今日は僕が自分の人生をかけて学んできた「仕事の量をこなすテクニック」を共有したいと思います。
患者さんからよく「仕事が終わらない」という相談を受けます。終わらないのは自分がうつだから、発達障害だからなのでしょうかと聞かれるですが、そもそも仕事を終わらせるためのテクニックを知らない人も多いと思います。それを学ぶ機会がなかった人が多いです。
僕自身も特に恵まれた環境にはおらず、だんだん吸収してきたという感じです。他の人を見て「こんなに効率よくやっているんだ」と驚いたこともありました。人によっては子どもの時から身につけられる環境だったりしますので、患者さんと話していてやはり損されているなと思うこともあります。できるだけその損をなくせるように今回動画を撮ってみます。
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仕事が終わらない理由
仕事が終わらない理由はだいたいこの3つになります。
・作業時間が少ない
・細部にこだわりすぎる
・能力とゴールの不一致
すべてが発達障害やうつのせいではありません。
1.作業時間を作る
・スキマ時間にやる
仕事が終わらないときに、仕事の時間をまとめて作ろうと思っても作れないものです。1日のうちに仕事ができる時間は限られていますので、どうやって時間を確保するかが大事です。一つはスキマ時間を作ることです。5分や10分といった短い時間に仕事、仕事の準備、勉強をすることがすごく重要です。スマホゲームや動画を見ることは受動的なので、慣れてしまうと幸福度を上げることはなかなかありません。
・作業を小分けにしておく
いつでもできるように作業を小分けにしておくことも大事です。歩いているときにあの問題について考えよう、整理してみようというようにすると、机の前にいる時は机でしかできない作業に集中できたりします。
・寝る時間は削らない
仕事が終わらないから休みの日に5時間確保しようといったやり方をするとだいたいうまくいきません。人生はマラソンなので規則正しく一定スピードで行くことが最終的には一番仕事の時間を増やせますので、これを意識することが大事です。
実際にこの仕事にどれくらいかかるのかを目算してみる、紙に書いてみるといった作業も地味に大事です。1日の自分の行動を測定したり、時期による気分の波も記録しておくと良いでしょう。そんなの当たり前じゃないかと思うこともやってみることが重要です。
2.細部にこだわらず、だいたいやる
これはとても大事です。
・20:80の法則(パレートの法則)
仕事で言うと、初めの20%で全体の80%が終わると言われています。残りの20%を80%の時間をかけて詰めていきます。忙しい時はこの20:80を意識して、だいたい8割程度の完成度を積み重ねて行くと結果的にアウトプットの量が多くなります。もちろん、仕事によっては細かいところを詰めていくことが大事なこともあります。哲学的な論考、芸術などでもこの法則は通用しないかもしれません。
・相手が見ているところだけやる
相手が見ていないところまで頑張ってやるのはこだわりとしては大事ですが、それだと仕事はなかなか終わりません。
患者さんには「上司が評価するところだけやったらどうですか?」と言うこともあります。「それは上司に言われたのですか?」と聞くと、4〜6割くらいの人は「いえ、そこまで上司はやるようには言っていません」と答えます。上司が求めていない仕事までやる人は意外と多いです。これは効率が悪いですし、自分がくたばるまでやる必要はありません。
相手が見えるものが何なのかを考えることは大事です。フレーミングを自分でやらないようにします。自分で仕事をゼロベースで考え直す作業をしていると仕事は終わりません。
僕は大学受験の時に初めは過去問だけ解いていてわからないところだけを調べれば良いのかなと思ってやっていたのですが、そうすると自分でフレームを組み立てるところからやらなければならないのですごく効率が悪かったです。予備校の参考書を使うと、コンパクトにフレーミングされているのでとても効率よく学ぶことができました。この時に、ゼロからイチを作る作業を自分でしないことはすごく楽なんだと学びました。
また、自衛隊時代に掃除があったのですが、これは結構綺麗にしないといけませんでした。先ほどの8割の掃除では全然ダメで、ピカールを使って蛇口もピカピカにしなければなりません。これを本当に全部をピカピカにしようとすると終わりません。ですので、綺麗にしつつ相手が本当に見そうなところに力を入れてやっていました。空気を読む方法を体で覚えた感じです。
細部にこだわらずだいたいやるためには、日頃から「全体を見る訓練」をする必要があります。これは確かにアスペルガー的な人にとっては難しいのですが、訓練できることなので諦めずにやっていくようにします。仕事の直前になって全体を見ようとしても難しいので、やはり日頃からの意識が大事です。
全体を見ようとしても初級者のうちはできないものです。初級者と中級者、中級者と上級者では見える世界が違います。初級者の見える世界で100%やろうとしてもだいたい漏れがあるので、初級者のうちはこだわりは不要で8割をまず終わらせます。そうすると8割が終わる頃には中級者になり、そこでまた8割を目指すと上級者になり、そこからまた8割を終わらせる、というようにやっていくことが大事です。
僕は去年からYouTubeを始めましたが、とにかくこの2:8を意識しました。喋りも上手くなかったですし、そもそもそういうことを意識することもありませんでした。2:8を意識しながらどんどん作っていく、診療の前後のスキマ時間にYouTubeを撮るということををやっています。1年ちょっとをかけて成果が出てきたように思います。
3.能力とゴールの不一致
・能力不足
この問題は自分で考えてもあまり答えは出ません。能力不足かどうなのかは、他人に相談したり他人と比較することで初めてわかります。
・ゴールが理想的すぎる
上司が押し付けてきたゴールは自分の勘違いなのか、相手の勘違いなのか、これも相手と比べたり相談したりしながらわかることです。
以上3つの話をしてきましたが、多くは最初の2つの問題になります。
患者さんと喋っていてよく思うのは、そんなに頑張る必要ないのになということです。診察室でもよく言うのですが、患者さんにはあまり響きません。「いえいえ、そんなことありません。私はさぼっているのです」という思いに支配されている人もいれば、「益田先生はお医者さんだから気楽に喋っているのですよ」と流す人もいます。でも頑張りすぎている人が多いなと思います。夏休みに同僚や上司が気楽にハワイに行ったりしているのを知ると、患者さんは「あれ?私だけ頑張っていたの?」と急に孤独感や人間不信に襲われたりということもよくあります。色々な人を見たり相談することも大事です。
とにかく、スキマ時間にちょこちょこやりながら、全体を見つつ大体やるということを意識すると仕事ははかどりますよという話でした。