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メンタルヘルス大全プロローグ

00:00 OP
03:08 無から生まれて無で終わる
05:19 レールの上で
08:19 マインドフルネス

本日から「メンタルヘルス大全」ということで、今まで僕は1500本以上の動画を撮ってきたのですが、一度これらをまとめて、僕はどんな風に治療を考えているのか、どんな風に人生を考えているのか、社会を捉えているのか、という話をしたいなと思います。

僕個人はできるだけ教科書や科学的な知識、哲学的な知識、色々なものに基づいてできるだけ主観が入らないように話しているつもりです。
けれど僕の中では、やはり今までの経験、治療の経験、自分自身の人生、そして色々な知識が混ざり合って出来上がってきているので、どうしても主観的な部分が入らざるを得ないのかなとも思ったりしています。

これは僕の体感的な理解でもあるんです。
クオリア問題みたいなところもあって、全ての人が同じように理解したり、腑に落ちるものではないと思うんです。
ただこれは僕の一つの見方なので、そういう話をこれからしていこうかなと思っています。

今回はプロローグという形です。

これまでの書籍は科学的であろうとするが故に、全体を語る、臨床全体を語ることをしてこなかったんです。
書籍だと紙面の都合があるので、全てを網羅することはできなかったんです。
でもYouTubeというのは無限にコンテンツを作り溜めることができるわけです。
だから紙面の都合を考えずに自由に述べることができるという感じです。

あとは手振り身振りなど、その人らしさも見せることによって、これは科学的なことを言ってるな、これは益田の主観で言ってるな、と見る側聞き分けられると思うので、そういう点でもYouTubeだから良いのかな、という気もしています。

ひとまず僕自身が、こういう風にやったらいいんじゃないか、こういう風にやっていけば心が楽になるんじゃないか、治療が進むんじゃないかということを、これまでの色々なものを複合して、これからお話ししていこうと思いますので、主観的な部分は主観的、これは教科書的という風に、できるだけ使い分けて話そうと思いますが、最後まで付き合ってくれたらなと思います。

無から生まれて無で終わる

まず最初に何を話そうかというと、僕自身が人生や社会をどう捉えているのかということを俯瞰的にお話ししようかなと思います。
主観的な話ですね、一番最初にすることは。

僕は、無から生まれて無で終わると思っています。
宇宙というのは無の状態からバッと発現して、それでなぜかよくわからないけど、生命というものが生まれて、生命はなぜか進化をして。

微生物だったんですよ。
元々微生物だったんだけど、段々細胞と細胞が繋がって大きい生物になっていき、そしてほ乳類が生まれ、猿のようなものができた。
猿が進化してきて、原始人のような人間が出てきて、今では僕らのような人間の生活をしているという感じですね。

御存じないかもしれないですが、太陽にも寿命がありますから、寿命が尽きると太陽の寿命に合わせて、人類もいつかは滅亡するだろうし、もちろん銀河系を超えていくということはあるかもしれないけれど、そこまで人類が科学力を高められるかどうかわからないですね。
逆にそこまで高めていった人類というのは、もはや僕らと同じ生き物とは思えないですから。

ゆるやかに僕らは僕らとして死んでいくということなのかなとは思ってます。
いずれ宇宙はまた無に戻っていくんじゃないかなと思ってます。
こういう風に思っています。

今の時代の中にも、拡大していくと生から死というものがあって、この一本のレールというか、運命に沿っているのは僕ですね。
色々な生から死というものがあって、一つの時代でも無数の生から死というレールがあるんじゃないかなと僕は思っているんです。
たまたま僕はこのレールに乗っているという感じです。

レールの上で

レールたらしめているのは何かというと、遺伝子とこれまでの知識や経験や運です。
立場とか環境などでできあがってくる。

だから私というのは、僕は、我思う故に我あり、みたいなデカルト的な自我というものをあまり信じてないんです。
自由意志があるとは思っていなくて、たまたまこの遺伝子とたまたまこの経験や知識の組み合わせで、僕みたいな精神が生まれていて、たまたまこの立場だからこんな活動をしていると思ってるんです。
そんな感じ。

精神科医YouTuberとして今求められているので、それをやっているという感じです。
こういう風になるとは思わなかったんですよね。
それまでは自衛官としてやってくんじゃないかなとか思ったりしてたし、そもそも医者になるとも思ってなかったんですけど、たまたま今ここにいるんだろうなと思ってます。

中高時代から僕はSF好きだったので、世界観自体は実はあまり大きく変わってないんです。
何かこういう風に思ってます。

このレールの中で、じゃあどんな風にやっているのかというと、僕は武道が好きなんです。
レスリング部だったし、武術が好きで、武士道も好きなんです。

基本姿勢があって、このときには心なく欲望なく感情なく静寂とした構えができている。
この構えのところから、何かが起きるとそっちの世界に行く。
感情的になったり、でも感情的になってそこを味わいながら、また元の姿勢に戻ってみる。

そしてメタ認知をするんですよ。
何であんな風に思ったんだろう、ということはこういう問題があるんじゃないか、という風に解釈して最適な行動を取る。

またパッと動いて問題について考える。
問題について考えた後に、その問題の中に入り込むんじゃなくて、また一瞬その世界から身を引いてこれをメタ認知する。

なぜこんな問題が起きているんだろう、なぜ僕はYouTubeで再生回数を増やそうとしているんだろうという形で考えて、またメタ認知して、自分とは何か、そういう問題や感情を味わうことを通じて、また元の姿勢に戻ってメタ認知をすることで、自己理解を深めていって最適な行動をとろうとしているという感じです。不安もそうです。

そういう「動く、戻る、動く、戻る…」を繰り返していく中で、だんだん成長していくという感じです。
成長もしていくし、問題解決能力も高まっていく。
だけれど老いが来て、いつかヨボヨボになって死んでいくという風に思っているという感じです。

これが僕の社会観であり、世界観であり、人間観なんです。
基本の姿勢があって、その姿勢からズレていって、姿勢が崩れているけど、行動して、また戻って、みたいなことの繰り返し。

マインドフルネス

この基本というのをどうやって身に付けるかというと、マインドフルネスなど禅的な思想なんですよね。
自己と向き合う中で、自分にとってふさわしい、正しい姿勢というのが何となく分かってくるんですよ、規則正しい生活をしていく中で。

正しい姿勢の中で成長していったり、学びがあったりしていく。
姿勢を崩して何かをするんだけど、また姿勢を戻すということの繰り返しなんじゃないかなという風に僕は人生を捉えているんです。

精神科の治療もこういうもんなんじゃないかなと僕は思っているんですよ。
臨床はこうなんですよね。

常に自分がいて、冷静で、患者さんに共感したり感情的に入り込むことはあるんだけれど、すぐ戻って、それはなぜ起きたのかを冷静に考えて、冷静に反応する。
それはときに、支えてくれない、寄り添ってくれない、共感性が低い、と言われるんですが、やはり中立だし、そして精神科医というのは最終的な決断をする人でもあって、リーダーでもあったりするので、やはり自ずとこうなるんじゃないかないう気がします。

精神分析の世界では「平等に漂う注意」と言ったりしますが、姿勢を崩さずに正しい姿勢で話を聞いたり、問題解決を考えたりするというのはそういうことなんじゃないか、本当に武士道とか剣道、空手、武道とも似ている感じがします。

それは精神科医としてもそうだし、患者さんもそうなんだよね。
患者さんも不安になったり苦しいんだけれど、一回冷静なポジションに戻る。
冷静なポジションから今自分にどんな問題が起きているんだろう、どうしてこんな感情になってるんだろう、ということを考えていく、冷静なポジションになってメタ認知をしていって、自分の生い立ちを考えたりする。

だけど患者さんというのは、この世界をぐるぐる回ることが正解だと思っている人もいるんだけれど、違うんですよね。
ベースの世界、ベースの基本姿勢に戻ることが大事。

だけど、このベースの基本姿勢にいるというのも結構苦しいんです。
あるがままの自分を見なければいけないんですね。
自分の弱さだったり、自分の老いだったり、自分の死だったり、自分の欠点だったり、どうしようもなく自分が傷ついていることを知らなければいけないので、ここにいるのもキツイですね。

問題が起きていても基本姿勢に戻るというのは大事です。
漫画のキャラクターでも、攻撃を受けて血を流しながら、でも基本姿勢をとるじゃないですか。
五体満足だから基本姿勢ができるわけじゃなくて、どこか怪我があっても、この姿勢に戻して、身構えて次に何が起きるかを考える、ということはとても重要じゃないかなと思っているという感じです。

これからのシリーズはこれを身に付けてもらうための講座をやっていこうと思います。
年内で終わろうと思いますが、そういうことをしていく中で、改めて皆さんと一緒に治療論を考えていきたい。

一回語ると、たぶんこの治療論の欠点も出てくると思うんですよね。
修正していけると思うので、一回ですね、1500本以上撮りましたし、YouTubeももう50万人いきますし、何だかんだ言って再生数と登録者数が日本一になりましたから、一回こんなことをやっても許されるんじゃないかなと思います。

ということで、今回はプロローグという形でお話を終わらせていただこうと思います。


2023.10.19

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