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ヤングケアラーについて

00:44 ヤングケアラー
02:47 ヤングケアラーの問題
04:10 どうしたら良いのか 
05:13 高齢者を自宅でみることが増えている

今日は「ヤングケアラー」についてお話しします。この言葉を覚えるだけで、世の中の見え方はだいぶ変わるのではないかと思います。

ヤングケアラー

家族の世話のために、満足に学校での勉強や仕事ができず困っている若い世代の人を「ヤングケアラー」と呼びます。
家族というのは祖父母の介護、障害を持った家族の世話といったことです。

ニュースの情報ではクラスに1人、5~6%いるということでした。5~6%というのは多いと思いますか? 少ないと思いますか?
僕としてはそうだろうなと思い、特に多いとも少ないとも思いませんでした。精神科の患者さんが人口の1~2、3%いるので、それに高齢者を加えると5~6%、あるいはもう少しいるだろうなと思いますので、その看護の手伝いをする子供たちはそれぐらいいるだろうな、と。

どうしてこの動画を撮ろうと思ったかというと、まず「ヤングケアラー」という言葉を知ってほしいというのと、この言葉を知ることで、自分がどういう子供だったのかを知ってほしかったからです。

このように名付けることは大事で、名付けられないと人は認識できません。

「自分は今ヤングケアラーなんだ」「自分は昔はヤングケアラーだったんだ」とわかることは重要な気づきであり、学びです。精神科の患者さんは元ヤングケアラーの人はたくさんいます。現在進行形でヤングケアラーの方も多くいます。

子どもが家族の世話をするのは当たり前だと思う人もいるかもしれません。ですが、やはりそれは問題で、学びの機会を失ったことで、同世代との競争に負け、社会へ出られなくて自己肯定感が損なわれてしまう人が多くいます。
高校卒業後も家族の世話をしていて、なかなか次のステップにいけないケースもよくあります。

中学、高校で不登校になり、「学校に行かないんだったら家族の世話をしなさい」となったり、仕事でうつになり自宅で休んでいたら「休んでいるなら家族の世話をしなさい」となったり。

その結果、「自分はこういうことしかできないのかな」と思っている人たちです。
臨床的にはよく見ます。

どうしたら良いのか

・児童相談所
子どもの場合は児童相談所への相談ができます。本人が相談することもできます。
ただ、児童相談所の支援も限定的です。そのため法律をもっと整備しようと議論されているところです。

・大人の場合
大人の場合は主治医に相談します。
家族の主治医がいるなら家族の主治医によく相談します。

高齢者を自宅でみることが増えている

・高齢者→医療費→自宅
医療費の増大により、今は高齢者もあまり入院はせず自宅で見ることが増えています。
そうするとますますヤングケアラーが増えます。昔ならば漫然と入院していた人たちが自宅に帰ってくることで、高齢者の世話を子どもたちがしなければならなくなることがあるのです。

また、精神科の病棟も減らそうという動きがあり、できるだけ家でみようということになっています。
医療費が増大しているのでその動きもわかるのですが、社会がその方向に進んでいくと、今後、ヤングケアラーが増えてしまうのも当然の流れかと思います。

困っていることを言い出せない

・ASDの受動型
ASD(自閉スペクトラム症)の受動型など、自分から言えない人の場合はヤングケアラーであって、困っていることを言い出せず、鬱になっていくことは多くあります。

自己肯定感の問題などでズタボロになって診察に来たけれど、原疾患のASDの問題もありなかなか社会に出られない、そのため逆に共依存的に見えたりすることもあります。

難しい話題です。
ですが、名付けることで問題を認識できますし、この言葉を知ることで心が軽くなる患者さんもいると思います。

今回はヤングケアラーについてご紹介してみました。


2021.5.31

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