今日は「薬以外の治療法にはどのようなものがあり、どれを選べば良いのか」について解説しようと思います。
僕が思いつく限りあげてみました。
コンテンツ
薬以外の治療法
mECT(電気けいれん療法)、断眠療法
これらは個人ではできず入院してやるものなので今回は置いておきます。
運動療法
最初は寝ていて良いのですが、ある程度うつ回復してきたら散歩をしてみる。
散歩ができるようになったら、僕の場合だったら料理を、料理ができるようになったら片付けを勧めます。
芸術療法、音楽療法
絵を描く、楽器を弾くのも治療になります。動物介在療法もあります。
作業療法
作業療法はデイケアでよく行われています。レクリエーションという形でゲームをしたり、絵を描いたり、畑仕事などもします。そのような作業を通じて心を癒していきます。
集団プログラム
有名なのはアルコール依存症の人の疾病教育も含めた集団プログラム、自助団体等です。皆で話をしたりします。
統合失調症やうつ病のプログラムもあります。
就労支援
仕事の訓練を通じて心を癒していくものです。よく動画でも解説しています。ビジネスに詳しい民間の人がやっているので、患者さんもやりやすいのではないかと思います。僕らも勉強になります。
医療や療育の世界だけではカバーできない部分なので大事です。
認知行動療法
マインドフルネス(瞑想)、暴露療法、コラム法なども含まれます。
精神分析(精神分析的精神療法、力動的精神療法、家族療法)
よりカウンセリングらしい世界です。
ひとりでの内省、表現・昇華(仕事)
こういったことも心を癒すことになると思います。
感覚的・身体的なものから言語的なものまで
いろいろありますが、どれが正しいというものではありません。
より感覚的な世界、身体を使うものから言語的なものまで濃淡があります。患者さんの元々の性格、能力、相性に合わせて選べば良いと思います。
頭でっかちな人は感覚的・身体的なことを、日ごろ感覚的・身体的なことばかりやっている人は言語的なことをお勧めします。自分が不得意な方をやってみると良いです。ただ、不得意すぎると苦しくなってしまうので、ほどほどのところをやるようにします。
例えば、一人での内省などホワイトボードの一番下のことばかりをやってしまうならば、マインドフルネス・作業療法・芸術療法・音楽療法などをやるべきだと思うし、逆に普段感覚の世界にどっぷり入りすぎている人は下の方をやった方が良いという感じです。
今回のように整理して考えることはあまりないと思いますので、どのような治療を選べば良いか患者さんは結構悩むと思います。
診察ではうつの患者さんに「何が良いんですか?散歩が大事なんですか?」と聞かれますが、「散歩も大事だけど、今のあなたの状態だと就労支援を使ってみたら?」「もう少し将来のキャリアについて考えてみたら?」といったことを話すこともあります。
内省ばかりの人だと煮詰まっているので「マインドフルネスをやってみたら?」と言ったりします。でも瞑想も結構狭い世界に集中してしまうので、もう少し気楽にレクリエーション(作業療法)とかしに行こうよ、体を動かしてみたら?楽しんだ方が良いよと話したりもします。
このようなイメージを共有できたらと思い、今回の動画を撮りました。
カウンセリング, 社会保障、福祉、連携
2021.4.10