今日は「診療やカウンセリングでどのような話をすれば良いのか」という話をしようと思います。
どんな話をしていてもいつもの話に戻ってしまうのがカウンセリグの特徴で、どの流派でも大体似たようなことがおきます。
イメージしてほしいのは「すり鉢」です。縁のあたりからルーレットの玉のようなものをポンと投げると、グルグル回って底の方に沈んで止まります。どこからスタートしても結局は最後は同じような場所で止まります。これがカウンセリングで起きることで、最初にボールを投げる角度が平行に近いほど底に到達しにくいのですが、いずれは底につきます。カウンセリングは45〜50分が大事といわれるのは、グルグル回り始めてある程度の深さに潜るまで時間が必要になるためです。
ちなみに僕はカウンセリング的な話を動画で話しますが「おまえは医者でカウンセラーではないだろう」と言われることも結構あります。ですが、僕はカウンセリングが好きですし、診察でもカウンセリングのエッセンスをできるだけ取り入れようとしています。
コンテンツ
すり鉢の世界
では、すり鉢の世界がどうなっているかというと、上の方が具体的、下の方が抽象度が高い世界です。底まで行くと塩の世界、塩水が溜まっている、つまり死の世界という感じで語る言葉がなくなってきます。思わず絶句するしかないという世界です。
カウンセリングでは「二者の世界」を狙うと良いです。ここを僕は「地獄めぐり」と呼んでいます。土地に塩が染み付いて草木は生えず岩がゴツゴツしている世界です。上に行くと草木が生えていて豊かで現実的な話になりますが、ここを話していてもあまりカウンセリングらしくなりません。
最初は何を話していても良いのですが、現実的な話からグルグル回っていって「二者関係」の時間が長くなると良いです。僕らが詳しいのは抽象度が高いこの「二者関係」の世界です。経営や会社の人間関係など現実的な話になるとあまりわかりません。
地獄の名所
地獄めぐりはどういうものかというと、「地獄の名所」がだいたいあります。
・母のこと
お母さんなのに娘を友達のように扱いグチばかり聞かされる…
・父のこと
厳しすぎる。成功のために過度に勉強を強いた…
・恋愛のこと
あの人は自分のことをそんなに好きではなかった、利用されている…
・自分の性格のこと
負けず嫌いすぎる…
そこからもう少し抽象度が上がると、
・自分は白黒思考だった
・変化を嫌う、認めたくない
・死への不安がある
ということになっていきます。
結論を出すためではない
なぜ地獄めぐりをするのかというと、結論を出すためではありません。
例えば、「私のお母さんは実は私よりもアスペルガー傾向が強くて想像するのが苦手だった。社会経験も少なかった」と理解したら終わりということではなく、そこからさらに「お母さんはこんな人だったんだ」と理解が深まることが大事です。
深まる中でメタ認知(いろいろな角度から物をみる)の力がつきますし、そうすると我慢する力、感情に振り回されない力、欲望に支配されない力が身についていきます。結論が出ないこと、曖昧さを抱える力も上がっていきます。
カンセリングや診療で治療者はこのようなことを提供しています。
・鏡としての役割
・認知の歪みの指摘
・受容(共感)
そんなあなたでも良い。僕らが受容していることがわかれば、社会でも受容されている、優しい人はいっぱいいると気づく。
・解釈
あなたの心はこうですよねとか、無意識を指摘する。
僕自身は最近YouTubeは何なのだろうとよく考えています。動画作品ではなく「動画によるSNS」が診療とは別にあるのはどういうことなのだろう考えると面白いのですが、まだ言語化できていませんし、言語化すべきではないのかなという気もします。
以上、今回はカウンセリングのイメージの話でした。
カウンセリング
2021.2.13