今日は「ソクラテス・メソッド」についてと僕の場合にどうやって使っているかを解説します。
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ソクラテス・メソッド
「ソクラテス・メソッド」とは質問方法です。いろいろな質問をすることで、相手に発見してもらう、気づいてもらう、考えてもらうといった質問の方法です。
ソクラテスは古代ギリシャの哲学者で、有名なのは「無知の知(私は何も知らないことを知っている)」です。ソクラテス、プラトン、アリストテレスは古代ギリシャの3大哲学者でそれぞれ師弟関係にあります。
ソクラテス・メソッドでは、相手が説明したことに対して「それはどういうことですか?」「本当にそう思っているのですか?」「具体的にはどういうことですか?」「つまりどういうことですか?」などと質問をしていきます。そうすると相手は「自分は全然わかっていなかった」と気づきます。
これは認知行動療法(CBT)の基本と言われています。「あなたが不安を感じているのは本当にそうなんですか?」「不安を持っているようですがそれは本当に不安なのでしょうか?」「お金がないと言いますが本当にないのですか?」といった質問をしていきますが、ソクラテス・メソッドを本気でやるととても不快で相手を怒らせます。ディスカッションに慣れている人やソクラテス・メソッドでやっているのだなとわかっている人ならばうまくやれますが、それでも怒らせます。
しかし、問うことで考えてもらい、問題解決思考に頭を切り替えてもらうことは大事です。また考えるといっても自分のいつものパターンで考えてはだめなので、誘導的な要素もあります。
準備が大事
ソクラテス・メソッドは怒らせてしまうので、うまく持っていくためには準備が大事です。
共感、評価・支持、患者さんの言葉の要約、沈黙の時間いったフリを駆使しながら、相手にオチがくるように進めていきます。「ということはこういうことですよね」→「そうか、私こうだったんです」という発見に繋がるとうまくいったなと思います。
どういう発見をしてほしいかというと、我々はそんなに嫌われていない、不安なことはあるかもしれないけれど支配にされるほどの不安はない、良いこともあれば悪いこともあるといった人生の発見です。そのためには問うことで考えてもらうことが必要だけれど、それを主体に会話を構成するとだいたい怒らせてしまうので上記のような準備が大事です。
使う言葉
具体的に使う言葉をいくつか挙げると、「僕ら」という言葉は良く使います。「僕らは不安に支配されてしまいますよね」とか「私たちは朝はキツいよね」など。
自分の意見を言うときは「失礼な言い方かもしれませんが」という前置きをしてから「考えすぎではありませんか?」などと言ったりします。
「僕は○○と考えますがどうですか?」というのは意外と失敗します。僕のキャラクターもあると思いますが、「僕はこう考えますが、あなたはこういう考えて良いですよ、正解は一つではないですよ」というのは失敗が多いです。
「そうだね」「すごいよね」「苦しいよね」「頑張ったね」「よかったですね」などの定番はやはり響きます。益田が言うと不自然だと言われたりしますが、上っ面で言っているわけではありません。
ソクラテス・メソッドは大事な技法ではありますが、怒らせてしまうので丁寧なジャブで相手の様子を見ながらここかなというときに引っ張ってきます。読み外すことも多いのですが、そんな感じでやっています。