妄想を抱く病気に統合失調症がありますが、これは10代〜20代で発症する病気です。ですが中高年になって突然妄想が出現することがあり、「老年期精神病」や「遅発パラフレニー」といった病名を付けることがあります。
鑑別としては、脳炎、せん妄、認知症、うつ病などです。見逃してはいけないのがアルコールです。中高年で突然妄想が現れるのは女性が多いのですが、女性の場合隠れキッチンドランカーだったということがあります。
遅発パラフレニーの特徴
遅発パラフレニーの特徴は体系化した妄想や幻聴です。10代〜20代発症の統合失調症の妄想は聞いていて明らかにそれとわかるのですが、中高年発症の場合は妄想とも言い難いものがあります。例えば「近所の○○さんが私の悪口を言っている」「上の階がうるさい」といった、あながち嘘でもなさそうなものです、ですがこれらは妄想で増強されているため、周囲からすれば「どうしてこの人はこんなに怒るのだろう」となります。
発症のリスクは、
・女性
・社会的孤立(独身、子どもが少ない、夫との会話が少ない、友達が少ない等)
・難聴、感覚障害
などがあります。
また、急性期と回復期がはっきりしないこともポイントです。知らないうちに始まり、終わっているということがあります。(統合失調症の場合は急性期と回復期がわりとはっきりしています)
遅発パラフレニーの治療
治療は薬物治療です。抗精神病薬を使いますので統合失調症の治療とほぼ同じになりますが、反応がパリッとしないこともあります。これは急性期と回復期がはっきりしないことと関係すると思われます。前頭側頭型認知症やレビー小体型認知症などの認知症への発展にも注意が必要です。