今日は「心の強さ、メンタルタフネスについて考えてみた」というテーマでお話しします。
心の強い人、俗に言う「メンタルが強い人」にはこのような特徴があり、そういう人になるためにはこのようなトレーニングをしたら良いのではという話をしようと思います。
うつになりにくい人の特徴というのは、教科書的には載っているかもしれませんが、精神医学は「こういう人を目指しなさい」「こういう人が健康である」という定義はしません。そのような学問ではないのです。
病気を定義することはありますが、「理想の人間」というものは定義しません。
ただ、世間一般で言われている「こういう人は心が強いよね」とかスポーツなどで「良い選手、強い選手にはこのような特徴があるよね」というものはいろいろ言われたりしています。
この動画を撮るにあたり、いくつかネットの記事を読み、3つの項目に特徴を分類しました。
コンテンツ
強い人とは:前向き、積極的、挑戦的
前向き、ポジティブシンキングな人は心が強いと言われています。
最初にこれを言われて出鼻をくじかれてしまった人も多いと思います。
「私、すごいネガティブなんだけど」と僕の動画を見ている多くの人は思うと思います。
ですが、皆さんが考えているポジティブとは別の意味での前向きさがあります。
前向きに考えられる、人生を良いものと考えられる。僕もよく言うように、科学技術が進歩するから未来は良くなっていく、世界は悪いものではなく本質的には良いものである。だけど悪い部分や悲しい出来事が時々起こると思える。
そして、積極的に行動に移していける。
受動的ではなく自分からやっていける。
料理も自分で作っていく、家事も自分で楽しみながらやっていく。嫌々やるのではなく、自分から楽しんでいく姿勢を持っている。
挑戦的である。新しいことにチャレンジしていく。
誰もやったことがないこと、皆がまだ価値を見出していないことに対して挑戦していくことができる。
このような人が「心が強い人」と言われています。
これは何かというと「不安を感じにくい」ということです。
不安を感じにくいから、失敗するかもしれないことに挑戦できますし、リスクがあることができます。
不安を感じにくいから、失敗して文句を言われるのではとビクビクせずに済み、自分から色々できます。
不安を感じにくいから、世の中に対しても楽観的でいられます。
ただそれだけと言えばそれだけですが、基本的にはこちらの方が良いです。
強い人とは:(失敗、リスク、不安な時)冷静に対応、我慢強い
2つ目は、失敗やリスクがあるときに冷静に対応できるということです。
疲れている時や試合の終盤、サッカー選手ならば試合の最後のギリギリのところでちゃんと走れるかというのが強さだったりもします。つまり我慢強いということです。
感情に振り回されず冷静に対応して、ずっと我慢できるというのが心の強さの1つの指標だったりします。
それは何かと言うと「不安に支配されにくい」ということです。
僕はよく、「今は調子が悪いから、感情のことは置いておいて合理的に動きましょう」と言いますよね。
これはこういうことなのです。
不安な時や苦しい時には、感情に身を委ねるのではなく、距離を取って冷静に動くことが大事です。
普通の時や楽しい時に感情に身を委ねたり、人生について考えたりすれば良いのです。
調子の悪い時やピンチの時は、とにかく冷静に目の前のことを一個一個、確実にクリアしていくことが重要です。
強い人とは:周囲に良い影響、優しい、リーダーシップ
3つ目は「周囲に良い影響を与える人」がメンタルの強い選手だと言われています。
優しい人、リーダーシップをきちんと取れるような人かなと思います。
メンタルの強さというのは、コーチの人がそのような選手を育てようとスポーツの分野でよく研究されています。
ですから話しているとスポーツを例えることが多いのですが、スポーツで良い選手だということは、イコールではないけれど実社会でも良い働き方をする人、良い社会人だったりすることも多いので、そんなにずれてはいないのではないかと思います。
先天的なもの
スポーツに筋肉や運動神経など先天的なところもあるように、メンタルについても先天性というものがあります。
例えば不安を感じやすい感じにくいというのは、体質というか人によって違います。
医学用語ではありませんが、対極の言葉としてHSPという言葉があります。
不安に支配されにくいかどうかも先天的なところがどうしてもあります。
子供の時から我慢強い子もいれば、我慢ができない子もいます。
子供ですから意志の力は平等に育っていないわけですが、その時から我慢強い子とそうでない子がいます。それは本人の努力ではなくもともとの体質で備わっています。
強くなるためには
強くなるにはどうしたら良いのか、生まれ持ったものはあるとして、ではそこからどうやって伸ばせば良いのかということです。
・自己理解(総論、各論)
・他者理解(総論、各論)
・しなやかな思考
これらは、どうやって治療が進むのかという話の中でいつも言っていることです。
まずは「自己理解」、自分はどのような人間なのかです。
「総論」と書いているのは、「個人というのはそもそもこういうものである」ということです。
人間の脳というのはこのような特性がある、人間というのはこのような落ち込み方をする、この年代ではこのような悩み方をする、といった総論的なことを知るということです。
「各論」は、「自分というのはどういうことなのか」。
人間というのはこういうものなのだけれど、その上で自分はこのような偏りがある、このような特徴があるということを知っていくのが重要です。
「他者理解」も同じです。
そもそも他人というのはどういうものなのか。
二者心理学、人が二人集まった時にどのような相互作用が起きがちなのか。
もっと大きく、会社・組織になったとき、グループになったときに、人間はどのような動き方をするのか。歴史は繰り返すと言いますが、このような時には人間はどういう行動を取りがちなのか。そのようなことを理解しておきます。
その上で、今自分の目の前にいる他者、家族、会社の人間関係を個別に理解していくことが重要です。
あとは「しなやかな思考」です。
感情にとらわれず、合理的に様々な視点から考える癖をつけることが重要です。
自分を理解して調整する
自分を理解して、自分のメンタルの調子・具合が良いのか悪いのかを理解しながら、今の仕事量を調整することが重要です。
具体例を出してみると:
スケジュール帳を読みながら、
・最近甘いものが多い
・疲れている。もしかしたらまた悪いループに入るのでは?
・頼まれごとを減らして休もう
→あと2週間で冬休みだ、頑張ろう。
このように前向きに考えてあげるのがメンタルが強いということなのかと思います。
これは今の僕ですね。
このように考えて落ち込まないようにして、あと2週間で冬休みなので今年を乗り切ろうと思っています。
心の強さやメンタルタフネスについて今回は解説しました。
やはり治療の上でどこを目指すのかというのは、わかりにくかったりします。
最初に強い人の特徴として挙げたような人間になれと僕らが言うことはありませんし、精神医学はこのようなことを押し付ける事はありませんが、ある程度一般常識として知る、それを自覚しておかないと治療はどう行けば良いのかわからなくなる時がありますので、今回は心の強さをテーマに言語化して考えてみました。
前向きになる考え方
2021.12.25