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嫌な記憶をよく思い出してしまうときの対処法

00:28 嫌なことを紐付けて思い出す
01:32 どうしたら良いか(疾患ごとに)
05:54 モデルの理解と客観視

今日は「嫌なことを紐付けて思い出す」というテーマでお話ししようと思います。

診察室で患者さんから「嫌なことをよく思い出すんです」と言われます。

「何かあると嫌なことを紐付けて思い出してしまうんですよね」
「昔あの場所で嫌なことがあったので近づくと嫌な思いになる」
「また気持ち悪くなるんじゃないかと…」

このようなことがよく話題に上がります。

どうしたら良いか?を一般論ではなく、疾患ごとに分けてお答えします。

どうしたら良いか

・うつ状態、うつ病、適応障害、躁うつ病のうつ状態
・統合失調症(幻覚妄想)
・アルコール、薬物依存

これらの場合はまずは「疾患治療(薬と休養)」です。
例えばうつ病の場合、「それはうつの症状だから、うつが治らない限りまた思い出してしまいますよ」ということです。
ですから、きちんと薬を飲んで休養を取ることで、うつ病は改善し、結果的に、嫌なことを思い出すことがなくなります。
原疾患の治療が大事です。

一方、薬と休養だけではなかなか改善しない代表的な疾患はこちらです:

・不安障害…薬
不安障害とは、不安を感じやすい体質の人です。
人間は皆が同じように作られているわけではなく、不安を感じやすい人もいれば不安に鈍感な人もいます。
敏感な人に対しては抗うつ薬(SSRI)がよく効きます。
何度も確認してしまうなどの強迫性障害もこちらに含まれます。

・発達障害…サポート下での整理
自閉スペクトラム症の「こだわり」や、発達障害の人にある「生々しい記憶(瑣末なことまですごく覚えている)」という特徴により、嫌なことを思い出してしまいやすいです。
記憶力が優れている特徴が良い方向に向かえば、いわゆる電車博士や本を見ただけで写真のように覚えてしまう、テストの点数がいい天才少年などとなるのですが、悪い方面に特徴がでてしまうと、なかなか忘れられないとか情報の混乱などの問題が起こってしまいます。

発達障害の場合、誰かと一緒に物事を考えて整理するという作業が必要です。生活の中で困っていることは何なのか、どういうところでコミュニケーションの問題が起きているのかなど。

自分一人の脳みそで考えるのは難しいので、定型発達の人と一緒に整理することが大事です。定型の人の中でも発達障害のことがわかる人でないとサポート能力が不十分だったりしますので、専門家と一緒に整理することが大事です。

・PTSD(心的外傷後ストレス障害)
まず安全な場所を確保します。現在進行形で虐待を受けている場合もありますし、虐待は解決しているけれど恋人がDVをするなど反復強迫でトラブルに巻き込まれてしまっていることもあります。
別れるべきとは言いませんが、まずは安全な場所を確保することが大事です。

モデルの理解と客観視

その上で大事なのは「モデルの理解と客観視」です。
今回の動画ではとにかくこれを覚えてもらうのが良いと思います。

やり方は、嫌な記憶を思い出した時に、「これは嫌な記憶なんだ」と客観視して、「大丈夫。大したことない。それがどうした」という良い記憶をセットで思い出すようする、というものです。

例)電車に乗ると気持ち悪くなりそう
「ああ、あの時は動悸がして怖かったんだ」

「でも薬を持っているから大丈夫」
「最近は発作が起きてないから大丈夫」

これをセットで瞬時に思い出すようにします。

例)吐き気がするかも
「吐き気がするかも、あの場所に行きたくない」

「いやいや大丈夫、この前も通ったけど大丈夫だった」

このようにセットですぐに思い出すようにします。

セットでやった上で、「また不安になっている私がいるな」と客観的に見ます。
これを毎回やっているとスピードが速くなります。別々の記憶がひとつのまとまった記憶になります。

こう聞くと「いやいやわかってるよ、でもできないんだよ」と言う人もいると思います。今回の話は入門編のようなもので、主治医に相談し、第二弾を考えましょう。

入門編でうまくいかなかったら、薬の変更を検討する、もっと細かく認知行動療法としてやっていく、もっとサポートを入れる、安全な場所について考える、嫌な記憶についての情報を整理するなど次のステップに進みます。
 
今回は、嫌なことを紐付けて思い出してしまう場合、疾患ごとにやり方が違うこと、でも「モデルの理解と客観視」ができれば嫌なことを紐付けて思い出しても大丈夫になっていくことが多い、というお話をしました。
これでうまくいかなければカウンセリングに向かうのもよいですよ。


2021.5.27

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