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思春期の難しさ

00:00 OP
01:15 10代の脳は特殊
05:48 個人個人の違い
07:15 挫折を味わう時期
08:02 虐待と性的虐待
09:34 なぜ「普通」にこだわるのか
11:20 親や教師の問題

本日は「思春期の 難しさ」というテーマでお話しします。

思春期の子たちは治療するのも、治療じゃなくても、一緒にいるのも、親が子どもを育てるのも、学校の先生が子どもたちを教育するのも、子ども同士が付き合うのも難しいですね。

思春期は難しいんですよ。
それは彼らがまだ知識経験が足りず、人付き合いが苦手だとか、それだけの問題じゃなくて、脳の問題だったり、ホルモン的な問題だったり、色々なものが絡むからなんです。

その結果、病んでしまう人が多いです。
特に「普通」にこだわる子たちが多かったりしますね。
それは親もそうですけどね。
でもこのこだわりが故に治療が遅れてしまうとか、治療の進みが遅くなってしまうということも多くあります。

では、何が難しいのか、なぜこだわるのか、ということを今回お話しします。

10代の脳は特殊

まず10代の脳ですね。
10代の脳というのは特殊だよ、という話をします。

当たり前と言えば当たり前ですけど、今までの子どもの脳と比べて、急激に第二次性徴期に入るわけです。
そうすると、性ホルモンが活性化して、グッと大人になっていくわけです。

今まで考えられなかったような複雑なこと、抽象的な情報も扱えるようになるし、そういう脳の変化も起きるんだけど、一方で性ホルモンの影響で迷いやすかったり、混乱しやすかったりします。
色々なことが起きる時期、脳の中身が入れ替わるような、脳自体が成長するような時期です。

この時期はどんな時期かというと、まず一つは、ドパミンに敏感になる時期なんです。だから刺激が好きなんですよ。
刺激が好きで、ジェットコースターなど危ないことがすごく好きなんです。
新しいものが好きで、それに対して凄く興奮を覚える。楽しいんですよね。
それは大人の脳みそや、それまでの脳みそとはちょっと違って、刺激に飢えているというのが10代の脳です。

だから集中力がないんですよね。
発達障害の子どもじゃなくても、集中力が基本的にない。なかなか我慢できないし、色々気が散ってしまいます。
そういう感じです。

だから勉強しようと思っても遊んじゃうとか色々あったりするので、ある程度自由を制限してあげないとなかなかできないんですが、でも自由を制限されたくないという。複雑ですよね。

もっと複雑な自我が芽生えてきて、親に反発したい、大人に反発したい、社会に反発したい、という思いも強くなっていくんです。
その結果、自分の欲望に支配されてしまうし、それを外から制限しようとすると反発があるという時期です。

性ホルモンが出始めて、それに対して過敏に反応します。
女性であれば、PMDDじゃないですけど、生理の前に落ち込むとか、そういう感情の揺れを感じやすくなってしまうし、男の子も感情が揺れるのですが、より競争を好んだり、好戦的になったりします。
男性ホルモンとはそういうものなので、そういう影響が起きたりします。
女性は不安定に、男の子は好戦的で攻撃的になっていく、という影響ですね。

社会への反発みたいなものがあるし、あと仲間への意識ですね。
他人の目がすごく気になるんですよ。
今まで感じなかったのに急に複雑なことを考えられようになるものだから「えっ?コイツ友達って言ってるけど、本当に友達なの?」と疑ったり、不安になるんですよ。
だから仲間に対して仲間意識を持とう、仲間だよ、友達だよ、ということにすごく関心が向いて、大人以上に友達関係を重視したり、友達がいないことに対して悲しんだり、コンプレックスを抱いたりします。

これらが重なると、悪いことをすることで何とか繋がろうということも起きたりします。
例えば昔だったら暴走族みたいなことですね。
悪いこと、ヤンキー、不良、そういう形で絆を作る。「悪いことをお前もできるの?」みたいな。

心掛け一つじゃないですか。
勉強をすることで、いい成績を取ることで仲間を作る、スポーツで仲間を作る、何でもいいんですけど、そういう努力を要することでチームを作っていくというよりは、これがやれるかやれないか、これを持っているか持っていないのかで仲間を作るのははるかに簡単なので、そっちの方に流れていってしまう。

結果、大人が嫌がることをしたいので、悪い仲間というのを作りがちです。
それは別に夜の買い食いみたいなところから、学校をサボって映画へ行くみたいなところから、最近だとODやリストカットをSNSで共有するようなトー横系みたいなものまで時代とともに様々ですし、地域によっても様々あります。
こういうのもやりがちですね。

個人個人の違い

そういうもの以外にも、より物事を複雑にさせているものがあって、例えば個人個人も結構違うんです。

例えば10%弱は発達障害の傾向があったり、グレーゾーンだったり、発達障害があったりします。

こういう子たちはより集中できなくて、関心があるけど相手の気持ちを読むのが苦手で、その集団の中で特異な感じになってしまうし、いじめられたりされやすいです。仲間外れされやすかったりします。

あとは15%弱の境界知能と呼ばれる子たちです。
知的活動が多いので現代社会というのは、勉強ができなかったり、何かできなかった時には、お前はダメなやつだ、と言われて。競争的ですから、この時期は。
女性もそうですよ。男性の方がより強いですけど。

そういう中で劣等感を抱きやすいし、劣等感を押し付けられやすいです、俺の方が強いんだぞ、みたいな形でね。だから苦しいだろうと。

あとは生まれ持ったバイタリティーの違いも如実に出始めます。
元気な子は元気ですし、元気がない子はすぐ体調を壊す。
個人差も結構あるので、こういう時に「何で自分は…」みたいなことになりがちだなと思います。

挫折を味わう時期

こういう時期に初めて自我を持つんですけど、挫折体験をする子たちが多いですね。
というか挫折を味わう時期でもあります。

たびたび挫折を味わうんですよ。
中学受験、高校受験、大学受験、新社会人かな、10代ではないですけど社会人、あと大学へ行かずに社会人になった時、色々なタイミングで選考されるので、その選考で100%勝つ人はいませんから。

あとは恋愛ですよね、恋愛。
自分が好きになった人がパートナーに選んでくれるのかというのも選考じゃないですか。
挫折して孤独感を感じたりとかというのは、何度も何度も経験するし、そういう時期でもあったりします。

虐待と性的虐待

あとは危険なことを受け入れてしまうこともあるんですよね。
結局、弱者である。
若いというのは弱いんですよ。
弱いので、その結果、より年配の人たちから虐待を受ける、男女ともにですけど、性的虐待を受けることはあります。

あとはアルコール、大麻、そういうドラッグの影響を受けてしまう、ドラッグを教えられてしまう。
自分が手から出してしまう。抜けられなくなってしまう。
あとギャンブルですね。
そういうものもあったりします。
あとはSNSとかを通じて買い物依存に持っていかれるなどがあります。

この時期に大きなストレスを感じてしまうと、また薬物によって脳にダメージを食らうと、大人よりも敏感に反応します。
場合によっては、将来的にうつ病や双極性障害、統合失調症、他の依存症などのリスクとなります。

この10代という脳みそが作り変わる時期に、やはりこういう大きなストレスを感じてしまう、大きなダメージを負ってしまうと、将来的な精神疾患のリスクは上がるということはもう明らかにわかっているので、ここも注意しなければいけないなということです。

だからアルコール、タバコ、大麻、別にみんなやってるじゃないか、安全なんだよ、大人がやってるから大丈夫なんだよ、と言うかもしれないけれど、やはり子どもの脳には危険だったりするし、全員が発症していないからいいだろうと言うかもしれないけれど、やはりリスクのあるものなので、そういう理解はとても重要かなと思います。

なぜ「普通」にこだわるのか

普通になぜこだわるかということだけれど、こういう影響があるので、結局仲間意識ですよね。
過敏なので、普通じゃないとダメなんだ、優劣に対して関心がすごくあるということで、普通にこだわっているというのがあります。
普通じゃないルートというのが見えにくいので不安になります、未来に対して。
色々あります。

拍車を掛けているのが、現代社会における自己責任論ですよね。
何でもかんでも自己責任論、アメリカ的な感じですよね。
自己責任なんだ、これも自己責任でしょ、これも自己責任なんですよ、と自己責任論と、そしてそれに拍車をかけるようなSNSですよね。
弱者叩きのようなSNSによって、優しい言葉をかけても、それが耳に入らず、厳しい言葉だけが耳に入ってしまうということがあります。

日本社会というのはそもそも和を重視する国家なので、国家というか文化なので、その和を重視するという文化の中で、弱い、劣っている、ついていけないというのは、すごく大きな挫折であるし、排除の要因になるので、そういうカルチャーの面でも追い出されてしまう、苦しくなってしまうということがあります。

欧米では自己責任論があっても、この和の重視という要素がないので、もうちょっと規律や個人の自立を、個人は個人でしょというカルチャーだから、自己責任論もどこか厳し過ぎる時もあるんだけど、オブラートに包まれるところがあるんだけど、日本は和を重視するがゆえに、自己責任論がオブラートに包まれる部分もあれば、逆に弱者に対してすごく厳しくなるところもあったりするなということです。
これは色々なケースごとにちょっと意味合いが違ったりしますけれど、こういうのはあります。

親や教師の問題というのもあって、やはり今の貧困の問題、学校の先生の働き過ぎ問題とかあったりして、こういう問題があって、なかなか子どもの方に良い影響を与えられないと苦しんでいるいうのもあるし。

あと独身者が増えているということですよね。
独身者が増えていく中で、じゃあ社会的に子どもへの対策を取ろうとすると、自分たちの利益が減るじゃないか、という問題もあったりして、そこも意見の分断になってしまって上手く回らないことかなという気もします。

でも色々思いますが、そういう中でこれらをきちんと言語化していって、それを伝えていくというYouTubeは大事だなと僕は思っています。
じゃあ益田は何ができるの?と言われたら、YouTubeを使ってこういうことを知ってもらうというのも大事なんじゃないかなと思います。

このYouTubeを見ている人たちは心は脳であるということなんかは、もう聞き飽きたよと思うと思うんですけど、まだまだ世の中の人に心は脳であるということは知られていないし、例えばそういう10代の脳というのはちょっと変わってるんだよ、特別な配慮をしなければいけないんだよ、ということをきちんと理解している人も少ないと思います。
たふん15%とか20%くらいだと思います。
もっと少ないかもしれない。

発達障害や境界知能、生まれながらの違いということを知っている人も同じくらい少ないでしょう。
こういう自己責任論に傾いているという社会の無意識、社会の構造に気づいている人ももっと少ないんじゃないかなと思います。

そういう人たちにとって当たり前にしてもらう、当たり前にわかることで当たり前の人が増えると、また世の中全体が変わっていくと思います。
世の中全体が変わっていけば、子どもの悩み、子どもを助ける方法というのも変わっていくと思うので、そういう意味でYouTubeは大事だなというとに思っています。

それは書籍や文章、テキストの時にはできなかったことでもあるし、動画だから伝えられることがたくさんあると思うので、大事だなとは思っていますけど。
ということで、自分ができることはここかなと思っています。

あとは、自助会や家族会もやってますので、子育てに悩んでいる方はそちらの方に入ってもらうのもいいし、コメント欄を通じて繋がってもらうのもいいかと思います。


2023.11.25

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