今日は「バカにする人とどう付き合うか」というテーマでお話しします。
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あなたが学生の場合
学生の場合は、不安障害など不安を感じやすい人が、同年代の学生に「お前ビビリすぎなんじゃない」といじられたり、発達障害があり忘れ物が多い、コミュニケーションが苦手などで「お前変な奴だな」といじめられたりバカにされてたりすることがあります。
他には、学校の成績が悪い、運動神経が悪い、カッコ良い、カッコ悪い、お洒落じゃないといったことでバカにされてしまうことがあります。
「学校」というのは狭い密室空間です。
狭い社会に先生がいたり同級生がいたり、ぎゅっと詰められています。そこで起きている意地悪ということなので、少し距離を取ってみると「こんなことでバカにされるなんてアホくさ」というようなものです。
ですが、そこにいると視野が狭くなってしまいすし、学校以外の空間を知りません。
でも、基本は「無視」で良いのです。
「だいたいお前も学生なんだから、同級生をバカにしてる暇なんかないだろう」「危機感なさすぎだろう」とも思うのですが、まあ相手も学生なので、視野が狭く、そういうものなんですよね。
僕の場合、中高生と話をするときは外に目を向けるような話をよくしています。
そうすると、「まあ、そんなもんかな」と思いながらいろいろなことを考えてくれるようです。
とはいえ辛いものは辛いです。
バカにされているし、自尊心が傷つくし、自分のことを「本当に俺ってダメなやつなのかな」と思うかもしれません。ですから、きちんと外に目を向けたり、横にいて「お前はバカじゃないよ」と言ってあげるようにします。
そうして何とか学校を卒業すれば「あのとき悩んでいたことはアホだったな」などと思えるようになります。
ですから、これは簡単な問題と言えば簡単な問題です。
もちろん実際に能力的な問題がある場合など原疾患の治療は大事ですが、他者の問題はわりと軽く済むことが多いです。
僕の場合
会社で馬鹿にされている場合、どういうことなのでしょうか。
気にしなくていいと言えばそうなのかもしれませんが、やはりどういうことなのかを考えなければいけません。
僕はこんな感じで変わり者なので、中高時代はあまり成績が良くありませんでした。なので結構バカにされることも多かったです。
そのような同級生に対して、半分は怒っていましたが半分は冷めていました。
では自衛隊に入ってどうなったかというと、自衛隊に入ってもやはり僕はバカにされるわけです。周りには賢い人も、運動ができる人もたくさんいました。
彼らとの寮生活の中で僕が優れているところは何もない、と言ったら大げさかもしれませんが、でも確かに何もないなと思いました。
でもみんな狭いところにいて視野が狭くなっているな、とその時から思っていました。
そう思いつつも、医師免許を取るまではやめられない。
医師免許を取った後も研修医が終わるまで、専門医、指定医を取るまではやめられないななどずっと思っていました。
そのような狭いところにずっといなければならないのに、どうやって自分のメンタルを保っていたかというと、どこか「引いて」見ていてあまり本気にはならなかったから、かもしれません。
でも、何のサインなのか見極めなければいけない、何か異常なことが起きているのではないかと常に思っていました。
それは臨床場面でも生きていて、患者さんの生活を理解するのに役立っています。
自分が馬鹿にされているだけだったら、それほど大きな問題ではない。自分は大した人間ではないし、馬鹿にされる部分もあるだろうなと。
半分怒っているけど、半分そう思っていました。
ですが、なぜ自分が馬鹿にされているのだろう、と思ったのです。
馬鹿にする必要はないわけです。普通に考えたら自分のことで忙しいし、時間の無駄です。
時間の無駄なのになぜやっているのか?
これを考えるのがかなり重要だと思います。
「患者さんの何が、どの立場の人が、なぜバカにするのか」を考えてみると、その組織の病理の理解、患者さんの深い理解、患者さんが置かれている環境の理解になったりします。
ですから、何が起きているのかを見極めるのは非常に重要だと思います。
会社の場合
・育てるつもりがない会社
若い人を育てるつもりがない会社です。
そのようなところでは社員がサラリーマン化してしまい、何も作っていない場合があります。
冷静に考えたら、この会社は自己模倣を繰り返しているけど何も新商品を出していないのでは?ということがあります。
そういうところは働く人の年齢が上がっている場合が多いです。
・多様性
多様性の否定もあります。
「そんなことも知らないのか、田舎もんだな!」というような多様性の否定というのは、組織自体が膠着していて風通しが悪くなっています。話を聞いていて老化の合図だと思います。
多様なものを育てていきながら変化を起こしていかなければいけないのに、それが起きていないとなると、大丈夫なのかと思います。
精神科の治療は、5年10年とかかる長いものです。5年ぐらい診ている患者さんも多くいます。
そのような人たちと会社の話をするときは、僕はこのようなことを考えます。
患者さんが思い詰めているときは、あなたの会社はこういう問題が起きているから、あなたは今そうなっているのではないの?と言うと、患者さんも少し安心します。異動もあるのでそれまでの安心材料にもなります。
・優秀な人
あとは、「優秀な人」もいます。
馬鹿にされているのはただの嫉妬のサインということです。優秀だからいじめられている可能性もあります。出世する人はいじめられるものです。そこで折れなかったり、逆に味方につけていくような人が出世していきます。
窓際に追いやられても、そこからグッと出世していく人もいれば、そのまま戦いに敗れてしまう人もいます。
馬鹿にする人とどう付き合うかというと、原則付き合う必要はないです。
弱い人をいじめる人というのは相手にかなり問題があるので、まともに相手にする必要はありません。
ただ、狭い環境にいる場合は相手にしなければならないので、そこは処世術を使って、うまく相手を褒めたりおだてだりしながら付き合っていかなければなりません。
ただ、もう一方で組織の問題などを考え、俯瞰的にものを見て気持ちを落ちつかせて、自分がとるべき行動を考えていくことが重要だと思います。
今回は、バカにする人とどう付き合うかについて、診察室でどのような話をしているかをお話ししました。
前向きになる考え方
2021.9.18