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発達障害とアンガーマネジメント

00:00 OP
01:14 薬物療法
01:46 言語介入
02:58 どうやったら知る痛みを乗り越えられるか
04:36 ストレスのケア

本日は「発達障害とアンガーマネジメント」というテーマでお話ししようと思います。

発達障害の人は自分を責めたり、相手を責める。とにかくストレスがたまっていて疲弊していて、悔しい思いとか悲しい思いをたくさんしているんですよね。

だから、なかなか感情のコントロールがうまくいかなかったりします。
もともと感情のコントロールをするのが苦手な人も多いですね。
だから、このアンガーマネジメントという感情のコントロールという技術を一般の人よりもはるかに努力をして、はるかに高いレベルで身につけなければいけないですね。

だから大変です。益田裕介よりもアンガーマネジメントが得意にならなきゃいけないんですよ。
僕は教えておきながら、自分でできないことを患者さんにやってもらおうとしているので、何なんだコイツと思われそうですけれども、でもまあそういうことです。
今回はアンガーマネジメントの話をしようかなと思います。

薬物療法

感情のコントロールをするのに、どういうアプローチがあるかというと、薬物療法と言語的介入ということになりますで、薬物療法としては、感情の衝動性を抑えるためにインチュニブという薬を使ったり。

あとは抗精神病薬ですね。
リスペリドン、エビリファイ(アリピプラゾール)、オランザピンやクエチアピンを使って何となく感情の爆発とか衝動性を少しでも軽減できるようなことをします。

言語介入

ただ、薬だけですべてがコントロールできるものではもちろんなくて、本人の考え方だったり、どうして怒ることになったのかということを解明しつつ、本人の認知も変えてあげる必要があります。

本人のものの見方を変えていくことを、僕は主観2.0と呼んでいます。
これもまた別の動画を撮っているので、もしよかったら見てください。

主観2.0を再考する

新しい考え方ができることによってこだわりが減るんですね。こだわりが減ることによって、今までこれは許せないなと思ったことが、まあいいじゃないかと思えるので、そういうものを目指しますということですね。

ただ、物事の見方を変えるときには知る痛みというものがあるんですよ。
今まで考えていたことを変えなきゃいけない。今まで怒っていたものを許さなきゃいけない。今まで差別していたものを取り入れなきゃいけない。納得しなきゃいけない。
そして自分の弱さも受け入れなきゃいけないので、そこにはすごく痛みを伴います。
だからなかなか知りたくないんですよね、ということがあります。

■どうやったら知る痛みを乗り越えられるか

どうやったら知る痛みを乗り越えられるかというと、まず一つは本人の自尊心を高めていく。

自己肯定感を高めていくということが重要だし、あとはラポールですね。信頼関係。
治療者との信頼関係、家族との信頼関係、今周りにいる人との信頼関係を高める必要があります。
そういうつながりの中で知る痛みに耐えやすくなったり、自尊心が高いことで乗り越えていけたりするので、こういうものを高めていくのが必要かなと思います。

ラポールを作るためにはどうしたらいいのかというと、やはり発達障害の人たち特有のものの考え方とか、言葉の使い方がありますから、わかりやすい言葉で相手の立場に立って相手の能力や相手の知識・経験に基づいて耳の痛いことを言うということですよね。
わかりやすい言葉を使って、少しでもラポールを作っていくということになります。

知る痛みが起きるときには、混乱したりぐちゃぐちゃになってしまうこともあれば、過敏さですね、そもそも痛みに対する過敏さがあるんですよ。
だから他の人よりも痛みに弱いことが多いですね。発達障害の人は。

そういうことも理解しつつ、バランスを見つつ、相手の様子を見ながら知ってもらうということですね。
知識や経験が積み重なることによって価値観が変わり、価値観が変わっていくことで、自分の中の世界観とか考え方とか認知の構造が変わってきますから、知ることはとても重要ですね。

ストレスのケア

アンガーマネジメントで重要なこととして、セルフケアですね。
疲れていると怒りっぽくなるので、疲れないように休む訓練、うまく休む方法を学ぶ必要があります。

例えば、発達障害の人は偏食の人が多いんですけれども、やっぱり偏食だと食べているものが悪いので回復が遅れますよね。
ビタミンを摂っていないとかあったりするし、逆に食べ物に興味がないと本当にギリギリにしか食べなくなっちゃったりして、体のダメージの回復が遅くなったりしますからしっかり食べることを身につけてもらうとか、バランスよく食べることを身につける。
そういうのも含めたセルフケアなので、やってもらう。

あとは、ストレスマネジメントと言われるんですけど、今の自分の状態を管理したりする。
今日はこれぐらい頑張れる、今日はこれぐらいしか頑張れないなということを把握して、それに基づいて計画的に行動することも覚えてもらう必要があります。

今日はなんか元気だからいっぱいやりました。翌日は元気なかったんであんまりしませんでしたというと、社会人として機能しなくなってしまうので、うまくいってやりたくても我慢する。
それで、ちょっと調子悪いけれど最低限ここまではやるみたいなマネジメント能力を高めていく必要があります。
優先順位をしっかりつけるとかね。今日は調子悪いから仕事はするけど、部屋の片付けはしないよとか、そういうマネジメントが大事ですね。

よくあるのは「いや、仕事だけで片付けていないから私は最低なんです」と言って、自分を責めてかえって調子が悪くなることがあるんだけれども、いや今あなたは調子悪いから仕事が最低限できていればいいんだよ。だから部屋の片付けはちょっと先延ばしにしよう。また来月やればいいじゃないと思えればいいわけですよね。
そういうマネジメント能力を高めてあげる必要もあります。

あとはマインドフルネスですね。
人類というのは、今ほど平和の時代を生きたことはないんですよ。

飢餓の問題、病気の問題、戦争、虐待、色々な問題があって、今も決して全ての人が平和な状況で恵まれた生活を送っているわけじゃないですが、かといって人類史上やっぱり現代が一番恵まれていると思います。

そういう中で先人たちはどうやっていたかというと、神を信じ祈ったり、瞑想したりしていたわけですね。
だから現代人というのは、神様を信じられないことが多いと思いますが、そのエッセンス、祈っていたとか瞑想したというそのエッセンスは今日でも活かすことができるわけです。

それをどう活かそうかという形で、マインドフルネスという技法が今精神医学の中では発達しています。
これも身につけてもらうといいんじゃないかなと思います。

ただ、普通の瞑想だと発達障害の人は苦手なことが多いので、ちょっとした工夫が必要だったりします。
瞑想ではなくて逆に運動をするとか、瞑想ではなくてプラモ作りをするとか、電車をただ見る、電車に乗ってただ窓を見る、そういうちょっとした工夫をすることでマインドフルネスと同じような体験をする。

そして、マインドフルネスを身につけることによって、感情的な自我と観察する自我を切り分けて物事を考えられるようになったりします。
セルフイメージが変わっていきますし、豊かになっていくのでマインドフルネス身につけてもらえたらなと思います。

でも、いわゆる瞑想を頑張ってやろうとするのではなく、その人に合った、その人のこだわりに合った形のマインドフルネスを見つけてあげることが結構重要だったりします。

こういうことを言うと、今回の話もそうですけどちょっと知的すぎるよね。
知的すぎてあんまり良くないなと僕も思います。
これはエッセンスであって、カウンセリングの中でやるというよりは、その人に合ったやり方を工夫する必要があります。
体験学習なのか福祉なのか、テレビゲームなのか、一緒に畑作業をするのか、作業療法なのか、色々なパターンがあると思いますけども、あくまでこれは理論的なものであって基礎なんですよね。

だけど、発達障害の人に対しては、もうちょっと応用や工夫が必要だったりしますから、このままをやろうとすると上手くいかないんじゃないかなと思います。

今回は、発達障害とアンガーマネジメントというテーマでお話ししました。


2023.9.28

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