診察の中で「がんばるのをやめないとね」という話をすることが多く、世の中的にもそういった空気を感じます。FIRE(経済的に自立して早めにリタイアする)を目指したい、都会に疲れた、家族との時間を大事にしたい、そもそもお金をそんなに稼がなければいけないのか、などコロナの影響もあってガツガツがんばることからシフトしてきているように思います。
臨床目線でいうとコロナ以前から「そんなに頑張らなくても良いんだよ」と伝えることはよくありました。最近はあまり聞かれなくなりましたが、「平凡恐怖」といって他の人と同じは嫌だ、特別でありたいう願望から摂食障害や派手な行動を取ることがあり、そういう人にも頑張らなくて良いんだよと言ったりします。
フロイトによれば、超自我(親の教え、社会のルール等)とリビドー(人間が持つ動物的なエネルギー)を自我が調整しているのですが、「がんばる」というのは超自我に支配されてしまい頑張りすぎて苦しいという状態です。超自我が強すぎる場合は、親の意見、上司の意見を真に受けないで自由な発想で考えてみることが大事です。
がんばるをやめるを一言でいうと、「それ、今必要なの?」ということだと思います。通勤は本当に必要?高い家賃は本当に必要?ブランド品は本当に必要?
平凡恐怖があるからがんばるのであれば、周りを見下さずに認める、自分も周りと同じで良いと認めるように努めます。逆に親(超自我)を理想化しすぎている場合はそこから自由になることを考えます。
がんばるのをやめるのは、本当に行動をやめることではありません。現状の努力の継続は必要ですが、それが本当に必要なのか見直してみましょう。