今日は「闇堕ち思考とは?」をテーマに、思春期やモラトリアムについて考えてみたいと思います。
時々患者さんが「今、闇堕ちです」と言います。
闇堕ちとはどういう意味かを聞いていると、こういうことかなと思いちょっと面白いので、動画で取り上げてみました。
コンテンツ
闇堕ちとは?
「闇堕ち」とは何かというと、漫画でよくあります。
ホワイトボードの絵は「ナルト疾風伝」のサスケ君を描いてみました。
もともと光属性を持っていたはずが、様々な要因でそれを失い、闇属性になってしまうこと。
そして闇の力に目覚めることでパワーアップするのが「闇堕ち」です。
中二心をくすぐる感じで僕は好きです。
落ち込んで嫌なことがあり、怒りや嫉妬などの力でパワーアップする。
自分を傷つけながら、でも成長しているような感じが「闇堕ち」なのかなと思ったりします。
治療・成長の流れ
治療や成長の流れを、闇堕ち思考を使って説明してみます。
光→闇→光→闇→光という繰り返しがあります。
・光:常識・感謝・同化
光とは「常識・感謝・同化」です。
常識を学ぶこと、常識的に振る舞うこと、親や上の世代に感謝していく、その世界に同化していく、同じようなものになっていく。
・闇:破壊・怒り・自立
逆に闇とはそれを壊すことです。
常識を壊す、怒りを持って行動していく、人間のネガティブな感情なのですが同時にすごくエネルギーがあるものに身を委ねる。
「こんなんじゃ良くない」「このままではイヤだ」など何でも良いのですが、そのような怒りのパワーを利用していきます。
また同化ではなく「自立」です。
くっついていくのではなく、離れたところで自分を育てていきます。
このように光と闇を繰り返しながら成長していくのだと思います。
ラインを越えない
重要なことは「ラインを越えない」ということです。
ラインの設定は難しいと思いますが、大事なことです。
ただ、治療者や親御さんがどこまで見守るのかは難しいです。
子供が企業を辞めて小さいところで働き始める、フリーターになるなど、闇堕ちしてそのようなことになった時、見守って良いのか。
そうではなくもっと自分を傷つけるようなこと、例えば一人暮らしをして水商売を始めてしまった時に、親はそれを見守るだけで良いのか。無理やり引き戻した方が良いのか。すごくこのラインは難しいです。
ただ反抗している、親に怒っているぐらいではなく、でもどこまでこの「闇」を認めるかは本当に難しいことです。口で言うのは簡単ですが。
怒っていてもどこまでその怒りを許容するのか。
かといって怒りが深ければ深いほどパワーアップします。
精神科の患者さんの場合はどうなのかなどよく考えます。
主治医に対する怒りをどこまで許容するかも難しいです。
呑気に構えて、この人もそのうち気づくかな、あるタイミングで光に戻るかなと思ったら、そんなことはなくただ怒っているだけということもあります。
一方で「あの時に無理に型に嵌めようとしなかったから良かった」と感謝してくれる人もいますし、ここのバランスはすごく難しいです。
親御さんは特に、色々な人生のパターンを知ることは大事です。
僕もいろいろな患者さんを見ていてもよくわからない、迷うことがあります。ましてや自分の子供だったらどうなのだろうと思ってしまいます。
親御さんにはいろいろなものを見ている人もいれば、見る機会のない仕事に就いている人もたくさんいると思いますので混乱すると思いますが、バリエーションを増やしながら闇堕ちとはどういうものか、闇堕ちしているのをどこまで見守ったら良いのか、ラインを越えてはいけないと言うが、どこがラインなのかを考えることが必要なのかなと思います。
一概に言えないので難しいことです。
正解も見つかりにくいです。
闇堕ちという言葉は時々外来で聞きますし、一般語化してきていると思うので取り上げてみました。
親子問題
2021.12.20