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うつ病とうつ状態(適応障害)の違い、治療の違いについて 

00:38 うつ状態・うつ病・適応障害
01:34 治療
05:24 医師による違い、診断基準
08:16 うつ状態のその他の原因

本日は「うつ病とうつ状態の違いと治療」について解説します。

「うつ病」と言ったり「うつ状態」と言ったり「適応障害」と言ったり、混乱すると思います。
これはどういうことなのか、医師によって診断基準が違うのはどういうことか、と皆さん思うと思います。

そのことについてお話ししようと思います。

うつ状態・うつ病・適応障害

簡単に言うと、落ち込んでいることを「うつ状態」と言います。

食べられない、眠れない、気分が落ち込む、意欲がわかない、頭がぼんやりしているといった状態です。
このうつ状態のうち、脳の病気が原因でうつになってしまう、そしてそれを何度も繰り返してしまうのが「うつ病」です。

ストレスでうつになる、疲れすぎてうつになる、何か嫌なことがある、誰かとトラブルになって落ち込むということはよくありますし、人間の正常な反応です。

そうではなく、それが「脳の病気」によって起きてしまうことを「うつ病」と言います。
「ストレス」が原因でうつになることを「適応障害」と言ったりします。

これがざっくりとした説明です。

治療

<うつ病>

うつ病は脳の病気なので、
・抗うつ薬
・電気けいれん療法(mECT)
・rTMS
などの治療を行います。

電気けいれん療法は、電圧をかけることで疑似的にてんかん発作を起こしうつを良くするという治療です。
TMSはECTほど強くはありませんが、磁気によって血流を良くしてうつを良くするという治療です。

イメージとしては、TMSは抗うつ薬を使えない人になんとなく使うくらいのエビデンスです。積極的に勧めることはなく、基本的に大事なのは抗うつ薬です。
抗うつ薬がなかなか効かなかった人は、電気けいれん療法を考えるのが一般的な治療です。

とにかく、脳の病気なのでこのようなものが効くということです。

<適応障害>

適応障害などストレスによるものであれば、まずは休養を取り、環境調整をします。
パワハラが原因だったら異動する、残業時間が多すぎならばその調整を、業務量が多すぎればその調整をします。

それでもあまり治りが良くないという場合は、次に「認知行動療法(CBT)」を行います。
認知行動療法とは、10回くらいで終わる心理教育的なわかりやすいカウンセリングシステムです。
10回で足りなかった場合は、もっと内面の奥深くに入っていく必要があるので、「力動的心理療法(サイコセラピー)」を行います。
これがわかりやすい流れかと思います。

どちらが良いかというよりは、認知行動療法の場合は10回~15回くらいでやるのでプログラムを組みやすいのが特徴です。
回数が決まっていてその中でこれをやろうと決めているので、他の患者さんで試したことで上手くいったものを入れて、上手くいかなかったものを抜いてなど厳選していくことができます。
ですから手法として確立しやすいですし、まずやるならばここでセットでやるのが良いという感じです。

力動的心理療法は、個人的にもっとカスタマイズしたものです。
認知行動療法がツアー旅行で、力動的心理療法が個人旅行のような感じです。
僕は英語が喋れないので最初はツアーが良いなと思ってしまいます。ツアーで物足りなくなってきたら個人旅行が良いのではないでしょうか。

また、内面の奥深くに入っていくことが、必ずしも全ての人に良いというわけではありません。
内面に深く入っていくということは、それだけ心にも負担がきますし、自分で自分のことを語ったり考えていくなど、内省する力も必要です。

そうではなく、体を動かすなど皆でやった方が良いのでは?という治療もあります。
そうなると「作業療法」をデイケアやリワークで行ったりします。

作業療法ではなくもう少し体を使うという意味では、瞑想や呼吸法も大事なのではとなると、「マインドフルネス」もあります。

単純に言うとこのような話ですが、実際は認知行動療法が増えたり、力動的心理療法にも認知行動療法の要素が入ったりと、人に合わせて調整しています。
ですからこんなに単純な話ではありませんが、イメージとしてはこのようなものだと思ってください。

医師による違い、診断基準

僕が言っていることと主治医が言っていることが違う、と思う人もいると思います。
あとは、そもそも脳の病気だとどうしてわかるのか、採血もしたことがないし、なぜ話しただけで脳が原因なのかストレスが原因なのかが見分けられるのか、と思うと思います。

その通りなのです、仰ることはごもっともです。
ですから、ホワイトボードの円の内側の概念を「古典的なうつ病」と言ったりします。

そのようなことは見分けられない、そもそもストレスが原因でうつ病にはならないのか? 脳だけが原因なのか?となると、「DSM-5」という新しい診断基準に変わります。

古典的なうつの理解というのは、脳の病気だから人間には理解できないような悩みを持つ。うつになった時に、普通に話していて医師も心理士も家族も「なぜそのようなことで落ち込むのか?」とわからないことで落ち込む。
そのような「了解不能」であるものを「うつ病」としたのが古典的なうつ病の解釈です。

でも実際の臨床で「あなたが言っていることはわけが分からないからうつ病ですね」ということはありません。
だいたいその人が悩んでいることは、うつ病であっても適応障害であってもわかる悩みだったりします。

ですから、うつの症状や重さだけで診断基準を作りましょう、うつ病と暫定的に置きましょうというのが現代的な診断基準のDSM-5です。ちょうどそれまでの「うつ病」と「うつ状態」の中間くらいに「うつ病」があるイメージです。

そのため、本来あってはいけないのですが、医師によって古典的な診断基準を意識する人はうつ病の概念が狭いですし、DSMの要素を意識する人はうつ病の概念が広かったりします。
広い方が基本的には正しいです。

ただどうして広くなったのかと言うともう一つ話があり、臨床家でなくてもうつ病という概念を共有しましょうというところに来ています。

うつ状態のその他の原因

うつ状態はストレスだけでなるわけではありません。
他の病気からうつ状態になることもあります。

躁うつ病でもうつになりますし、統合失調症の陰性症状でもうつ状態のように見えることもあります。
認知症から来るうつ状態もあります。
このようにいろいろなことがうつの原因になります。

実際、うつ状態になるのは人口の10%くらいという統計があります。
脳が原因のうつ病は1~5%くらいと考えられていますし、そのようなデータもあります。
それはなぜかというと、統合失調症や躁うつ病の発症は1~2%で、そう考えるとうつ病の発症もその前後ではと考えられます。
人口のうち10%がうつ病になるというのは、さすがに言い過ぎかと思います。

以上で何となくイメージはつきましたでしょうか?
うつ病はまだ全然わかっていないので、暫定的に病気をこのように考えているというものです。
臨床をしながら「この人は薬が必要ないうつだな」「必要な人なんだろうな」というのはなんとなくわかってきます。
そのなんとなくわかってきている感じが診断に反映されたりしています。

全部のうつに薬が必要ということはありませんし、かといって薬がまったくいらないわけではない、ということが今回の動画で理解していただけたのではないかと思います。


2022.1.8

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