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いつまで精神科なんかに通ってんの?と言われたことがある人へ。精神科治療の目標、他人の助けを借りる方法について解説します

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00:00 今日のテーマ
01:54 自分と他人を信じる
06:30 通院を続けることの意味
10:16 どのように治療をしていけば良いのか
13:12 自信と他信がある人

今日は「精神科に長く通っても無意味なんですか?」ということについて話してみようと思います。長く通ってくれる患者さんはたくさんいますが、外から見るとなぜ通っているのかわからない場合も多いと思います。

精神科に長く通っても無意味?

患者さんはよく家族や恋人に「いつまで通ってるの?」「通っているから変われないんだよ」「精神科の金づるだろ?」などと言われます。人はすぐに変わるものではないですし、精神科の治療のゴールはすごくファジーですしゆっくりとした変化なので、周りも本人もモヤモヤすることがあります。場合によっては他科の医師ですら精神科に通うことの意味がわからなかったりします。

自分と他人を信じられるか

横軸を自分に対する自信の有無、縦軸を精神科の医師を良いものと考えるか悪いものと考える(他人を信じられない)かで場合分けをしてみました。治療では「自分のことも信じられて、他人のことも信じられる」ことを目指すのがスタートでありゴールです。適切に助けを借りるためには、自分を信じられて他人を信じられる状態になれば良いのです。この状態になれば治療が始まったとも言えるし終わったとも言えます。哲学的ですが。

逆に、自分が信じられないし医者を悪いものと思う、つまり他人を信じられない人は孤独で苦しいと思います。

自分に自信はないけれど他人を信じすぎてしまう人は、外側を重視しすぎて依存的だったりします。僕で言うと自衛隊に入った時はこんな感じでした。

他人を信じられないけれど自分に自信がある人は、精神科は薬をもらうところだと思うパターンです。

だいたい患者さんは座標の左上か右下からスタートします。必ずしもストレートに右上に行くわけではなく、右下から左下に行って、また右下に戻って右上に行くなどいろいろな経路を辿ります。調子が悪いと左下になりやすいです。患者さんはこちらを見ているようで見ていないというか。

通院を続けることの意味

・通院を続けていても意味があるのですか?
通院を続けても、友達・恋人・家族になるわけでもありません。深く知るようになっても決して距離は近づかないわけです。自助団体では仲間になる、治療者側に回るというパターンもなくはないですが、それが倒錯的なものなのかそれとも本当の意味で自分の生き方としてそうしたいのかは色々だと思います。基本的には一定の距離の中でも深まっていくものです。

・他人から助けを借りることを覚えれば、悩まない問題
精神科の治療は長く通っても無意味ではなく、一定の距離の中で色々な妄想が起きるし、医者はダメだと思ったり依存したくなったり色々な思いが動いていきます。でも現実には一定の距離を保っているのでだんだん世の中が見えてきます。見えてくるので「助けを借りて良いのだ」と他人から助けを借りることを覚えます。

他人から助けを借りることを考えたことがない、わからない人は精神科に長く通っても無意味だと言いますが、わかとそのようなことは考えません。意外とコスパ良いよね、という感じです。診察代を払っているからやってくれるのだといった取り引きともまた別です。取り引きだとしたら割りに合わないことがたくさんあります。

通院している患者さん同士は互いに知らないのですが、待合で見たことある人がいるとある種の同士のようなものです。その患者さんがいるから僕はあなたにもアドバイスができるわけです。長く通っていくと、町の小さなクリニックでも人と人のネットワークがあって助け合っているのだということがなんとなくわかってきます。

どのように治療をしていけば良いのか

自信:自分の力で治ることを信じる
精神科の診察室における成功体験とは「気づき」です。今まで気づかなかったことに気づける、知らなかったことを知る、別の視点から見られるようになるなどです。自信がない人には気づけるようになるアドバイスを伝えたりします。

良いもの:傷つける人ではない。メンター?
僕のことを悪いやつだと思っている人には、僕は傷つける人ではないことを知ってもらう必要があります。メンターというと大げさだれど、一時的にメンターである必要もあるかと思います。良い人だと思われていない時は、僕は受け入れることを意識しないといけないと思いますし、その人の良さを承認することを意識しています。

患者さんと医者という一定の関係ですが、深まっていくものです。長く通ってくれる患者さんもいますし、半年ぶりとか忘れた頃に来てくれると嬉しいものです。

自信と他信がある人

漫画雑誌のジャンプでいうと「HUNTER×HUNTER」に出てくるパリストン=ヒルが自信と他信(他人を信じる)がある人です。
座標の左下にいる孤独な人は何でも自分で考えないといけないと思っていますが、全部考える必要はなく、相手を信用して相手がここまでやってくれると思うから次のことができるのです。だから大きなことができます。

スポーツ選手も、自分に自信があって周りの人を信用しているからスポーツに専念できるのです。オリンピックの開催もどうなるかという状況で彼らはどのように考えているのだろうかと思いますが、自分を信じているし周囲も信じているから自分のやっていることに集中できるし、周りにも頼ることができるのだろうなと思いました。

もし何か大きなことをやろうとした時は、他人を信じて自分を信じる、その力を持つことです。病気の治癒、虐待や障害からのスタートでも同じだと思います。ということは、精神科に長く通っても良いということです。通いながら助けを借りることを理解してもらえれば良いと思います。良くなったら通わなくても良いですからね、時々遊びに来るとか、辛くなったら来てください。

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2021.1.23

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