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患者さんから医師への恨み、怒りを解説します

01:37 暴力性・攻撃性はなぜあるのか
04:42 情報の共有
05:32 治療構造・ルールの問題
10:03 偏見や誤解について
11:44 自分の心にある見たくないもの

今日は「患者さんの医師への恨み、怒り」についてお話ししてみようと思います。

世間の人は、ごく一部ではあっても、もしかすると精神科の患者さんは「怖い」「何をしでかすかわからない」と誤解しているかもしれません。

実際は健康な人にも攻撃的な人がいるように、精神科の患者さんの中にも攻撃的な人はいます。
追い詰められているので、少し攻撃的なものが出る人もいます。

「でも大丈夫ですよ」と言うだけでは、この誤解や偏見は消えません。
実際その暴力性はどのようなものなのか、細かいところまで多くの人は見ていないと思いますが、僕らはよくそれを知っているのでその話をしようと思います。

患者さん自身も、僕らが事故が起きないようにどのように安全対策をしているか、概略を知っていただけたらと思います。

暴力性・攻撃性はなぜあるのか

1.病気・障害のため

病気や障害のために攻撃的になってしまう、そのような妄想を抱いてしまうことはあります。

・被害妄想
例えば統合失調症の被害妄想があります。
「毒を盛られたのではないか」「悪口を言われている」などと思いますが、多くの患者さんはそれに対して怖いと思うだけで、仕返しをしてやろうということは少ないです。実際、思ってもやる人はほとんどいません。

それが精神科のリアルですが、やはり窮鼠猫を噛むみたいな時もあります。
入院病棟でも、そのような事故が起きないように安全対策をとっています。

・こだわり、誤解(発達障害)
発達障害でなくてもありますが、こだわりが強かったり誤解があってその人たちを憎んでしまうということもあります。

・攻撃性(人格障害)
もともと攻撃的なパーソナリティー障害もあります。
そのために医師に対する怒りや治療者に対する恨みを持つこともあります。
とはいえ実際はほとんどありません。
攻撃的なパーソナリティーの人はいますが、そのような人が通院を続けることはあまりありません。

2.病気+医療者側の対応

2つ目は、病気の問題と医療者側の対応の問題で、誤解が生じて恨みを持つというパターンです。

3.医療側の問題

医療側の問題とはこのようなことです。
・倫理的に正しくない
・扱いが雑、不親切
・医師との相性や価値観の違い etc.

僕のクリニックの口コミを見ると「益田は冷たい」「ロジカルすぎる」など言われたりします。
確かに僕はそういうところはあります。
僕の価値観としては、良いか悪いかは別としてロジカルであることはすごく大事だと思っていますし、治療をしていくためには自分のことを理解していくことがすごく重要だと思っています。

それは今の医学的な考え方では割とスタンダードです。
でも、それは違うという価値観の人もいるのではないかと思います。

そのようなことで病気と医療側の問題がバッティングして誤解が生じたり、怒りが生まれることはあると思います。

情報の共有

重要なことは何かと言うと、やはり事故が起きないためには、
「この人は今は調子が悪い」
「僕らはこういうことをやったときに、患者さんに誤解された」
ということを、きちんとスタッフ間で共有するということだと思います。

それは患者さんが悪いとか僕らが悪いという話ではなく、単純にうまくいっていない可能性がある、それをきちんとスタッフと共有して病院というチーム全体で把握しておく必要があります。

怒りを持っている患者さんはごくごく少数です。
ごく少数だからこそきちんと情報を共有して皆が理解しておく、皆が判断してすぐ動けるようにしておくことが重要です。

治療構造・ルールの問題

怒りや誤解というのは起こるものです。
精神科臨床においてはそういう部分があります。

ですが、重要なことは「治療構造やルールをしっかり作っておく」ということです。

病気の調子が悪い時は、診きれないパターンもあります。
・重症
・急性期(症状が急激に悪くなっている時)
・ルールを守るのが苦手

そもそも患者さんがルールを守るのが苦手な場合は、そこの治療構造で診れるのか、クリニックで診ていてよいのか、入院ができる施設でなければいけないのでは、より手厚いケアでなければいけないのではないかなど見直さないといけません。
症状が重ければ、より手厚いケアのところに移動させなければなりません。

治療者側というのは「抱えなければいけない」と思うものです。僕もそう思います。
悪くなっている人を自分で診ないといけない、今は誤解があって仲が悪くなってしまったかもしれないけれど、通い続けていけば誤解も解けて患者さんも良くなるし、仲良くやっていけるのではないかなどと思うのですが、重要なことは「今の患者さんに合った治療をする」ということです。

これは難しいことです。
より手厚いケアといっても、それは外来でやっていくのか、入院をすべきなのではないか、入院でないならば訪問看護をきちんと入れる、薬を飲んでいるかどうかチェックをするなどとても重要です。
もし症状が悪いのだったら、通報する、警察を呼んで措置入院をしてもらうといったことを考えなければいけないと思います。

精神科のルールには細かいものがいろいろあります。
このYouTubeでよく僕が「初診30分、再診5分+α」と言っていますが、これも1つのルールです。
そのようにやっているところが多いので、僕もそう言っています。
もちろん病院によっては努力をしてもう少し長く時間を取っているところもありますが、やはり基本はそうなっています。

こういったルールをきちんと伝える、患者さんと共有しておくことが重要です。

例えば予約時間通りに来ても、予約時間通りに診れないこともあります。
その場合は、このようにやっていると患者さんに言って、日頃から「自分たちはこのようなルールでやっている」と言うことが重要だと思います。
患者さんにもルールを守ってもらう必要があります。

薬というのは一度に大量に飲んではいけませんし、転売してはいけませんし、決められた通りに飲まなければなりません。

それを守れないのであれば、治療を続けていけるのか、僕らの関係を維持できるのかということも話し合わなければいけません。
ドクターショッピングをし続けている人たちと治療関係を結べるかというと、なかなか難しいわけです。

それを言ってきちんと守ってもらうのが、患者さんにとっても大事ですし、スタッフや病院側としても事故が起きないようにするためには必要です。

ここは結構きちんとやらなければいけないのではと思います。

暗黙的なルールもあって、そんなこと聞いていないということもあると思います。
患者さんによっては「そんなこと最初から言ってよ」ということもあるかもしれません。
精神科というのは値札のないお寿司屋さんのようなもので、入ってきてもらった時点で信頼関係がないと厳しいです。
でも全部を書き切れません。そこは理解してもらう必要があるなと思います。

暗黙のルールがわからなくて怒ってしまう、理解できない状態だと、もう少し手厚いケアのところに行かないといけないのかなと考えたりします。

偏見や誤解について

最後に偏見や誤解について話そうと思います。

人間の心には、健康な部分と病的な部分があります。
それは精神科に通っていない人もそうですし、通っている患者さんもそうです。心のすべての部分が病的なわけではありません。

健康的な部分もある、だけど病的な部分もある。
そのバランスの問題です。

人によっては病的な部分が80%くらい、20%くらいなど、そのようなグラデーションの問題です。

病的な部分は誰しもあります。
100%その人が病的なもので、コミュニケーションを取れないということはまったくありません。
多くの人は健康的な心を残していて、病的な心と患者さんが戦っているところに、僕らは健康的な部分にアプローチしてコミュニケーションを取ったりしています。

・正しい情報・知識
偏見や誤解を助長しないために、「正しい情報・知識」を伝えていくことが重要なのではないかと思います。
あおったりするのは良くありません。

・単純化せず、背景を知る
いつも思いますが単純化してはいけません。
「この人は黒なのか、白なのか」ではないのです。病気なのか健康なのかではなく、やはり様々な要素が組み合わさっているので、病気のことやこの人がどのような人なのかを知って判断しなければいけないのではないかと思います。

自分の心にある見たくないもの

やはり精神科が怖いというのは、最初に挙げたような怖さだけではないと思います。
病的な部分が誰しもあるということを突きつけられるのです。

「精神科のことは見たくない」「あいつが悪いのだ」と言うのは、それを言っている人の心の中にある病的な部分や弱さを見たくないのです。

見たくないから自分の問題ではないということを投影したい、分裂させてくっつけたいから精神科のことを嫌っているのであって、偏見があるということは自分の病的な部分を認めたくないのです。

この「怖さ」が精神医学の「面白さ」でもあります。
すごくスリリングです。

自分の心には自分が理解できないところがあり、そしてそれはすごく攻撃的で、見たくもないくらい残酷なことを考えているというところが面白いのです。
ここに目を向けることが重要ですし、自分たちの社会が持っている弱さをきちんと考えるということが、精神医学の本質だと僕は思います。

結局、誰かの犠牲によって自分たちの健康、平和、生活が成り立っているという恐ろしい事実を突きつけられるのです。

僕らは運が良くてたまたま健康でいるということを、本当に精神医学を知るとわかってしまいます。
それが今の自分たちの日常を壊されるような感じがしてすごく怖いですし、スリリングです。でも知らなければいけない大事なことです。

人間には弱さがあり、病気を突然発症し、生まれ持った差があり、虐待やトラウマの問題が常にあります。

それは甘えではなくそのような事実があり、たった1回の人生がそれに翻弄されてしまう人たちが自分たちの近くにいる、という恐ろしい事実を考えていかなければいけません。
だから助け合わなければいけないということですが、重い荷物を背負いたくない、というのがあるのだと思います。

とにかく偏見の本質は何かというと、病気を知らないということです。
病気への恐れもありますが、同時に僕らの中にもある病的な部分を突きつけられる怖さもあるのではないかと思います。

そのためにはきちんとした理解や知識が大事ですし、治療構造やルールを明確化して共有していくことが重要だと思います。

ルールを明確化しているのは時代の変化だと思います。
昔は医者の権威が強かったと思います。「お医者様」という世界でした。それがだんだん「お医者様」から「先生」になり、僕なんかもう「友達の延長」みたいな感じで親近感が湧くようです。
医者っぽくないと言われますが、これがある意味今っぽいスタンダードだと僕は思っています。

対等だからこそきちんとしたルールや治療構造が大事だと思いますし、ルールを一緒に守っていきましょうということになると思います。
権威がある時であれば、ルールなんていらないのです。
ルールがないところで言われた通りにすれば良かったのですが、今は対等です。対等なところでルールを守って一緒に治療をしていこうという形に変わっていますし、そちらの方が自由がきくし良いのです。

患者さんにとっても自分から治っていこうとする方が、押し付けられるよりもはるかに治療効果が高いと思いますので、良い時代になったのではないかと思います。

良い時代になったのだったら、そのぶん権利が増えたのでそのぶん責任も増えるということです。
それは何かというと、ルールを守るということです。


2021.12.27

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