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パートナーが発達障害で困っている。カサンドラ症候群の症状、治療を解説します

00:00 今日のテーマ
01:56 カサンドラ症候群
03:41 治療方法
07:10 凹凸はパートナーだけ?
11:56 凹凸にも様々なタイプ
14:42 本人には問題はないのか?
19:17 本当に人それぞれ

今日は「カサンドラ症候群」の解説をしようと思います。
発達障害の患者さんのパートナー(配偶者、恋人)の方が、なかなか相手とコミュニケーションが取れずうつっぽくなってしまうことを「カサンドラ症候群」と言います。その診断と治療法とともに、臨床的にもう少し踏み込んで本人の問題についてもお話ししようと思います。

【結論】治療方法に王道はないので、この動画をきっかけに他の動画も参考にしてください。

カサンドラ症候群

カサンドラ症候群の定義:
・パートナーがASD(自閉スペクトラム症)
・夫との交流の乏しさ、夫の発達障害ゆえのトラブル
・抑うつ、落ち込み、パニック発作などの症状が出現

厳密に言うともう少し細かくありますが、実際の臨床ではもっと広がっていて、患者さんが「私はカサンドラですか?」と受診された場合、旦那さんのASDだけでなくADHD的な問題も語られることが多かったりします。ASDを持っている人はADHDを合併していることはよくありますので、トラブルの原因がASDではなくADHA的な要素から引き起こされていることも多くあります。

カサンドラ症候群という言葉自体は今のところ医学用語ではありません。これからいかようにも変わっていく言葉ではないかと思います。

治療方法

・疾病理解
まず大事なのは疾病理解です。奥さんだけでなく、旦那さん、家族、周囲の人皆が「発達障害」というものがあることを知らないといけません。甘え、性格が悪いのではなく、人間には能力の凸凹や限界があり、いびつな人は自分の努力ではどうしようもないくらい特性に支配されてしまう、ということを理解する必要があります。

・コミュニケーション、ルールの見直し
特性を踏まえた上でのコミュニケーションやルールの見直しが必要です。言葉で言っても通じにくい場合は紙に書いて渡す、ルールを明確化する(寝る時間を決める、間食のルールなど)といったことです。

・距離の適正化
求めることが大きいと苦しくなってしまいます。夫婦なのだからこれくらいのことを話し合いたい、情緒的なやりとりをしたいというものがあるとしても実際にできることはそれよりも少ないです。少しずつ理想に近づいていければ良いけれど、今はできないのだからもう少し近づかないようにしたら良いのでは?という話です。

・薬物治療?
奥さんの不眠、パニック発作、うつについては薬物治療が必要なこともあります。この辺りは臨機応変に行います。

・カウンセリング/自助団体
カウンセリンを受ける、自助団体に参加するというのは治療のメインとしてよく言われます。金銭的、時間的、地理的都合が合うのであれば利用するのは良いと思います。(カウンセリングは当院でも行っています)

凹凸はパートナーだけ?

ここからは臨床的にもう少し踏み込んだ話をします。

発達の問題はパートナーだけなのですか?ということはよくあります。
旦那さんだけが発達の問題があることは少ないです。

・子供は?
子供の発達障害はまだわかっていない場合もありますし、子供の発達障害をきっかけに夫の発達障害がわかることもあります。

この葛藤は難しいです。「夫のせいで…」「憎い夫と似た子供を愛せない」「子供を愛せなくなってしまい夫婦関係も悪くなった」「子供ができたせいで夫が子供に嫉妬している」などといった問題があります。

子供ができたことによって今まで気づかなかった問題に気づく、子供が生まれることによって二者関係から三者関係に移り家族の中で混乱が生じる、一人の男性から父親になれないなど語ればいっぱいあります。

・義理の両親は?
夫が発達障害ならば義理の両親の少なくともどちらかには発達の問題があるのでは、ということです。
「息子のところにできた嫁が来たから嫁に全部任せてしまおう」といった昔ながらの考えもあります。義理の両親のどちらかが発達障害で、「こんなことで困っているんです」と相談するとより問題が大きくなってしまうこともあります。

・自分、自分の両親は?
自分自身、自分の両親のどちらかに発達障害の問題はないのかということもあります。
どうしてそのパートナーを選んでしまったのかもどこかで話さなければいけない内容です。そこに踏み込むのは結構キツイです。

恋愛をしているときの幸せを土足で踏み躙るような行為になってしまうので、そこは聖域としてとっておきたい、内緒にしておきたいという話であってもそれに踏み込まなければいけなくなるのでタフな作業です。でもどこかでやらないと魚の骨が喉に引っかかっているような感じでカウンセリングが進まなくなります。

自分の両親の似た人をパートナーとして選んでしまうこともあります。父親が発達障害で、違うタイプの人をと思っていたけれど似たタイプを選んでしまったということは起きます。これも話さなければいけない話題です。

凹凸にも様々なタイプ

発達障害にも様々なタイプがありますがどのタイプですか、ということです。

・ASD < ADHD
基本的にカサンドラは「ASD(自閉が強い人)のパートナー」ということですが、自助団体に行くとADHDの要素が強いパートナーに困っている人もいたりと人によって全然違います。

・攻撃性、会社、お金、盗み、嘘
発達障害は本当に様々なタイプがあります。攻撃性の有無、会社で働けるのかどうか(転職を繰り返す)、お金の問題(家によってはすごくお金持ちなので実家からのサポートの有無)、盗みや嘘をつくことの有無など。

義理の両親がすごく厳しくてそこから守ってあげようと結婚したときに、義理の両親がしてきた虐待をパートナー本人が再現してしまう、その時の本人の対処スキルとして嘘をついてしまうことが身についていてトラブルになるパターンもあります。

・依存(アルコール、ギャンブル、性)
発達障害の人は依存症になりやすいのでアルコール、ギャンブル、性、自傷などへの依存の有無もあります。

このようなパターンの掛け合わせによっても全然違いますし、受身的なのか積極的なのかによっても違います。だからまとまることが難しいのです。

本人には問題はないのか?

本人に問題があるのかないのかはもう一度議題として語らなければならないことです。

そもそもカサンドラ症候群というのは、旦那さんとうまくやれない時に「自分のせいなんだ」と思ってしまう人がうつになってしまうということですが、そこから「自分のせいではなく相手の特性でこういうことが起きているんだ」とわかるようになります。

その次なのです。

「でも、どうして自分はそのような人と結婚したのか? もしかして自分にも何か問題があるのではないか」というのが臨床的にはすぐ起きます。

ホワイトボードの左側の内容をよく理解した上で患者さんは来るので、患者さんが診察室で聞きたいのは自分に関する部分だったりします。この話をすることがカサンドラの治療の中心といっても良いくらいです。

・若さゆえに、お見合い?
若さゆえに間違った恋愛をしてしまった、お見合いみたいな形で相手のことを見抜く暇もなかったというパターンです。であればまだ良いです。

・自分自身も凹凸が?
自分を見抜く力がないために似たような相手を選んでしまった、自分の方が程度がましだったという問題もあります。

・外傷→鈍感な人を選ぶ
過去に受けた外傷のせいで、感情交流が少ない人、鈍感な人を選んだというパターンもあります。外傷経験があるから母性が強まってしまって「私がいないとこの人は生きていけないのかもしれない」といった親切心のようなもので恋愛が進んでしまった結果、後で後悔するというパターンもあります。

101回目のプロポーズではありませんが、美女が不器用な男の人にコロッと行ってしまうことがあります。そこからハッピーエンドかというとそうでもなかったり。

・ミュンヒハウゼン的なもの
なんでもかんでも問題を旦那さんのせいにしてしまうこともあります。
「奥さんから、発達障害だから治してと言われた」といって診察に来る人がいます。その人は確かにコミュニケーションの苦手さやそそっかしさはあったりしますが、発達障害として治療すべきレベルではないし会社でもうまくやっていたりします。

でも奥さんの方にトラブルや内的な不安があり、その問題を旦那さんの発達障害やちょっとした欠点に投影してしまっていて、自分の問題から目を背けているというパターンもあります。その場合だと難しいです。

「あなたが落ち込んでいるのは、カサンドラではなくあなた自身の問題なのではないですか?」という話ですが、初診の時点でわかったとしても口が裂けても言えません。言ったら治療関係が全然うまくいかなくなってしまいます。

本当に人それぞれ

カサンドラ症候群といっても、実際は本当に様々です。旦那さんのタイプも違えば、旦那さんの家族の背景も違いますし、本人の様子も違うので、1つの動画、1つの治療法、1つの解説では済みません。

動画をいろいろ撮っていますので、それらを見て理解を深めていってくれたらと思います。


2021.4.4

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