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「毎日◯にたい」と言われて、診察室ではどう答えているか?

00:29 原因
03:06 どこに焦点を当てているか
07:01 別の場所に行く
08:10 医療・福祉
08:46 河原の石を1つ1つ磨くように

今日は「毎日、死にたい」というような相談に、どのようにお答えしているのかをお話しします。
このようなものに正解はありませんが、自分の中でどのように考え臨床しているのかをお話しします。

原因

◯まずは薬を

・うつ病、双極性障害、統合失調症
うつ病、双極性障害、統合失調症の場合、脳の病気の作用だけで「死にたい」という感情が高まっている可能性が高いです。
ですので、まずはしっかりと薬物治療をすることが大事です。薬だけでうまくいっていないと思う場合は入院治療を検討します。

突然発症する内因性疾患の場合は薬物治療が重要ですし、場合によっては入院が必要です。

◯薬以外の治療は?

・神経症(不安障害)
・発達障害などの二次障害
・虐待、PTSD

クリニックの場合はこちらの患者さんが多いです。
漠然と毎日死にたいと思っている、生きている意味がないのではないかと思っている患者さんは非常に多いです。
背景に色々な問題がある場合、「こうしたら良い」という正解はありません。

もともと不安を感じやすい体質なのか、発達障害の二次障害としてこだわりが不安に向かっていっているのか、劣等感で苦しくなってしまっているのか、虐待や幼少期のトラウマから世界を信じられないのか、など色々なパターンがあります。

どこに焦点を当てているか

生きていることが辛いという話の中で「辛さ」のどこに焦点を当てているかというと、こちらの3点です。

・また同じ不安に襲われる?

患者さんは「また同じ不安に襲われるのでは」という恐怖感と戦っていることが多いです。
身体的な苦しさです。
「またあの苦しさを感じるならいっそのこと殺してくれ」
「またあの痛みを感じるのはもう嫌だ」

このような時には、不安と自分を「分離する」ところからスタートすべきです。

色々な考え方がありますが、僕は「科学者のような目線で自分の心を観察してほしい」と言っています。

ただ、分離しすぎると「ヒステリー」といって自分の気持ちに気づけなくなってしまいますので、程よい距離感で一緒にいながら、何が不安なのか、何が恐怖なのかを解明していく作業が重要かと思います。

1つ1つ語っていくと、不安は小さくなります。
決してゼロにはなりませんが、「あれは不安だったな」「あんなことがあったな」と話をしていくと、小さくなっていきます。

・劣等感
・自分は誰からも愛されない

この2つは似ています。
「劣等感」というのは、「人と同じようなことができない」「自分は他人より劣っている」という感覚です。これは、「思い過ごしだよ」と言って済ますような単純な話ではなく、精神科に来ている患者さんはそれなりの挫折体験をされているので、この劣等感は拭えないこともあります。

「自分は誰からも愛されない」と確信を持っている人もいます。
苦しいのですよね。自分には価値がないと思うし、自分で自分を認められないし、しかも他人からも認められていないというなんとなくの確信があったりします。

虐待や発達障害の問題があるとこのようなことがあります。

発達障害の人に対して早い段階で薬物治療を行うのは、劣等感や自尊心の問題を考えると重要な要素です。
「薬なんかなくてもあなたは頑張れる」というのは1つの励ましでもありますが、一方で自尊心を回復させる機会を失ってしまうこともあるので、どちらが良いのか判断を迷うところです。

別の場所に行く

「劣等感」や「自分は誰からも愛されない」というのは環境で決まってきます。

劣等感は自分より優れている人たちの中にいるから苦しいのであって、自分と同じくらいか下の人たちのところに行けば違います。

大人の場合、年収が下がってでも職場を変えた方が良いというパターンも結構ありますし、子どもの場合も、最初は学校が変わるのが嫌だとしても意外と伸び伸びとやれたりします。
劣等感というのは相対的なものだというのがわかります。

自分は誰からも愛されないというのも、環境が変わればそういうことはなくなります。
別の場所に行くというのは重要です。

医療・福祉

別の場所に行くのが難しい場合は、医療や福祉があります。
医療や福祉の世界で骨休めしてもらうのも良いと思います。

僕らは仕事として患者さんと付き合っていくのでバーチャルな人間関係ではありますが、バーチャルと言ってもそれなりの人間同士の付き合いになります。そこで練習して他のところに行ってもらうと良いのではないかと思います。

河原の石を1つ1つ磨くように

このような話は難しいことですので、ケースごとに最善を考えていくことになります。
「毎日死にたいんです」という話になった時に、「生きていた方がいいよ」とか「死ぬなんて考えちゃだめだ」と全否定しても治療は進まないのではないかと思います。

どうして死にたいと思ったのか
不安とは何なのか
劣等感とは
他人とは
父親とはどういう存在か
母親とはどういう存在か

一個一個、河原の石を磨くように言語化していく作業が重要なのかなと思います。


2021.6.22

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