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心の成長と失敗について解説。中2病、尖り期、モラトリアム

00:59 成長に必要なもの
05:44 中2病、尖り~モラトリアム
10:36 自己主張と抑圧のバランスを取る

本日は「心の成長と失敗」というテーマでお話しします。

心の成長とはどういうものなのか、どういう風に人の心は成長していくのか、成長に失敗してしまった場合はどうなっていくのか、ということをあまり考えたことがないかと思います。
教わったこともないのではないでしょうか。

精神科医や心理士さんたちはそういうことを教わってきたりしています。
教わってきたことを臨床に応用し、患者さんの治療に当たっています。

今回は、どのように人の心が成長していくのか、それが失敗した場合どうなってしまうのか、ということをお話ししようと思います。

成長に必要なもの

成長に必要なものは何かというと、子供の時代に必要なものは「空想」と「ケンカ」です。
心が成長するために必要なものは空想とケンカです。

空想とは何かというと、ごっこ遊びやおままごと、人形で遊んだりヒーローごっこをするとか、自分で絵本を勝手に作って読んだりなど、ひとり遊びのようなもののことです。
集団で遊んでも良いのですが、ごっこ遊びというのは非常に大事です。

ごっこ遊びをすることで自分の中にある「創造力」を育みます。
社会に対して積極的に関与していく力を育みます。
世界を変えていく力です。

世界を変えるというのは、権力者になって変えるということではなくて、歌を歌うとか歌を作るから世界を変える、マンガを描くから世界を変えていくということではありません。

日々僕らは世界に対して影響を与えています。
どんな仕事や遊びであっても。

それが受動的ではない、受け身ではない、ただYouTubeを見ているだけではなく、自分で考えながらYouTubeを見るとか、考えながらYouTubeを見てコメントを書くというのはすごく創造的なことであるし、逆に受け身のようにダラっと見る、僕もよくやりますが、だらっと見るのは創造的な行為だとは言えないと思います。

創造的な行為をすることで人間の気持ちはハッピーになっていきますし、豊かになっていきます。

また不安にも強くなりますし、不安や困難、苦しみにも強くなっていきます。
そもそも不安を解決していくというのは創造的な営みなので、すごく重要な要素です。
不安を解決していく、困難を解決していくことは創造的な行為でもあるし、慰めでもあっ
たりします。

空想によって創造力と慰め、自分の感情を癒し保つ力を育んだりします。

二つ目に重要なのはケンカです。

親子のケンカ、兄弟ケンカ、友だちとのケンカ、何でもそうなんですが、言うことを聞かない、怒る、泣く、叩く、というのはすごく重要です。
ケンカというのは何かというと、自己主張と抑圧を学ぶ場所です。

図を見て欲しいのですが、人間の中には「これがしたい」「あれがしたい」「寝たい」「食べたい」「お金が欲しい」のような内から出てくる欲望というものがあります。
「欲望」と「抑圧」、「我慢しなさい」、社会というのは厳しいわけです、これをやってはだめ、あれをやってはいけないとか。

肉体の限界もあります、若くはいられない、お前はそこまで足が速くない、綺麗じゃないとか。

この抑圧と自分の欲望の折り合いをなすところによって自己は決定されていきます。
折り合い、つまり「間」が自己なんです、自分というものです。
ケンカをすることで、自己主張と我慢しなければいけないバランスを学んでいきます。

ケンカをすることで、自分というものを段々と大きくしていかなければいけません。
大きくしつつ膨張し過ぎないということが重要だったりします。

これを学ぶのがケンカであったり、怒られるとか反省する経験です。
だから空想は必要だし、ケンカも必要です。
そういうことをして人は学んでいくのです。

ただ学んでいくのですが、じゃあケンカばかりすれば良いのか、空想が大事だからと言って一日中勉強もせずにぼーっとしてたら良いということではなく、やはり一線を越えてはいけません。

ケンカをするにしても武器を使ってはいけないとか、ケンカをするにしても謝らなければいけない、多少は。
謝らないケンカもあっても良いが、武器を使ってはいけないということはあるかと思います。
集団でいじめてはいけないということもあるとは思います。
一線は越えないように遊ぶことが必要です。

そして一線を越えないように大人がケアしてあげなければいけません、子どもの成長のためには。

子どもの成長のために空想をしろと言って空想のための場所を与えるとか、ケンカしろと言ってケンカ相手を探すというのが親や大人の仕事ではなく、道を外さないようにテリトリーをちゃんと用意してあげるというのが大人の仕事です。

中2病、尖り~モラトリアム

成長につれて空想やケンカがどのような形に変化していくのかというと、人をからかう、意地悪をする、○○遊び(飲む、打つ、買う)、ある種の中二病とか「尖っている」と言ったりします、誰かを傷つけるようなことです。

子どもの時よりもよりスリリングな悪さをするようになります。
それは、ある部分においては健康的です。
被害にあう人ももちろんいますが、でもそういうことをするというのが若者たる所以です。

そこから学んで、罪悪感を感じるわけです。
酷いことをしたなと思うわけです。

自分は本当に酷いことをしてしまったなと、親に対して反省したり、友だちや昔の恋人に対してすごく罪悪感を持ち続けます。
それが大人になるということでもあります。

モラトリアムと書きましたが、子どもから大人になっていく、「尖り期」を経て大人になっていくには時間がかかります。
青年期における、社会に出るまでの間を「モラトリアム」と言ったりします。

大学生はモラトリアムだとか言いますよね。
その期間をモラトリアムと言います。

正確にいうと「職業や結婚など社会人としての責任を猶予される青年期の期間」をモラトリアムと言います。

子どもではなくて青年期、子どもではないれど大人でもないという時間をモラトリアムと言ったりします。

だから高校を出た引きこもりの子に「お前は大学へ行ってないのだからすぐ働け」と親が言ったりしますが、そうじゃないのです。
彼らも必要なのです、その時間が。

一般の子たちが大学を卒業したり大学院を卒業したりするまでの間、中卒であってもすぐ働けではなく、24、5歳まで、やはり必要な期間だったりします、このモラトリアムというのは。

何もしないからウチの子はダメなんじゃないか、何もしないのだったらアルバイトに行けという親もいるが、そうではなくて、ある種のこのモラトリアムの期間なんだということを理解してあげないといけないと思いますし、臨床でも、一見本人も家族も焦っているのだけれども「今はモラトリアムなんだよね」と思います。

でも、今はモラトリアムだから焦らなくても良い、病気ではない、と言うわけにもいかないので、一人一人伴走するような治療をしていきますが、そういう発想です。
折を見て説明したりします。

このモラトリアムという概念は伸びています。
僕が20代の時よりも今の20代の方が幼く感じます。

もちろん一方ではすごく真面目で優秀で能力が高かったりするのですが、幼く感じます。
それは寿命が伸びている、人生の中で僕らの寿命は伸びていて今は100年時代と言われているので、モラトリアムも伸びています。

大学や院を卒業して、20代のうちはまだまだ幼いし悩むし、責任というのも「自分はこれでやっていく」「これしかできない人間なんだ」というある種の諦めを持つことが本当に少ないです、転職したりもしますし。

これはモラトリアムの影響もあるのだろうなとよく思います。
子どもの時から、中二病、尖り期、ちょっと偉そうな時期をお笑い芸人の人が「尖り期」だったとか、イキってたとか言ったりしますが、尖り期やモラトリアムを経て大人になっていく、というのが心の成長の普通の流れです。

罪悪感を持って大人になっていく、罪悪感を持つことで責任感が生まれ、社会に対して罪悪感を返すように社会貢献をしていくというのが大人になっていくということです。

自己主張と抑圧のバランスを取る

これが上手くいかない時にはどうなるかというと、自己が外圧に負けてしまいます。
負けて萎縮している場合があります。

そうすると自分がどんどん小さくなっていくし、萎縮して引きこもりのようになってしまうし、自己肯定感が低くて自信を持てないようになってしまう。
社会に対して積極的に関与できない、人に話しかけられない、恋人を作れないということになります。

逆に社会の圧をうまく避けて、嫌なことを避けてしまう、親が甘やかしてスポイルしてしまうと、どんどん自我が拡がって拡散・分裂したりといったことが起きたりします。

「拡散」というのは何かというと、自信ばっかりあって、できそうもないことを挑戦して失敗した後に、すごく傷ついて自分には価値がないんだと急に折れてしまう。

「分裂」というのは、良い時と悪い時が分裂してしまう、白黒人間になってしまう。
白か黒としか考えられない、悪い意味での切り替えが早く反省をしない、うつで仕事ができなくて休んでいる時に友達との遊びは楽しくできるということです。

落ち込んでいても妙に切り替わって、落ち込んでいる自分を保持できないイメージです。
こうなってはいけないのです。

上からの圧と内から込み上がってくるものを上手く調整しなければいけないし、小さくなったり大きくなったりを繰り返してもだめで、一定のラインで保つことがすごく重要で、そういうことをやっていかなければいけないのです。
心の成長とはそういうことです。

自己主張と抑圧をうまく経験していく、バランスをとっていくのがすごく重要です。

これを、今から、たぶん理解できないたとえで言います。
僕が言いたいから言います。
分からない人は聞き流してください。

「HUNTER×HUNTER」でいうキルアの役割なんです。分かりますか?
HUNTER×HUNTERという漫画があるのです。
少年マンガで連載していた冨樫先生という人が今でも連載している漫画です。冨樫先生は昔「幽☆遊☆白書」という漫画をやっていました。

グリードアイランドという主人公たちがゲームの世界に入るというストーリーがあり、そこでラスボスと戦う時にラスボスとドッジボール対決みたいなことをするのですが、ラスボスの投げるドッジボールの球が、めちゃくちゃ強くスピードがあって威力があるので普通に受けたら身体を突き抜けてしまうのです。
ドッジボールの球なのに、意味が分からないです。

突き抜けるくらい強い球なので、三人で協力してボールを取ろうということになります。
ゴンという主人公が、ボールが来たときに突き抜けない固い役割をし、後ろにいるヒソカというのが、固いからバンと弾かれないようにボールが来たときに包みます。

そしてキルアは、固いやつと包むやつの間に立って、互いのバランスが崩れないように調整します。

この中で一番難しい役割は何かというと、ボールを正面から受けるゴンでもなくて、ボールが来た時に弾かれたやつをパッと掴むヒソカでもなく、二人の間のバランスをとるキルアです。

何の話だったのでしょうか。
言い忘れましたが、ドッジボールの時に3人がくっつくのです。
(「ハンターハンター ドッジボール」で検索)
…やめます(笑)

とにかく、上の圧と下からの欲のバランスを取るということがすごく重要です。
そのバランスを取るためにどうしたら良いのかというと、トライ&エラーで失敗していくしかないのです。

ケンカをしたりして「ここまで自己主張していいんだな」とか「ここまでやったら怒られるからやめとこう」とバランスを取ること、ギリギリまで行って失敗することを繰り返してラインを見極める力を身に付けなければいけないのです。

それは大人になってからでも同じで、人をからかったり意地悪なことをして誰かを傷つけることが罪悪感となって成長に繋がっていきますが、バランスが必要だったりします。

やられた方はろくなもんじゃないと思うと思いますが、それは人間の成長の中にある、ある種の必然だったりします。

やっている本人ではなくて、酷いことを許さないようなシステムを作る、一線を超えないラインを作る必要があります。
会社ならパワハラを許してはいけません。

20代の若い社員が後輩いじめをしないように、上司は見ていなければいけません。
社会全体がそういうことをしなければいけないし、会社に対しても行政がブラック企業を許さないようにすることが重要です。それが大人の役割なのです。
なぜなら心の成長にはそういうトラブルがつきものだからです。

逆にトラブルを起こさないように萎縮させてしまうと、全然成長ができないので良くないです。

今回は「心の成長と失敗」というテーマでお話ししました。


2022.1.7

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