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「普通じゃないとダメ?」と悩む子育ての苦悩

00:00 OP
01:14 フェミニズム in ネオリベラリズム
06:57 内なる差別をなくす

本日は「普通じゃないとダメ?と悩む子育ての苦悩」というテーマで、うちの子は普通じゃないんですとか、普通になってもらわないとと思うお母さんの気持ちを解説してみようと思います。

案外こういうことを言う男性は少ないんですよ。
「うちの子普通じゃなくて悩んでるんです」「普通の子ができることができないんです」と言って悩む父親はあまりいないんですけど、女の人はよく悩みますね。臨床でもよく聞きます。

なぜこんなに普通至上主義なのかということですけれど、よく聞いてみると「普通」じゃないんですよね、そういう人たちが求めている「普通」って。
普通よりちょっと上というか、平均点よりちょっと高めを全部取りたいという完璧主義というか、そうじゃないと幸せになれないんだというような、先入観というか思いにとらわれていることが多いなと思います。

フェミニズム in ネオリベラリズム

これは何なのかなと思って、ずっと悩んでいるというか答えを探してたんですけど、フェミニズム in ネオリベラリズムと書いてますけども、新しい女性像。
新自由主義というか、新至上主義というかそういう中で求められている女性像に、彼女たちは圧迫されているからなんじゃないかなと。
そして自分たちの圧迫が子供に投影や転移されているからなんじゃないかと思ったということです。
これを話そうかなと思います。

フェミニズムとは何かというと、女性像からの解放ですよね。
男性社会が作った女性像からの解放ということですけども、良妻賢母であれという女性像からの解放です。

今の女性像というのは何かというと、仕事もできて、家事育児もできて、旦那さんとは仲が良くて、恋愛もうまくやっていて、若くて美しい女性というものがSNSやコマーシャルによって作られていて、それが押し付けられている。

男性もSNSやコマーシャルで作られた女性像を信じて、それができていない女性をあざ笑うというかね、非難するみたいなところがあったりするという最近よく言われる指摘です。

現代は能力主義で自己責任論が横行していて、仕事がちゃんとできない人間はダメなんだとか、家事や育児がちゃんと普通以上にこなせないとダメなんだとか、夫婦仲も良くないとダメなんだ、不倫や浮気をしてちゃダメなんだ、不倫や浮気をされるあなたは不幸なんだ、みたいな言葉が横行しています。
圧迫しているという感じですからね。

「私は不幸なので子供には不幸になってほしくない」と思って、子供に対しても普通、全ての分野において普通以上を求めるということが多かったりします。

でもまあ、全てが普通に成長していくことはあり得ないですから。
できることもあればできないこともあるし、こっちは得意だったらこっちが不得意なまま成長していって、また25歳とか30歳ぐらいになったら、できなかったこともできるようになるというのが人間の成長だったりする。

瞬間瞬間で「これができてないんです」「あれができてないんじゃないか」と心配する必要はないんですよね。
そんなことできないですから。
できないんだけれども、それに支配されているというのがよくありますね。

でもそれは子供だけじゃなくて、自分にもそれを課していて、仕事はこんなもんじゃダメなんだとか、これぐらいもっとできなきゃダメなんだとか、家事や育児だってここができてなかった、私はダメだなとかそう言ってる人は多いです。

実際に夫から「君はこれぐらい稼いでくれよ」とか言われていることも多いなと思ったりします。
どんな言葉かというと「この子が障害者だとは思ってないんだけれども、これができていないからやっぱりダメなんでしょうか」とかそういう質問をされることが多かったりしますね。

「障害だと思っていないんだったらいいじゃないですか」と言うし、「大丈夫ですよ。安心してください。成長って人それぞれありますから、ゆっくり待ちましょう」と。
「20代過ぎても、今の子は大人になるまで時間がかかりますから、待ってください」とか。

「転職する時に1年、2年働けないとかそういうことだってありますから。今留年したって浪人したって別に変わらないんですよ」とか、そういう話をしたりします。
「子供の将来が不安で」と言ったりして、「いやでも、日本はこれから不景気にどんどんなっていって困るんです」とか言いますけど、大丈夫ですから。餓死なんかしないですから。

これはまあすることがあるかもしれないけれども、その時にはどうしようもないので、今の自分たちの努力じゃどうしようもないですから。
大衆の努力なんてなるようにしかならないので、あまり先のことを考えてもなという気がします。

あと「努力しないんです、ゲームばかりで」と言って、「先生は成功者だからいいですけれど、もっとやらせたいんです」って言うんだけども、本人それぞれできることがありますから。
確かにドクターというのは恵まれているというか資質として恵まれているんですよ。

頭がいいというのももちろんあると思います。あると思うんだけど、それ以上に体力が結構ある人が多いんですよね。
だからずーっと勉強できるんですよ。頭を使い続ける体力があるから。
でもなかなか子供によっては体力がなかったりする人も結構多い。でも体力は目に見えないからまだ頑張れるとか思いがちなんですよね。

だけど、そういうものじゃないんですね。走る体力はスコアに出しやすいから見えやすいんだけども、勉強を長くできる体力があるんですよね。
机の前に座っていられる体力、ずっと一つのものを考え続けられる体力もあるので、これはやっぱり生まれつきのものもあります。

それは努力なんですよとか言いますけど、努力じゃないんですよ。体力があるだけですから、元々。
本当にそう思います。
あとは「私は不幸なので、子供には」みたいなのもありますね。

内なる差別をなくす

大事なことは内なる差別をなくすことでもあります。

できない人や普通以下の人をさげすむ、人をバカにする、そこに対する不安、近づきたくない、ああはなりたくないという逆差別みたいなものがあったりするのでこれを取ってあげる。

あとは元々ある虐待とか、そういうトラウマの影響で過度に不安になっていたり、未来に対して不安があったりそういうこともあるので、いじめとかそういうものを取ってあげる。

あと子供との距離を取るってことですね。
自分の不安を相手にぶつけていないか、相手に投影していないか、自分の悩みをさも子供の悩みのようにしていないか、普通以上になりたいというものを子供に押し付けてないかというのは大事かなと思います。気付くことは。

だから「私は不幸なので、子供には」というのは、あなたの不幸をまず治していくことが大事なんじゃない?ということですよね。
あなたが不幸だと思っている、不安を感じていることを一つずつクリアにしていくことが大事で、それを子供が成功することで、私の不幸が報われるというのはやっぱり良くないですよね。
子供に対してすごく苦しめることになりかねないですから。

うまくいけばいいですよ。うまくいかないこともありますからやっぱりこういうのは良くない。
だから落ち着いて、冷静になっていこうということですよね。
落ち着いて冷静になるためのテクニックがあります。
マインドフルネスとかボディコントロールをしっかり覚えていくことが重要かなと思います。

あとは体力管理も大事ですね。
やはり体力が落ちている時とか疲れている時は感情的になりやすいし、冷静に考えられません。
女性は男性のように体力がないですから、しっかり休むことが大事だったりします。
奥さんが休めるように旦那さんが協力することが重要だなと思います。
僕もできていないですけど、できるだけやりたいなと思っています。

体力がある女性ももちろんいるんですよ。でもない女性もたくさんいるので、そこがわかっていない男性の人たちは多いし、社会もよくわかっていないなと思います。

だから女性に男性と同じことを求めているし、仕事では。
そして家でも同じことを求めるわけですよね。
だから体力というものは計算に入っていないんですよね。何かを考える時に。
脳の疲れは筋肉の疲れみたいに1日で出てくるものじゃなくて、数ヶ月後に出てきたりもしますから。うつとしてね。

でも気持ちの問題だから頑張れよと思うんですけど、そうではなくて疲れが溜まっているということなので、しっかり疲れを取る。疲れに早めに気づく。セルフモニタリングの能力を高めることも重要かなと思います。

今回は、普通じゃないとダメ?と悩む子育ての苦悩というテーマでちょっと難しい話ですけどもしてみました。


2023.10.7

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