今日は「2040年の医療の世界」というタイトルで、今後医療の世界がどう変わっていくのかについて自分なりの考えを解説していこうと思います。
この動画を撮ろうと思ったのは、YouTubeライブで医学部1年生の人から「将来を見据えてどのようなことをやっておけば良いでしょうか」というような質問をいただいたのがきっかけです。僕も医師になって10年経っているので、今の医学生がそれくらいになるには2040年くらい、つまり今から15、6年後になるわけです。その時に医療がどうなっているかと考えると、今の僕らがやっている医療とはたぶん違うものになっているだろうと思い、うまくお答えができませんでした。ただ、考えてみると面白いなと思いましたので動画で答えてみようと思います。
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コロナに対応できる体制づくり
直近の話をすると、コロナはあと数年続くと言われていますので、コロナに対応できる体制づくりをしなければなりません。今後、国際的な交流や移動が減ることはないし戻るでしょうけれど、人の移動があればまたパンデミックは起きるでしょうからそれを見越した体制を作っておかなければなりません。
また、コロナに限らず日本は災害大国です。日本人は真面目だ、しっかりしている、言うことを聞くと国際的にもよく言われますが、それは災害が多い国だからです。厳しい環境にいるから僕らは真面目な民族なのです。砂漠の国に住む人も真面目です。
とにかくそのような国なので、災害に備えた病院体制づくりをしなければなりません。病院機能の見直しもあるでしょうし、DX化(連携がしやすいようにIT技術を使っていく)されていくでしょう。医師や看護師を強制的に働かせるような法律も作っていくような気もします。
人口減少、地方過疎化、高齢者の増加
これはもう明らかです。テレワークが進んでいるから地方は過疎化しないんじゃないかと言う人はいるかもしれませんが、地方は過疎化します。第1都市、第2都市までは人口を確保できるかもしれませんが、無医村のようなところは人口はどんどん減っていくと思います。若い人も働きにくいですし。今はそのようなところにも開業医の先生がいたりしますが、なかなかそういうことができなくなると思います。
そのような中で高齢者になっても働く人が多くなると思いますが、DNR(Do Not Attempt Resuscitation:蘇生処置拒否指示)の議論がもっとしっかりされるのではないかと思います。今の医療現場は高齢の患者さんでもオペをしたり、意識がない人に胃ろうをしたりとか、ずいぶん減ってはいますが延命治療に近いことはまだまだあります。その辺りがもっと議論されると思います。認知症に人にどこまで医療をするかなども議論すべきですし、進んでいくと思います。進んでいった先にあるのはDNRの拡大です。それは起きると思います。
医師の働き方改革
医師の働き方改革は2024年から行われるということでしたが、コロナの影響次第で延びるかもしれません。どのような改革かというと、常勤とアルバイトの勤務時間を合算してこれだけの勤務時間にしなさいと決めるものです。女性のドクターや高齢のドクターも増えていきますので働き方も変わっていくと思います。
先に述べた病院機能と併せて考えないといけないのでトップの人たちがどのように国の医療を考えるのか予想がつきにくいのですが、少なくとも医師の労働時間は減っていくと思います。
そうなってくると、勤務医の給料は相対的に下がります。国力が落ちるという意味で外資系で働く人が増えると(僕より稼いでいるGoogle社員の患者さんもいます)、理系で成績がよかったら医師一択ということもなくなると思います。それならITが良いかというとスピードが速いので、理系の女性は医師を選ぶ人が増えていくのではないかという気はします。女性の医師は精神科を選ぶ人が多いので精神科の女性医師はどんどん増えていくでしょうし、良いことだと思います。
また、医師の働き方も多様化が進んでくると思います。給料が下がって働けなくなってくると色々なことをするドクターも出てくると思います。起業する医師も増えてくるでしょうし、開業する医師も増えると思います。2024年以降、あと2年ちょっとでYouTubeをやる先生も増えると思います。おそらく女性の医師で僕より喋りがうまくて素晴らしい方が出てきてアッサリ抜かれると思います。抜かれても見捨てないでくださいね。(メンタル系YouTuberの会へどうぞ!ノウハウの共有など惜しみなくしています)
新しい治療法、薬が生まれる!
2040年の話ですからもっとすごいことが起こります。新しい治療法や薬がバンバン生まれています。
AIも進んでいますから今は画像診断なのが2020年代には動画診断ができるようになります。ドラゴンボールのスカウターのようにビビビッと「これはガンのなんとかかんとか」と出たりすると思います。AIによる問診、雑談、診断、カウンセリングができると思います。そうするとAIの方が良いなという人も出てくると思います。
ロボット技術も上がって人間の手先ではできないこともできるようになり、オペのレベルも格段に上がると思います。精神科においては、発達障害の人がロボットやアプリを補助的に使うことで会話がスムーズになるとかミスを防ぐといったことも増えると思います。
薬に関しては分子レベルで作成できるようになってきているので、色々な構造でできると思います。タンパク質の3Dモデルのデータも扱えるようになっていますし、ゲノム編集技術も上がっています。再生医療も進むでしょう。ここまでくるとわかりません。
技術が変われば心も変わるのでまた色々な悩みが出てくるのだろうなと思いつつ、世の中についていけるようにしたいなと思います。
益田はどうするんだ?
益田はどうするんだという話ですが、AIによる雑談、診断、カウンセリングなどに関しては僕も協力できることがあればしたいと思っています。あとはメンタル系YouTuberの会で若い人たちに情報提供をして、倫理的なルールを皆で守るようにしたいと思います。
あとは、YouTubeに動画を数本上げるだけでも患者さんは「こういう先生なんだな」と来やすくなるので、そういう意味でもYouTubeのハードルを下げていきたいという思いもあります。
今回は雑談に近いですが、医学生や若い医療従事者の人も結構見てくれているようなのでこのような動画も役に立つかなと思います。