今日は「どれだけ不快を我慢すれば良いのですか? 相場を教えてください」というテーマでお話しします。
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早稲田メンタルクリニックについて
・場所
当院「早稲田メンタルクリニック」は東京都新宿区にあります。
高田馬場駅から1駅で、神楽坂や飯田橋との間に位置し、目の前には早稲田大学があります。
高田馬場にはメンタルクリニックがたくさんあり、神楽坂や飯田橋にもたくさんあります。その間にぽこんとウチのクリニックがあるわけです。
駅からは歩いてすぐなのですが、路線が地下鉄1本しかないのでアクセスが良いような悪いような、というところです。
・患者さんの年齢層
患者さんの年齢層は25~34歳が約30%で一番多く、続いて35~44歳。
45~54歳と15~24歳は同じくらいです。65歳以上も少しいらっしゃいます。
YouTubeは45~54歳くらいがやや多いですが、25~34歳、35~44歳も同じくらいです。
・男女比
ウチのクリニックは他のクリニックよりも男性が多いです。男性4.5:女性5.5くらいです。
YouTubeは男性4:女性6くらいです。
YouTubeはもともと2:8とか3:7など圧倒的に女性が多かったのですが、僕は完全に男性脳(理屈、理屈、理屈!)なので男性が増えているのだと思います。
・患者さんの特徴
YouTubeを見て来る患者さんが8割強です。HPにもYouTubeの内容を載せているので、最初にHPを見てその流れでYouTubeを見たという方もいます。土地柄、IT関係の人が多いです。
疾患としては、うつ(30%)、発達障害(30%)、不安障害(30%)、その他(10%)といった割合です。
発達障害の割合が多いのが当院の特徴ですが、IT関係の人が多いからかなとも思います。
人付き合いが苦手でパソコンは得意という人が、人間関係や業務量の多さに潰れてしまって受診するパターンが多いです。ITというといまだに男性のイメージがありますが、女性も増えています。
よくある質問ベスト5
以下は僕が考えたベスト5です。
Q.働き方について
どれだけ我慢して働けば良いのでしょうか、という漠然とした話を毎日聞いています。
仕事なのである程度我慢しなければならない、でも我慢しすぎると潰れてしまう。
お金とやりがいと義務のバランスに正解はありませんが、そのバランスの目盛の問題を日々話しているという感じです。
精神科に来る患者さんは周りの人に比べて頑張りすぎる傾向があるので、そんなに頑張らなくても良いよと言うこともあります。また、生まれ持ったバイタリティが少ない人もいます。そのような人にもそんなに頑張らなくて良いよと言います。
転職すべきかどうかなど難しい問題もありますが、僕も正解はわかりません。
普段どのように仕事をしているかも知りませんし、ましてや業界がどうなっていくかもわかりません。
とはいえ、精神科に来る患者さんは極端にダメージを負っているので、基本的には「もう少し休んだほうが良さそうだね」と言うのが通常です。
不快感のバランスを調整するには、社会的な状況、自分のこと、会社のこと、組織論、社会情勢などいろいろなことを知らなければなりません。若い人が多いので、社会がどのようなものかわからないわけです。そこで、僕との人間関係を通じて社会のことを雑談の中でわかってもらっているという感じです。
また、どれだけ不快を我慢すれば良いのかを理解するために、以下の項目も学んでいく必要があります。
Q.世代ギャップの問題
分断され、共感されないということも結構あります。
古い会社に入ると、上の人はExcelさえ使えないのに偉そうにしていて自分たちがPCで仕事しているとか、ベタですがすごくよくあります。「上司は働いていないのに、俺たちめちゃくちゃ働かされてない?」となります。
上司はPCを使えないけれど、PCを使えばすぐ終わると思っているので無駄に仕事を振ってくるなどの問題もありますし、「この会社は潰れてしまうのでは?」という相談もよくあります。
Q.問題人物との付き合い方
問題人物とどう付き合うかという組織論です。
実際、問題のある人物は人口の数パーセントいます。攻撃的、他者を利用する、俗っぽい言い方をすると「サイコパス」のような人たちはいます。転職や部署異動など、サラリーマン人生で絶対にこのような人と出会います。
出会った上でこの人たちとうまく付き合って、トラブルなく次のステージに移動できないといけません。
そのような処世術を学ばなければいけないのですが、脇が甘いとこのような人たちの尻尾を踏んでしまいます。
尻尾を踏んでしまったからウチのクリニックに来るわけで、踏んでしまった後にどのようにフォローすれば良いのか、どうやって付き合えば良いのかを話したり話し合ったりします。これはケースバイケースです。
Q.発達障害の悩み
マルチタスクができない、不注意が多いといったことに対して、薬物治療をしたり生活を見直すアドバイスをしたりします。
もちろん就労移行支援など福祉の現場の方がより具体的なアドバイスができますが、僕も僕なりにアドバイスをしています。
Q.恋愛、他人との共存
あの人と付き合った方が良いのか、結婚した方が良いのか、メリットがあるのかないのか、別れた方が良いのか、ずっと独身でいて良いのか、出会いを探しに行った方が良いのか、といった話もします。
これも個人によって答えは違いますが、僕らは友人や家族とは違うフラットな立場なので、アドバイスを求める対象としては悪くはないかと思います。
目的志向な生き方が多い
個人的に思うのは、皆さん「目的志向な生き方」が多いです。
それが行き過ぎています。
「何のために生きているのか」
「何の目標があるのか」
「何をするために仕事をしているのか」
自分にはやりたいことがないんです、と患者さんはよく言います。
メディアは「やりたいことを決めよう」とか「目標を決めて生きよう」と言いますが、そんなのないですよね。
「益田先生は何がやりがいですか」とか「何で精神科医になったんですか」「何でYouTubeをやっているんですか」とよく聞かれます。その場では思いついたことを言ったりしますが、ぶっちゃけわかっていません。
わからないのですが、その場その場で「こっちの方が楽しそうだな」「こっちの方がコスパが良さそうだな」と何となくやっています。本当になりゆきです。
わかってやっていないので、攻略サイトがないポケモンみたいなものです。
「こいつ進化しそうだな」と思ってやるのですが意外と強くならない。学校に行って友達に聞くと「益田センス悪いな、こいつ進化しないよ」と教わったりする感じです。
とにかく、人生は何が良いのかわかりませんし、何が成功に繋がるかわかりません。
とりあえずその場その場をただ漠然と生きている人が多いですし、僕もそうです。
何か目的があって、それに向かってやった結果成功しているような人もいますが、それも半分偶然だったりします。もっと頭の良い人で戦略を練っている人もいますが、ほぼほぼ「運」の要素かなと僕は思います。
弱っている時こそ戦略が必要じゃないのかというのは1つの意見としては正しいのですが、それほど簡単なことではありません。あまり考えすぎず、不快を我慢できる程度に抑えて、周囲を見ながら何となく生きていくのが良いのではと思います。
何となく生きていれば、世界は楽しいし、幸せに暮らしていけるのでそれで良いかなと思います。
自分一人で抱えずに、何となく生きていくことが重要なのではと思います。
こんな話をよくクリニックでしています。
仕事の悩み
2021.7.9