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虐待と発達障害について解説します

00:00 今日のテーマ
06:03 虐待と凹凸
06:59 親も子も凹凸
10:54 攻撃的な凹凸
14:16 生まれの凹凸、育ちの凹凸
16:17 助けてと言えない

今日は「凹凸・発達障害と虐待」について語ってみようと思います。臨床的に親子問題は非常に大事なテーマで、患者さんにも親子問題を抱えている人は多いです。養育環境が良ければ防げたかもしれないことはあります。

ですが、親子問題を語るのは難しく、臨床でも避けたい話題ではあります。避けたいがために薬を変えれば良くなるのではないかと、そのような話に患者さんも治療者側も終始したくなるものですが、本当はそれではダメできちんと扱って処理していかなければいけません。

僕が医者になる前やなった頃は、もっと親子問題が語られていました。地方で臨床をしていたときは虐待と絡むことも多かったです。都心で開業してからは普通に会社で働いている人や学生さんが多いので児童相談所が絡むような大きなケースにはあまり関わりませんが、やはり薄皮をめくると語られない親子の問題が隠れていたりします。

実際、表面的にはうまくいっているように見えるけれど、実は母親や父親に対して強い怒りがあったというようなケースもたくさん扱っています。そのようなケースは、臨床をしていく中で「あのとき私はお母さんのことを恨んでいたんだよ!」と衝突の末に和解があって良くなっていくのではなく、診察室の中で静かに語られ、時には僕にその怒りを転移し、そして静かにその怒りが解消されて良くなっていくケースが多いです。

自分自身の経験や色々なものを照らし合わせていくと、無関心でいたい、親子のことを語りたくないという思いはあります。僕自身は幸せな家庭で育ったのですが、中高時代は悩みましたし、大学は防衛医大という特殊な場所でした。また悩みやすい性格でもあるのでスムーズに来たわけでもないのですが、横には虐待など大きな問題を抱えている子どもたちはたくさんいたと思います。今でも〇〇君、〇〇ちゃんと思い出します。僕はなんとなく知っていたのですが「別に友達じゃないしな」と思っていました。無関心でいたいのと、僕が踏み入る場所ではないとも思っていました。

その罪滅ぼしというわけではありませんが、精神科医をやって、表面化している虐待なのか心の内だけにある虐待なのか、程度はありますが扱ってきた経験も蓄えができてきたのでそろそろ語ってみても良いのではないかと思い、今回は発達障害と虐待というテーマで語ります。

虐待と凹凸

虐待と凹凸で押さえておくべきポイントは3つあります。

・親も子も凹凸(子どもが発達障害ならば親もそうではないか)
・攻撃的な凹凸(攻撃が外に向かうのか、自分に向かって摂食障害や自傷になるのか)
・生まれの凹凸か、育ちの凹凸か(養育環境が悪かったから落ち着きがないのでは?)

親も子も凹凸

・能力や気質は似る
運動神経の良い親から運動神経が良い子どもが育つように、親子で能力や気質は似ます。それならば発達障害も遺伝ですかというとそういうわけでもありません。スポーツ選手のカップルの子どもが親を超えるかというとそういうことはあまりなく、平均に近づく法則があるのでだいたいは親よりも運動神経が劣るものです。重い発達障害の親から育った子どもは普通の方が多かったりします。たまに例外はありますが、だいたいは親が優秀だとそれよりは優れていない子どもが生まれ、親があまり優れていないとそれより優秀な子どもが生まれるというように平均に近づいていきます。ということで、親の方がひどいのか、子どもの方がひどいのかはケースによって違います。違うのですが似ています。

・カサンドラ?
父親がASD傾向が強くて母親は普通というケースもありますが、では母親はカサンドラという被害者なのかというとなかなかそう単純な話でもありません。どうして発達障害の男性に惹かれて、結婚し、子どもを産むまで至ったのかということです。それはある種の病理があるわけです。ここもケースバイケースでややこしいです。

・発達障害の自覚があるのは誰?
診察室に自分から来た場合は本人に自覚がありますが、親が勝手に連れて来た場合に本人はどうなのだろうということもあります。親の方がひどいのに子どもが連れてきたときは代理なのかなど、家族病理はどこに問題があるのかややこしいです。僕の臨床では自分で来られる患者さんが多いので、患者さんが語るエピソードから家族病理を彫刻を掘るように少しずつ浮き彫りにしていきます。ともかく一人だけの問題であることはあまりなく、子どもを見たら親の発達や虐待を疑えというのはセットです。

攻撃的な凹凸

・凹凸⇆素行障害
発達障害と素行障害は関連性があります。

親:攻撃的凹凸(無自覚)
 子:受動的凹凸(育ちによって受動的に)
親子問題に落とし込んだときに、親の方が攻撃的凹凸で無自覚、そのような親に育てられている子どもが受動的な凹凸になったりします。これは元々そのように生まれてくるパターンもあるかもしれませんが、だいたいは育ちによって受動的になります。
攻撃的な親なら子どもも攻撃的になるのではないかと言われるかもしれませんが、親の方が強いので子どもは受身的になることが多いです。

ジャイアンは自他の境界がゆるいので人のものを奪ったりしますが、お母さんも暴力的で遊んでいるところを耳を引っ張って店番に連れて行ったりします。ジャイアンのようにグレて自立するならば良いのですが、ジャイアンが内気だったりするとうまくいかなかったりします。

生まれの凹凸、育ちの凹凸か

・虐待(ネグレクト、熱心すぎる教育、両親のケンカ、多忙な親)
虐待があると落ち着きのない子どもが育つことはよくあります。きちんと保護的な環境にすると発達の問題が薄れて普通になるということはよくあります。

虐待というのは殴ることだけではなく、ネグレクト、熱心すぎる教育、両親が常にケンカしていて家の中がピリピリしている、両親ともに多忙で子どもを構えないなど色々なパターンがあります。そのような環境で育つと、落ち着きのない子どもに育ちますし、自分のことを無価値だと思ったり、言語化が苦手、ロールモデルが不在なので将来像を描けないといったことが起こります。

助けてと言えない

発達の問題がある人は助けてというのがすごく苦手です。頼るべき人の見極めが下手ですし、助けてほしいことを言語化することも苦手です。自分の生理的な不快感に対しても無頓着で、別の症状として出てきやすいです。本当は親からのストレスのなのに、匂いが嫌だ、音が嫌だ、脅迫的になり潔癖になるといったこともあります。

また、助けてと言ったところでそれを受け取れない親もいます。発達的な親は視野が狭いので子どものほんの一部分しか見えていないことが多く、視野の外から助けを求められても聞こえないことがあります。それでまたややこしくなり、虐待するつもりはなくてもネグレクトのようになっているケースもあります。

子どもがいじめられていてもそのメッセージを受け取れない親もたくさんいます。その時に第三者が介入していくのも難しく、また子どもは親を恨めないので、こちらから見て随分ひどい親だなと思っても子どもはそうは思えないものです。


2021.1.17

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