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一般の人とは見ているところが違います! プロが評価する医療系動画の特徴について解説します

00:00 今日のテーマ
02:41 良い動画とは
10:46 お母さんの気持ちですよね

今日は「僕の思う医療系の良い動画」について語ってみようと思います。同業の方の動画をいろいろ見ますが、視聴回数によらずこの動画は素敵だなと思うポイントがあります。これは患者さんや視聴者さんが見るポイントとは結構違うと思うので、そこを解説しようと思います。

承認欲求に負けずに動画を撮りたいと言いつつ負けそうになることがありますが、専門家が撮るべき動画は治療的に良い動画だと僕は思っています。ですが、実際見られる動画は逆です。これは面白い…いや、由々しき事態です。良薬口に苦しというか、当たり前といえば当たり前ですが。

今回の動画を見て、今後動画のタイトルでこれは見たくないなと思うものがあっても、頑張って撮っていますので見てやるかと思っていただけると有り難いです。

良い動画とは

僕が思う「良い動画」とは「治療的に意義が高い」動画です。見ることによって患者さんの治療においてステップアップできるもの、患者さんの家族や友達・同僚・上司・部下が見ることで患者さんのためになものです。ですが、それと見られる動画は逆です。

・専門性>基礎的、概論
基礎的な内容が概論よりも、より具体的でコアなものを説明する方が良いと僕は思います。「うつ病」をふわっと説明するものはあふれていますし医師でなくても簡単に説明できたりしますが、もっと具体的な、抗うつ薬の副作用について対処法まで解説するといった内容は医師しか喋れません。

・具体的>抽象的
誰かを批判する意味ではありませんが、「生きるためのコツ」や「自分の気持ちを高める3つのポイント」といったものより、「強迫性障害における認知行動療法のワークブックの使い方」といった具体的な内容の動画の方が良いと思います。

ですがそうするとターゲットが狭くなりますので動画があまり見られなくなります。精神科に行くかどうか迷っている人に向けたターゲットの広い動画の方が見られやすいのです。とはいえ、本当に専門家が伝えなければいけない情報は、もっとコアで、診察室ではなかなか説明できないけれど患者さんが普通に検索するだけでは見つからない、見つかったとしても難しすぎる情報だと思います。そのような動画を撮っていると素晴らしいなと思うのですが、ターゲットが狭いので撮りにくいものです。

・デリケートな話題
自傷、摂食障害、虐待などデリケートな話題は広告がつかないのですが、この話題を話せるのがプロの腕だと思いますし、話すべき立場に僕らはいます。そこは責任ある立場としてやるべきだと思いますが、なかなか攻められません。ですので攻めていると素晴らしいなと思います。

・治療的>注意喚起
不安を煽るようなものよりは、治療的なものをしっかり伝えている動画が良いと思います。「この症状が出たらうつ病の危険がある」のような動画よりも、「うつ病はこのような経過をたどって、このような治療があります」「うつ病は時間がかかるかもしれませんが良くなります」「薬はオーソドックスなSSRIがあります」という内容の方が良いと思います。ですが、注意喚起している動画の方が伸びます。

「うつ病の人には抗うつ薬が効きます」のような動画はサムネイルも弱いです。不安を煽るものは人の関心を引くので認知心理学的もわかるのですが…。また、サムネイルをクリックしたとしても動画を最後まで見る人は少ないですから、動画の初めから治療的な内容が見えるものの方が良いと思います。ただ、それだと見られないので兼ね合いです。

・発見・学習>励まし、気休め(エンタメ)
エンタメは見やすいですし、スピーチや演説は聞きたいものですが、それよりもきちんと学習が起こるものの方が動画として価値が高いと思います。完全にどちらかに寄るわけではなくバランスの問題ではありますが。

・語られていない>語られている
誰もまだ語っていない内容の方がフロンティアスピリッツがあって良いと思いますが、語られていない動画は関連動画で上がってこないのでなかなか見つけてもらえません。新しい動画を撮るにあたり、今まで語られていないことの方が価値があると思いますが逆のことが起こっています。

・常識的治療>珍しい治療
珍しい治療は提供できない地域も多くあります。それを動画で紹介しても不安を煽るだけですし、医師と患者の間で築かれていたラポール(信頼関係)が崩れることにもなりかねません。ですので、常識的な治療こそ語るべきだと僕は思います。

お母さんの気持ちですよね

YouTubeは広告ビジネスなので依存性を高める仕組みがあります。動画を見ている時間が長いほど無気力になるからこそ、僕らは今回の内容を意識することが大事なのですがなかなかできません。

やはりお母さんの気持ちですよね、ピーマンを食べてもらいたいけれど子どもはなかなか食べない。刻んだりごまかしたり、ケチャップで味をつけたりなんとか食べやすいものにします。そこが難しいのですが、腕があればピーマンもうまく食べさせているのではないかなと思うのです…。

皆さんも、今後医療系の動画を見るときは今回のポイントに注目して「この先生攻めてるな」「益田は承認欲求に負けて守りに入ったな」など考えながらみてもらえると面白いのではないかなと思います。


2021.2.21

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