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完璧主義になりやすい人へ。白黒思考について、原因と解決策

00:00 今日のテーマ
02:00 白黒思考になる原因
04:40 なぜそのような本能があるのか
08:53 白黒思考になりやすい人とそうでない人の差

今日は「白黒思考」について解説します。

白黒思考とは、簡単に言うと何でもかんでも「白」か「黒」に分けてしまう、「グレー」がない思考のことです。極端に「良い/悪い」「主治医は良い人/主治医は悪い人」「私は良い子/私は悪い子」と分けてしまい、あいだがありません。

白黒思考の人は完璧主義であったり、うつ病やパニック障害になりやすかったりします。また、発達障害の人だと中間を考えることが苦手なので白黒思考になりやすかったりしますし、白黒思考の人は摂食障害にもなりやすいです。

おそらく、心理士さんや主治医から言われた経験がある人が多いのではないかと思います。それほどポピュラーな用語です。

今回は、どのように説明しようかを考え「FACTFULNESS」という本から使いやすい言葉を拾ってきました。

白黒思考になる原因

白黒思考になるのはこの3つの本能からきているのではないかと思います。

・分断本能:世界を2つに分ける。しかし、世の中はグラデーション
人間は複雑なものを考えるのが苦手なので世界を2つに分けて考えがちです。「発達障害なのか、そうでないのか」「薬を飲んだほうが良いのか、飲んではいけないのか」など。

ですが、実際は世の中は2つに分けられるものばかりではありません。むしろ多くのものはグラデーションで、2つに分けられないものの方が多いです。発達障害を例にすると、発達障害と言われる人もいれば、自閉症、グレーゾーンと呼ばれる人もいます。

・単純化本能:
単純化されたものが好まれます。単純化してくれる人、断言してくれる人を人間は好みます。
「こういうこともあるけれど、こういう可能性もあるよね」などと言う人は信用されにくいです。それよりも「これはこうなんだ、だからこうしなさい」という人の方が好まれるのです。

・犯人捜し本能:「誰か」に責任を求める。原因をひとつに求める。
うつの原因を自分の見た目の問題にすり替えてしまい摂食障害になる、家族の仲が悪いのも私のせいだとなって摂食障害になる、今の落ち込みは発達障害の問題だから薬を飲めばすべて解決する、などと考えますが、1つのことに原因を集約することはできません。

なぜそのような本能があるのか

・思考<感情・本能
なぜそのような本能があるのでしょうか。  
人間は「思考」よりも「感情や本能」を優先させるため、合理的な行動を取れなくなります。脳は大脳皮質よりも先に感情や本能で動く部分が進化したため、感情や本能が優先されるのです。とっさに何かを判断しようとしたときにはやはり本能に従った方がよかったりします。ですが、合理的な行動は取れません。

・合理的行動をとれなくなる
合理的な行動が取れなくなることを、精神分析では「無意識に支配されている」、認知行動療法だと「スキーマ」、心理学だと「ヒューリスティック」「バイアス」と言ったりします。

臨床的には無意識の行動に気づくことが大事ですし、気づくためのトレーニングが大事になってきます。気づくトレーニングで白黒思考は良くなっていきます。

こういうことを言うと、「そんな頭でっかちな生き方は楽しくないよ、人間というのは感情が満たされること、それが幸福なのでは?」と言う人がいます。もちろんそういう面もあります。人間は合理的な生き物ではないので、自分の感情にきちんと訴えるものをやらないと幸せは感じにくいです。
 
ですが、臨床においては幸福を目指しているわけではありません。患者さんにも言うのですが、幸福を目指すのではなくて問題解決をするために精神医学はあります。幸福を目指すのは大事ですが、まずは幸福を妨げている余分なものを取りましょうね、というのが今やるべき治療だと言います。そうすると「問題は全部なくなるんですか?」と言われます。問題は全部はなくなりません。ですが、大きな石と小さな石があって、まずは大きな石を取ろうよということです。それこそ白黒思考です。
 
とにかく気づく、感情や本能に支配されているのではないかと気づくトレーニングが大事です。

白黒思考になりやすい人とそうでない人の差

白黒思考になりやすい人とそうでない人の差がどこにあるかというと、数学で言う「場合い分け」の能力の強い、弱いがあるのではないかと思います。

場合い分け
|X|+|X-2|=4(解説は動画をご覧ください)

上記は数学の話ですが、同じことが実生活にも当てはまると思います。

例)嫌なことを言われた

相手が大人+自分に非がある場合→許してくれる
自分に非がない+大人の相手から言われた場合→その時だけ、謝ってくれる
相手が子供または悪い人+自分に非がある→相手が機嫌が悪くてもしかたがない
自分に非がない+相手が子供または悪い人→相手の問題、気にする価値はない

このようなことを考えると状況を判断できるので、それほど混乱や不安に陥りません。こんな単純な話ばかりではありませんが。でも「この場合は、こうだろう」と冷静に考えていく力が大事です。とっさにできることではありませんが、1つ1つ日々考えて成長していくことが大事です。

白黒思考になりやすい人はおそらく場合い分けする力が弱いと思います。一見、数学は意味がないと思われがちですが、精神科と数学は意外と相性が良いです。場合い分けが苦手だなという人は勉強してもらえれば、白黒思考の解決にもつながるのではないかと思います。

今回は、白黒思考のメカニズムと本能に惑わされない意識づくりの重要性、そのために場合い分けのトレーニングが大事という解説をしました。

参考:
ハンス・ロスリング 著
FACTFULNESS 10の思い込みを乗り越え、データを基に世界を正しく見る習慣
https://www.amazon.co.jp/dp/4822289605


2021.4.12

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