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ゼロから学ぶ!抗精神病薬について解説

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00:00 今日のテーマ
01:12 抗精神病薬とは
02:29 向精神薬
04:41 抗精神病薬
09:52 多剤の原因?

今日は「抗精神病薬とは何か」というテーマです。
この動画は精神科の患者さん及びご家族に向けて作りました。
特に、精神科のことをまだ何も知らないという方に向けて撮りました。一度薬の説明を受けたことのある人や自分で調べたことのある人には少々物足りない内容かもしれません。しかし、良い復習になると思いますので最後まで見てください。

精神科の薬の分類、抗精神病薬のメカニズムと代表的な副作用、臨床家が考える重要なポイントについて解説します。

抗精神病薬とは

抗精神病薬は向精神薬5種のうちの1種で、主に統合失調症の人に対して使われる薬です。
(精神科で使われる薬のことを「向精神薬」と言います。ややこしいですね)

統合失調症とは幻覚妄想が出て、聞こえるはずのない声が聞こえたり、誰かに監視されているのではないかと被害妄想が生じる病気で、ドーパミン系の異常から生じる脳の病気です。
抗精神病薬は主にこの統合失調症に使われますが、他にも色々な用途で使われます。
うつ病、躁うつ病、発達障害の感覚過敏、せん妄や認知症にも使われます。

向精神薬

5種類の向精神薬はこちらです

・抗うつ薬
抗うつ薬はうつ病の人にだけ使う薬だと思われがちですが、不安障害、強迫性障害などうつ病以外にも使います。

・抗精神病薬
先ほど述べたように、統合失調症、うつ病、躁うつ病、発達障害の感覚過敏、せん妄や認知症などにも使われます。

・気分安定薬
リチウム、バルプロ酸、カルバマゼピン、ラモトリギンなどです。主に躁うつ病に使われる薬です。

・ベンゾジアゼピン系など(睡眠薬、抗不安薬)
ベンゾ系は悪名高い感じになってしまいました。
副交感神経系を刺激してリラックスさせてくれる薬です。症状緩和のために使います。眠気が出るので睡眠薬としても使われます。
お酒に似ているので依存性があり、たくさん出すのは良くないと言われています。
活躍の機会は減っているということになっていますが、臨床現場では普通に使われています。

・その他(発達障害の薬、抗認知症薬)
ここに漢方を含めることもあります。

抗精神病薬

抗精神病薬は「定型」と「非定型」の2つに分類されます。
ほとんどの患者さんが非定型の薬を処方されていると思います。
定型は昔の薬で強力なのですが、副作用も強く出たりするのであまり使われません。ただ定型でも、商品名セレネース(一般名:ハロペリドール)は点滴で使うこともあるので、せん妄の人に使うこともあります。

非定型の薬はさらに3つに分けることができます。
SDA…リスペリドン
MARTA…オランザピン、クエチアピン
DPA…アリピプラゾール etc.
これらは別の動画で解説しています。

D2ブロック作用がメイン

統合失調症はドパミンが大量に出る病気です。ドパミンがたくさん出ることによって幻覚妄想が出現します。ドパミンが大量に出るといえば、覚醒剤です。覚醒剤の逆が抗精神病薬です。

・D2ブロック作用 
ドパミンという神経物質が受容体にくっつくと次の神経に信号が行くのですが、この薬は主にドパミンという神経物質の入り口(受容体)を塞ぐ作用があります。
他にもセロトニン、ノルアドレナリン、ヒスタミン、受容体などに関与してきます。ややこしいですがこれらが複雑に絡み合っている、という薬です。

基本的にはドパミンをブロックする薬で、ドパミンだけをブロックしていると副作用が多いので、他の神経伝達物質にも影響を与えることで副作用を抑える、というイメージで新薬は開発されています。新薬であればあるほど、基本的には副作用が少ないイメージです。

・副作用:錐体外路症状=パーキンソン症状
ドパミンをブロックするために起こる副作用です。パーキンソン症状というのは文字通りパーキンソン病のような症状(歯車様固縮、振戦、仮面様顔貌)が出ることです。

他の副作用としては、アカシジア(ムズムズする)、ジスキネジア、ジストニアなどがあります。これは前回の動画で解説しています。

・副作用:鎮静、代謝障害など
鎮静がかかるので眠気が出たり、興奮を抑えたり、認知機能が落ちたりします。記憶障害が起きたりもします。代謝が落ちるので糖尿病や高脂血症などになることもあります。

多剤の原因?

抗精神病薬はさまざまな用途で使われるので多剤の原因になりやすいです。人格障害の人にも出されたりしますが、そもそも人格障害は薬が効く病気ではないので、多剤は問題があります。

多剤大量処方について。
じゃあ主治医が変わったタイミングで薬を抜こうとすると、それはそれで幻覚妄想が悪化する、躁うつ病が悪化するといったことが起きたりします。
必要だからこれだけの量が出ていることもあるし、やっぱり単純に出しすぎているときもあります。臨床家としては悩みどころです。

よく多剤の原因としてベンゾ系が槍玉に上がるのですが、はっきり言ってベンゾ系の依存よりも抗精神病薬の多剤の方がよっぽど危険だったりします。
その上、先ほども申し上げた通り、抜きにくいです。
ベンゾの場合は離脱を防ぎながら抜けば良いのですが、抗精神病薬の多剤の場合は幻覚妄想や躁うつの悪化の危険性もある上に、悪化した場合は入院になってしまうので慎重にやらないといけない。難しいです。  

副作用も多いので簡単に出して良いのか?というのが抗精神病薬です。使い方としては難しく、臨床家でないと使いこなせないです。精神科以外のドクターは結構苦手だと思います。精神科のドクターでも難しい種類の薬です。

薬が多くて苦労されている患者さんはたくさんいらっしゃいます。昔は治療の選択肢がなく、新薬もなくてつい多剤になってしまったということが多かったようです。ですが、現代的な観点でブラッシュアップしながら薬の整理をしたり、病歴を見直して診断をし直すことは大事です。
精神科では普通のことなので、主治医の先生とよく相談してもらうのが良いかなと思います。

今回は、抗精神病薬とはどういうものかをゼロから解説しました。分類、作用と副作用、臨床上の注意点を解説してみました。

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2021.5.16

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