだけとか、相手を動かそうとする意志がなかったり、治療を諦めているケース。
この人はどうせ上手くいかないんだろうと諦めていて、その場の機嫌を取っているケースというのも僕は結構あるんじゃないかなと思うんですよね。

治療の中では、やはり患者さんの世界観、認知の歪みを治す、世界観を変えてあげる必要があるんですよ。
世界観を変えるということは、彼らが信じている価値観や信念や知識というものを否定ないし修正するものなんですね。
だから必ず葛藤が生まれる。
自分を責めるだけじゃなくて、その葛藤の中には落ち込みがあったり否定があったり、そんなの嘘じゃないかとか、怒りがあったり、そんなこと言わないでください、優しい先生に戻ってくださいみたいなやり取りがあるわけですよ。

こういう葛藤の中で嫌な気持ちになったりもするかもしれないけれど、そこを相手に合わせすぎないというのがとても重要です。
かといって、こちら側を押し付けたらただの教育的虐待みたいな形になってしまうので、その駆け引きの中でうまくやっていくのがとても重要です。
相手の能力を見定めながら、決してこちらが良い人になり過ぎないのがすごく重要です。

だからちょっと苦しいぐらい、ちょっと嫌だなというくらいをやるのは結構重要なんですよね。
患者さんが「いや、相性悪いんじゃないか」「この治療者じゃダメなんじゃないか」という疑念を持たせないのも僕は良い治療とは思わないんですよ。
そういう瞬間がなければ葛藤がないということなので。
そしたら患者さんを動かしていないということなので、動かす努力を放棄していると僕は思います。

自分自身の経験からもすごく思います。自分がやはり色々なものを疑ってきたんですよ。
親、学校の先生、自衛隊、精神分析、他の精神科医、開業医の先輩、経営者だったり色々な人を疑ってきました。

その中では相手のことをすごく意地悪な人間だと思ったりしたこともあるし、自分の方が優れているのではないかと万能感に浸ったり、相手を否定したり、落ち込んだり、怒ったり、色々ありました。

でもやはり相手は相手で動く部分もあったけど、放棄はされなかったですね。
そういうことは重要なんじゃないのかなと思います。

その中で相手も100%万能ではないから。でも自分はその人たちから学ぶことはあったし、色々なものを与えてくれていたんだと気付けることが重要です。
単純に心地良いだけは良くないと思います。それはいくら自信がなくなっている、いくら自己肯定感が低い人であったとしても、僕はそう思っています。

自己肯定感も低いし、地の能力が低いんだからそんなことできないじゃないかというのは、治療者側の諦めみたいな形でスポイルのような感じがしてしまいます。

価値観や信念が似ているのも大事なんですけども、でも似過ぎていてもあまり良くないんですよね。
結局、葛藤が生まれないので。
患者さんというのは、ある意味違う価値観の人たちとうまく生きていくことを覚えることも大事なんですよね。

違う価値観の人と一緒に生きる必要はないんだけれども、距離を取ればいいんだけども、かといって治療者とも価値観が違うから離れて良いんじゃないかというと、離れて良いんだけどそのバランスというかそこら辺もあります。

あとは人格をちゃんと尊重してるのかも大事ですが、これはあくまできちんとあるという前提です。
実力があればちゃんと人格を尊重しているということもありますから。

あとはなんかね、言いたくないですけれども、最近色々な場面で言われたりとか、これを隠すのも何かなと思うので言いますけど、IQの差だったりメタ認知能力とか論理展開のレベルの差が大きすぎると、やはりうまくいかないことも多いのかなと思います。

患者さん側がわかっていないけどわかったフリをすることも結構多いんだろうなと、色々な人のコメントも見ながら、自分の過去の臨床経験も見ながら思います。

YouTubeをやりながら僕も説明し方がうまくなったと思いますし、色々な人がいて、今回はここら辺の人たちにわかるようにしようとか、ここら辺の人たちにはわからないかもなと思いながら喋りながら変えているんですよね。

僕の動画は40代や50代の女性が中心で、どちらかというとメンタルについて詳しい人たちがよく見ている動画なんですね。結構マニアックな動画なんですよ。
一方で10代とか若い子たちを無視しているチャンネルでもある。
無視はしていないんだけど、でも彼らにぴったりの動画とは僕も思っていないんですよね。
でも難しいですね。マーケティングの観点でもあるから。
だけど、こういう問題もやっぱり内在しているんだろうなとは思います。

ちょっと耳に痛い言葉ですけどお話ししました。
でもこういうものも含めてやっぱり相手に合わせていって、相手の成長を願ったり考えたりしていくことが治療者の実力だったりすると思います。

そして、そういうことをしていく中で、治療者も成長していけると僕は思っていて、僕自身も1年、半年ごとに成長しているなと思いますね。
チャンネルが大きくなっていくにつれて責任が増えたり、色々な人と出会いがあって、色々な人との疑問やディスカッションを経て、自分自身も成長しているような感じがします。

僕の成長というのは皆さんに還元できるように常にアウトプットしていきますから、ぜひ一緒に動画を通じて成長していきましょう。


2023.9.20

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