今日は「精神医学を理解するとは、どういうものを理解すること?」ということについて考えてみようと思います。
精神医学の理解を要素分解するにあたり、「専門医を目指す人の精神医学 第3版」をの目次を参考にしつつ、自分が考える精神科臨床を加えてみました。
精神医学の理解
精神医学というのは1つの学問ではありません。ボードに「古典的精神医学」と書いてありますが、フロイトの時代(1900年くらい)は1つの学問と言えるものでした。フロイトは超天才的な言語能力で、精神分析を通じて精神医学を体系的に説明しようと試みて成功していますが、現代的には少し違っています。
古典的精神医学で一旦精神医学は完成したところはあります。しかしそこから科学哲学、脳神経科学、認知心理学、社会学の知見が加わり、古典的な精神医学から新しく変わっていったと僕は理解しています。ベースとなる基礎的な多分野の学問をハイブリットし、それを精神科臨床として応用したものが精神医学だと言えます。この辺りを少しずつかじって勉強するのが精神科医です。
精神医学ならではのものは以下のものです。
・症状把握、診断
・各論(疾患ごとの理解)
・薬理学
・精神療法
・社会制度、社会的治療(福祉制度等)
要素分解として適当に分けてしまいましたが、このようにいろいろな側面から精神医学は成立しています。
臨床とは
精神医学と精神科臨床はまた違うと僕は思っていて、学問を応用して実際にどのようなことをするのか、ということです。
ビジネス的なことも知らないと開業医としてはやっていけないですし、患者さんの生活の中にIT、スマホが浸透しているので、IT関連の技術や文化の理解も重要だと思います。自分や家族、チームのマインドメンバーのマインドケアも学んでいかないといけないと思います。この辺りは知的な意思決定にも関わります。
今回の要素分解はかなり重複もあるのですが、医者的にはそうだよなと感じられる分類だと思います。1つ1つの要素に多くの専門家がいて、1つの山を突き詰めて登っている人もいれば、僕のように1つの山を登らずにのらりくらりとやっている人もいます。(YouTubeは山の上の方に来たかもしれませんが…。)
あとは、統計、データ、AIは精神医学を理解する上での1つの基礎的なものになるでしょう。統計は手法として当たり前ですが、どのようにデータを取るのか・区分していくのか、ディープラーニングの知識もあったほうが良いと思います。かつて精神医学が他の学問から学び直したように、データやAIから学び直して変わっていくと思われます。
精神医学がややこしいと思われるのは、このようにいろいろな要素が絡み合っているためです。
医療系YouTuberの会, 精神医学
2021.2.16