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アドラー心理学「嫌われる勇気」について精神科医目線で解説してみた②

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00:00 精神科医の目線から
05:03 治療と自己啓発

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「嫌われる勇気」の中では青年の悩みをベースに話が進んでいきますが、精神科ではその次元ではないところで治療をしています。精神科に来る患者さんは、普通の人の悩みやこじらせにもう一回転加えられているのです。

自他の区別をつける

そういう時には「自他の区別をつける」ことが非常に大事だと思います。自他の区別がつかなくなっている時とは、「投影」や「転移」などが起こっているときです。ロジカルに考えられなくなっていますし、心の作用によって歪められて受け取っていたりするので診療の中で明らかにしていく必要があります。

この本の中の青年は、自他の個別をするという発想がない状態です。そもそもそのような暗黙知が身についていないことも結構あります。先日、Kaienの鈴木代表も30歳成人説と仰っていたように、自他の区別がつくようになるのは30歳くらいなのではとも思います。一般論ですが。

・うつ、ASD、BPD、依存症

うつ状態だと自他の区別が付きにくくなるので、何でも自分への批判のように感じてしまうことがあります。それは、重いうつの妄想だけではなく、軽いうつの時でもそうです。

ASD(自閉スペクトラム症)やBPD(境界性パーソナリティ障害)では、そもそも自他の区別がつくのかということもあります。脳、つまり生物学的な岩盤があるのかないのかということです。自他の区別や自他の境界をどれくらいきちんと持てるかというのは、トレーニングによって身につくとも言えるし、なかなか厳しいこともあります。 

依存症関係では、ドラッグの影響によるぐちゃっとしている部分やもともと持っている神経症的な要素もありますし、そのほかにはトラウマの問題などもありベースの疾患によって自他の区別がつきにくい、つきやすいがあります。これは個別の話になります。

とはいえ、自他の区別をつけるのは治療方針としては非常に大事だと思います。
また、自他の区別をつけるために、課題を明確化して整理していく作業はカウンセリングや診療の中でも大事です。

・適切な距離

「適切な距離」という言葉から思うのは、「治療構造」が大事だということです。治療者はこれぐらいのことはできます、でもこれ以上のことはできませんというある種の構造をきちんと伝えることが大事です。治療構造がしっかりしていれば、患者さんは適切な距離を体験的に理解していくことができます。

自他の区別も言葉でパッとわかるものではないことでもあるので、治療構造や会話を通じてこれが適切な距離なのかなと学んでいってもらうことが重要です。それは僕自身の人生においてもトライアンドエラーで学んでいます。

治療と自己啓発

もう一つ臨床的にというと、アドラー心理学は自己啓発と言われていますが、治療は自己啓発になって良いのかという問題があります。例えば、承認欲求はダメだとか自由に生きるのが良いというのは言い過ぎではないか、というのは議論になると思います。このことについては、本のあとがきの中で岸見先生も軽く触れています。

治療では、治療者の価値観が患者さんとの関係に反映されることは絶対に起きてしまいます。それがない方が良い、鏡の方が良いと言いますが、実際には難しく理想目標に過ぎないと思います。治療者というのは絶対に自分の価値観があり、それが患者さんに伝わっていくことがあります。これは僕だけの意見だけではなく、精神医学や科学哲学では常識です。

ただ、治療をしていく中で価値観を押し付けていくことは良いのか、アドラー心理学を教えるような治療は良いのかというと、それが良いか悪いかは別として治療的にうまくいくことはあまりないと僕は思います。僕の臨床経験上そう思います。

患者さんは「こうした方がいいよ」「思い込みすぎだよ」「気にしなくてもいいよ」とかいろいろなアドバイスをいろいろな人から受けています。ですからわざわざ診察室でそんなことをまた教えられたくない、押し付けられても治療にはなりません。できれば自分自身で気づくように場を提供したり、時間を提供することが大事です。

治療者は価値観を伝えて行く作業は5%あれば良いと思います。逆にそれくらいないと治療者の人間味がなかったり、方向性を見失ってしまったりします。自分はこの本を読んで自己啓発の要素は5%くらいにしておこうと思いました。

もう少し言うと、益田のYouTubeはどうなんだと。強烈な価値観なのでこれだけで40%くらいあるのではないかと思いますが、その辺りはご理解ください…。
今後もこのYouTubeでは、診療の中で気づいたことや、他の患者さんにも役に立つことをアップしていきたいと思います。

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2020.12.22

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