東西線「早稲田駅」徒歩1分。夜間・土曜も診療。心療内科・精神科。自立支援対応

WEB予約はこちら

再診患者専用

03-6233-9538

予約制:木・日・祝休診

0362339538
初診WEB予約

  

再診患者専用TEL

03-6233-9538

発達障害の人への指導法、トレーニング方法

00:00 今日のテーマ
00:28 1.細かくステップ分けする
06:00 2.最初のうちはサポートをする
07:15 3.ほめる、自信を育てる
07:55 外来以外のサポート

今日は「発達障害の方の指導法、トレーニング法」について解説してみようと思います。
子どもも大人も一緒で、原則を守っていただければ大丈夫です。

1.細かくステップ分けする

・目的、目標を伝える
・1つずつ伝える
・視覚的に伝える

1つ目は「細かくステップ分けして伝える」ということです。細かく具体的に伝えると同時に全体的な目的や目標も伝えます。目的や目標が伝わらないと本人のやる気が出ないためです。

例)「規則正しい生活をする」
目的:規則正しい生活をした方が、体力を効率的に使える(パフォーマンスが上がる)
目標:11時に寝て起きるのは7時
1つずつ:10時半に歯磨きをする(具体的に)
視覚的:紙に書いて渡す

10時半に歯磨きができるようになったら、10時までにお風呂に入るようにする、夕食のあとはゲームをしない、など1つずつステップを分けていきます。

どれくらい細かく具体的に伝えるかは人によります。報連相のやり方、パソコンの使い方、何でもそうです。どれくらい教えるかも人によります。

何気なくやっていることも多いです。
例えば「雑談はした方が良い」など。

「何のために雑談をするのですか」と聞かれたら、「雑談をすることでその人の性格や今の気持ちもわかるから雑談をすることは大事なんだよ」などと答えます。すると「具体的に今の気持ちどう?と聞いたらいけないんですか」と聞かれます。「そうすると角が立つから」など色々やりとりをしていると「先生、さっきはこう言ったじゃないですか」と一貫性が保てなくなって混乱したりイライラしたりといったことが起こります。こちらも手探りだと伝えた上で言えば良いのですが。

「雑談は大事だと言っているけれど、僕もそんなに意味を考えたことはないし、雑談はどのように始まってどのように終わるのが良いのか、何気なくやっていると気づかないからあなたと一緒に考えてみようと思います。あなたにあった雑談の仕方を考えてみよう」と言ったりします。
 
また、何かを覚えてもらうときに最後に怒ったりするとそれだけが記憶に残ります。
例えば「片付けをしなさい」と言った時に最後に「もう!」と怒ってしまうと、怒られたという記憶だけが残ってしまって「片付けをする時には赤いものはこの箱、本は本棚」といった本来伝えたいことが伝わりません。

改めて、
・目的、目標を伝える
・1つずつ伝える
・視覚的に伝える
この原則は発達障害の人に伝える時もそうですが、発達障害の人が自分でトレーニングをするときも利用してください。余裕がある時に「自分マニュアル」を作っておくことが大事です。

2.最初のうちはサポートをする

最初のうちは徹底的にサポートをしていきます。ADHD的な特性がある人はサポートされることを嫌がったりしますが、とにかく真似てもらいます。

「サポートをしてくださいね」とか「まだサポートの段階ですね」と言うと、「そんなことをしたら考える力を奪ってしまうのではないですか」と聞かれますが、考える力を奪うことはありません。最初は型がないのでサポートが大事です。

ただし、長くサポートばかりしていると子どもはサポートしてもらえるものだと思い「甘え」の学習になります。ぼーっとしていれば助けてくれるという誤った学習になるので、いつかはサポートしなくなるけれど、今はサポートをするときちんと言うことが大事です。

3.ほめる、自信を育てる

ほめる、自信を育てることも大事です。
発達障害の人は外で十分に叱られていますし、記憶力が良いので嫌なところばかりが「生々しい記憶」として忘れられなかったりするので、あまり怒らずとにかくほめて自信を育てることを意識します。

以上3つの原則を忘れないでください。

外来以外のサポート

それではこれを外来でできるかというと時間が足りないです。1個ぐらいでしたらやり取りできるのですが、本当に発達障害でこじれてしまった場合は、1回の外来で1つのことしか扱えないので、カウンセリングや学生相談室、就労支援、訪問看護などを利用して1つ1つを検証してあげることが大事です。

また、子供の場合はすぐに精神科の外来を受診できないことが多いため、その場合はどうしたら良いのですかとよく聞かれます。

その場合は、
・保健所、保健センター
・児童相談所
・発達障害支援センター
・精神保健福祉センター
などが地域にありますので検索して連絡をしてみると良いと思います。

今は子どもの8%が発達障害が疑われる言われていますが、人口全体でまだ50万人くらいしか発達障害と診断されていませんので、明らかに診断されていなくて困っている人たちがたくさんいると思います。ですので上記のような機関を利用していただければと思います。

大人の場合、「一人で考えられますよ」と言いますが、複数人で考えた方が解決が早いです。相談するのは恥ずかしいことではありませんので、複数の人間で考えて問題解決を目指すのが良いと思います。


2021.4.25

© 2018 早稲田メンタルクリニック All Rights Reserved.