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発達障害の治療の流れ

00:00 OP
01:28 薬物療法
04:42 福祉
06:32 言語的介入
10:41 背景理論がある

知らないと月5万円以上の損。精神障害年金って知っていますか?
https://youtu.be/KjSRuilZdSQ

本日は「発達障害の治療の流れ」というテーマでお話ししようと思います。

発達障害は最近だと「神経発達症」と呼び名が変わったんですけれども、わかりやすいので発達障害と言わせてください。
発達障害っていうのは、ASD/ADHD/LD(限局性学習障害)この3つに分かれるんですけども、今回は主にASDとADHDの治療について述べようかなと思っています。
だいたい発達障害というと、ASD/ADHDのことを指すことが多いですからね。

ASDとADHDは合併することが多いです。
ASDが重めだけどADHDで問題が起きていることもあるし、ADHDがメインなんだけども、ASDがネックになっていることもあったりします。

どんな治療をするかというと3本柱なんですよ。
薬と福祉と言語的介入(カウンセリング)この3つを持って治療していくという感じですね。

薬物療法

薬物療法についてはどんな治療をするかというと、ASD自閉スペクトラム症に効く薬というのは基本的にないんですね。
ADHDに効く薬を使えます。
コンサータ、ストラテラ、インチュニブ、この3つをのどれかを使っていく。場合によっては合わせ技を使うことがよくありますね。

でもASDの人にもADHDの薬を使うことが結構あります。それはなぜかというと合併しているからというのもあるし、わずかではあるんだけどもADHDの部分が軽くなることによって、ASDの症状がよくなることがあるんですね。

例えとしてわかりにくいかもしれないですが、自宅から東京駅に行くために、まず最初に自宅から新宿駅まで行って、新宿から東京駅に行くとするじゃないですか。
新宿から東京駅に行く電車をスピードアップすれば、最終的に早くなるんだけれども、ここじゃなくて自宅から新宿駅までのところをわずかな距離なんだけど、今まで徒歩だったのをバスにするだけで、結構早くなったりしますよね。
それと同じで、全体の症状としては、困り事を引き起こしているメインがASDであっても、ADHDの部分が良くなると困り事がぐっと減ることがあるので、まあこういう薬はよく使ったりします。
なんかわかりにくいですかね。

あとは発達障害の人は睡眠リズムが崩れやすいので、睡眠薬が必要なことが多かったりしますし、二次障害としてうつになってしまう、うつ病のようになってうつっぽくなることもあります。
あとはパニック発作が出たり、パニック障害様のことが起きることもあるので、抗うつ薬を入れたりします。
衝動的だったり、怒りっぽかったりする時があるんですね。
やや妄想的になることもあるので、抗精神病薬を使うこともあったりします。
この調整はちょこちょこありますが、主にここら辺の薬をうまく組み合わせてその人に合った薬のメニューを考えるというイメージです。

一発で決まらないですよ、これは。
初診でしっかり話を聞けば、一発で薬が決まるわけじゃなくてちょこちょこいじっていくわけですよ。
「いや、この先生薬の使い方うまいな」というんじゃなくて、後医は名医という言葉もありますから、諦めずに通いながらちょこちょこ調整していくことが大事です。

勘の良い悪いは確かにあるかもしれないですけども、ほぼ運ですね、ここら辺は。
薬理機序もわかりながら調整していくんですけれども、ここら辺はちょこちょこいじってるという感じですね。

福祉

福祉については、手帳、年金、生活保護。
子供だった場合は通級を利用するとか、特別支援学級に行く。
大人だった場合は就労移行支援とか就労継続支援型A型、B型作業所を使うとか、地活を使うとかになります。

お金の支援としては手帳ですね。精神障害者手帳を初診から半年ぐらい経つと取ることができます。
あと通院費が安くなる制度としては自立支援があります。これはすぐ取れるんですね。
3割負担の人が1割負担になるので、これもいいですね。
手帳を取ると自立支援がついてくるので、長く通院するなとわかった段階で自立支援を申請するんですけれども、その時にはだいたいあと何ヶ月かで手帳を取れるから、最初から手帳を取るかなというパターンも珍しくないです。
手帳を取るとですね。税金が安くなったりして手取りが結果的に増えたりするので、手帳を取ることもよくあります。

初診から1年半経つと障害年金が取れたりしますので、発達障害でも年金は取れますから。
もし詳しく知りたい方は他にも精神での年金障害年金の話をしてますので、概要欄から見てください。

あと生活保護ですね。年金はなかなか取れないことが多いんですよ。条件が厳しかったりするので。
その場合は生活保護を取ってしまうということもあります。

あとは薬だけではやはり発達障害はよくならないので、トレーニングをする必要があります。
福祉のサービスと繋がることでトレーニングを受けてもらうということになります。

言語的介入

精神科の外来ではですね。言語的介入をしていくということです。

カウンセリングではどんなことをやっていくのかと言うと、主にはまず総論ですね。
見方を変えていく、世界観を変えていく、自分の考え方を変えていくということで、僕は「主観2.0」という呼び方をしているんですけども、少しずつ物の見方を変えていくようなアプローチをしたりします。

あとはセルフケアですね。
自分の体をどう休めるのか、そういうやり方を覚えてもらう。
何か疲れるんですと言った場合、あなたは疲れない努力をしていますかとか、休むことを意識してますかと言うと、皆さんきょとんとすることが多いんですよ。
疲れる前に休もうとか、昼休みにスマホをいじり過ぎずにちょっと休む。目を閉じながら仮眠じゃないけれども、ゆっくり休む時間を作ろうとか、そういう技術を身につけてもらうことをやったり、セルフケアのやり方を一緒に考えたり、自分の疲労度や自分の感情が今どうなっているのかを把握するトレーニングをしたりします。

あとは感情ですね。
感情コントロールのトレーニングもしたりします。
アンガーマネジメントと言ったりするのですが、感情に身を任せたらうまくいかないので、感情をどうコントロールするか、感情をどう抑えていくのか。感情と自分をどう切り離して生きていくのかということを身につけてもらうこともやったりします。

あとは発達障害の病気それ自体の勉強してもらうことも大事です。
カサンドラですね、発達障害の人と一緒にいるとうつになっちゃう人がいるんですね。
特にパートナーの人はうつになってしまうことが多いんですけれども、そのことも知ってもらった方がいいと思います。
自分の病気のこと、そして自分の病気が周りにどういう影響を及ぼすのかも、知識として知ってもらうのが大事かなと思います。

あとはライフステージですね。
人間は何歳ぐらいでどんなことが起きるのか。何歳ぐらいでどんな悩みごとを持つのか、何歳の時には脳の状態はどんな感じで、どういうことを考えがちなのかを理解してもらう。

あと社会問題ですね。
今、自分が苦しんでいるのは、社会的な問題が背景にあったりするので、社会の問題とか社会背景も理解してもらう。
そうすることで、自分を過度に責めなくてもいいし、周りを過度に責めなくなるので、そういうことも理解してもらう。
こういう知識もつけてもらう。

あと二者心理です。
相手はどんな人間なのか、そして相手と自分が一緒にいる時にどういうことが影響し合うのか。
発達障害の患者さんは自分中心で考えがちで、相手の立場で考えたりとか、こう来たら相手はどう思うかを、考えているようで真剣に考えたことがないんですね。それを考える癖をつけてみる。

正しいコミュニケーションとはどういうものなのか。
コミュニケーションをする時にどういう風に会話をするべきなのか。
ノウハウは人類がため込んできたものがありますので、そういうのを理解してもらったり。
あと無意識の影響で相手をどう思ってしまうのか、無意識に相手に怒ってしまう時はどういう時なのかという精神分析的な理解も学んでもらったりします。

あとは集団心理ですね。
人間というのは集団になると、一人一人は問題なくても集団が集まることによって変なことをしたり、逆に良いことをしたりすることもあるんですね。
組織とはどういうものなのか、集団とはどういうことなのか、集団が問題を起こす時にはどういうことが起きるのか、病的な組織とはどういうものなのかを学んでもらうのも大事な側面かなと思います。
あとはポジションの問題とか、地位が高い人低い人はどういうことなのか、誤解していることが多いのでこういう集団心理や組織力動も理解してもらうといいかなと思います。

背景理論がある

こういう話を患者さんに合わせて診察の場面ではちょこちょこ小出しにしながら説明しているんですけれども、益田の主観だと思われていることが多いんですね。
これは別に僕の主観で言っているのではなくて、背景理論というのがあるので、その背景理論を学んでもらえたらなと思ったりはします。

ただこういう学習、大雑把に言ったら学習ですけが、こういうのは知的すぎるんだよね。
知的すぎるので工夫が必要なんじゃないかなと思います。

診察の中でちょこちょこ小出しにしていって、こういう全体像を理解してもらうというのもいいんですけど、やっぱり知的すぎるし、なんか難しいと思います。
障害が重ければこれが難しいと思うので、そうすると障害に合わせた工夫が必要かなと思います。
場合によっては、福祉の中でやるとか、体験学習の中で学ぶとか。
ただ会話の中や一方的な座学で覚えるだけだとやっぱりハードルが高いので、色々な工夫が必要じゃないかなと思います。

発達障害の治療の流れは薬の調整しつつ福祉を導入し、これらのことを少しずつ理解していくということになっていくんですけれども、なかなか難しいですね。
大雑把な話を今回してみました。では、分からないことはまたコメント欄に入れてください。次の動画のヒントにします。


2023.9.21

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