本日はパワハラの話です。
「ナルシスト上司に傷つけられる」というテーマでお話しします。
背景には「自己愛性パーソナリティ障害」や「反社会性パーソナリティ障害」があるのですが、「ナルシスト上司に傷つけられる」という方がわかりやすいかなと思ったので、その話をしようと思います。
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ナルシズムはバランス
ナルシズム(ナルシシズム)というのはバランスです。
自己肯定感や自分のことを愛する気持ちというのはバランスが重要です。
これが全くないと自己肯定感が低く「自分はダメな奴なんじゃないか」と思いますし、「自分なんか価値がないんだからこんな仕事でいいんだ」と奴隷根性でどんどん自分の安売りをしてしまいます。それは良くありません。
健康だとちょうど良いよりちょっと高めが良いです。
普通のナルシズムよりちょっと上だと、外向的で自信があり、健康的で他人を尊重しやすかったりします。
これが高すぎると「ナルシズム」という形で他人よりも自分を重視しすぎます。
自分が一番偉いと思ってしまいます。
そういう人には「特権意識」があります。
自分は税金をたくさん払っているからいいじゃないか、俺は頭が良いから何をしてもいいんだ、才能があるんだ、と言います。
そういう人が権力を濫用したりするのです。
自分は高い地位にあるから会社のお金を自由に使って良い、あるいは国のお金を使って良い、そういう濫用をします。
また「搾取」もします。
人から奪っても良いと考えます。
女性がその犠牲になるパターンが結構あります。
不倫など相手の若い時間を奪ったり、暴力、パワハラという形で搾取します。
お金を取る、いじめるということをします。
「共感の障害」ということもあります。
自分は優れているから共感する必要がない、と考えます。
相手の気持ちをわかろうとしません。
わからなくても良いと思っています。
相手が嫌な思いをしていても、相手はしょせん自分と対等ではないので気にしません。
ですが、リーダーになる人は、あまり人の痛みがわかりすぎるのも良くなかったりもします。このことについては後でお話しします。
共感の障害がある人は相手のことをチェスの駒だと思っています。
だから自分の部下を対等な人間として見ることをせず、雑用係、駒だと思っています。
ただ共感障害といっても、発達障害のように相手の気持ちが分からないということではありません。
相手が今怒っているかな、不安に感じているかな、相手は自分のことをナメてるな、尊敬しているなという細かいところにはすごく敏感だったりします。
自己愛性パーソナリティ障害の人はこれが強いです。
相手の気持ちがわからないのではなくて、「わかるのにやっている」という感じです。
ナルシズムに依存していく
ナルシズムの気持ち良さ、自分が自分のことを愛する気持ち良さにどんどん依存していきます。
ナルキッソスは自分のことが好きすぎてご飯が食べられなくなってしまいましたが、とにかく依存しやすいです。
自分のことを愛するというのは気持ちが良いのです。
この気持ちよさにどんどん依存していく、そして手放せなくなってしまいます。
ですからすべてにおいて自分、ナルシズムを優先させます。
そのためナルシズムが傷つくことは避けます。
テストで90点を取ったときに100点だったと嘘をつきます。
100点じゃない自分を許せないので嘘をつきます。
一日10冊本を読む、と嘘をつきます。
そんなわけはないのに、本をたくさん読んでいる、勉強熱心な自分であるということを意識したいから嘘をつきます。
そしてその嘘は、どんどん嘘を積み重ねているので、月に2~3冊読めばたくさん本を読んでいる方なのに、それを一日10冊と嘘をつきます。
そして「否認」します。
「それは嘘でしょ」と言われても「嘘じゃない」と言いますし、「悪い点数を隠したでしょ」と言われても「隠してない、なくした」と否認します。
お酒を飲んだでしょ、いや飲んでない、と否認するのと一緒です。
自分の誤りを認めず事実を歪曲します。そのために必死です。
「あれは渡そうとしたけれども弟が盗んだんだ」「弟が勝手に捨てた」「部下のせいだ」と事実を曲げます。
そしてそれがすごく巧妙で、本人でさえそれが自分でついた嘘だとわからなくなります。
自分がついた嘘さえわからない状況まで自分の嘘を信じ込みます。
一方で猜疑心は肥大していきます。
自分は完璧なので、完璧でないものは相手ということになります。
自分は間違いを犯さない、しかし世の中には間違いがある、もしくは自分の生活には不満がある、それはなぜかというと誰かがやっているからだ、それは自分じゃなくてアイツなんじゃないか、と思います。
そして敵味方を分けます。
アイツは味方だ、コイツは敵だ、と分けますが、それは投影同一視という要素があり、自分の悪いところを誰かに押し付けるからです。
自分の失敗を誰かに押し付ける、嘘をついて押し付ける、自分の僻みや嫉妬心も誰かに押し付けてアイツが悪いんだと追い込みます。
また、「ガスライティング」という言葉がありますが、相手を誘導し洗脳するような行動や行為、言動もとります。不安にさせたりします。
「ガスライティング」とはガス燈を点けたり消したりすることです。
相手が見えないようにさせたり、相手が知っている情報を減らしたり、あるいは自分から教えたりすることでマインドコントロールをしていく作業です。
例えば宿題があったときに、「じゃあ先生に宿題があるかどうか聞いておくよ。君は体調が悪そうだから休んでおきな」と言って実は宿題のことは知っているにも関わらず直ぐには教えず、情報や状況を使ってコントロールしたがる人がいます。
クラスと先生をつなぐように見せかけて、どちらにも情報を部分的にしか与えず、自分が情報をコントロールする立場になろうとする人です。
ナルシズムを傷付けないためにどんどん嘘を重ねるし、人をコントロールし敵味方をはっきりさせる、ということが依存症のように悪化していきます。止められません。
ナルシズムは気持ちが良い。でも不安がある。
不安は相手のせいだ。相手に押し付ける。
でもこういう歪つなことを反復していれば、その負債はどんどん大きくなっていきます。
大きくなればなるほど、嘘も子どもでも分かるほどになります。
これがナルシズムの問題です。
なぜ「カリスマ」になっていくのか?
ではそんな嘘みたいな話がなぜ許されるのか。
なぜナルシストが上司になるのか、出世できるのか、なぜカリスマになっていくのか、ということです。
それは不器用で不満のあるナルシストを吸収していくからです。
ヒトラーのように世の権力者がなぜカリスマになっていくのかというと、上手くいっていないナルシストの人たちを吸収していく、賛同を得て共通の敵を作ると、同じようなタイプだけれどその人ほどは社会的に成功していない人たちを集め、部下を「同一化」していくからです。
カリスマが出世していくことが、自分の出世のように感じられて気持ちよくなってしまう、ということが起きます。
カリスマはカリスマで部下の不正は許します。
自分も悪いことをしているので、同じ悪いことを部下にも許します。
リーダーとして機能していません。
リーダーであれば全ての人を平等に扱いルールに基いて賞罰を与えるところを、ルールよりも自分の方が正しいとしてしまいます。そして大きくなっていきます。
ナルシズムはなぜ生まれた?
そもそもナルシズムはどうして生まれたのでしょうか。
どうして人類はナルシズムを放棄しなかったのか、サルから人間になる間になぜナルシズムを放棄しなかったのか。
集団生活において他人を駒のように扱う要素がないと、集団の維持が難しいからです。
人間は元々人間同士で争っていたので、争うためにはカリスマ、冷酷な人がリーダーに立たないと勝てません。
「マキャベリ的知性」と言ったりしますが、嘘をついたり騙したり、共感性がなくて騙し討ちをする、そういう知性が優れた人が勝っていく世界でもあるので、当然出世していくことになります。
ビジネスも戦争ほどではありませんが、騙し騙されの世界です。
だから残っているという感じです。
上の方は上の方で同族同士が味方をしたり協力したりするので、ナルシスト上司というのはどんどん高まっていくし、有利になっていくということがあります。
世界観が違う
反対に発達障害の人や会話が苦手な人は彼らに食い物にされたりします。
発達障害的な人は全体を見たりする力が弱いので、負けてしまいます。
会話が苦手な人も同じです。
ナルシスト上司は相手の気持ちがわからないわけではありません。
相手の気持ちはわかっており、あいつはこういうことを考えているんだな、じゃあこうしてやろうとガスライティングしたりするわけなので、負けてしまいます。
気を付けなればいけないですね。
彼らはなぜそんなに酷いことをするのかというと「世界観が違う」からです。
喰う、喰われるの世界にいるのです。
自分と対等な人間は同じようにマキャベリズムを備え、自分が部下を苛めているように、相手の部下になったら自分も苛められるんじゃないか、喰われるのではないか、と思っています。
安心できないところで日々頭を使っているのです。
どこまで出世しても安心しない人たちなのです。
ナルシスト上司と上手く付き合うには
ナルシスト上司と上手く付き合うには、彼らの特権意識や搾取、共感障害を知り、特権意識を脅かさないことが大切です。
私は出世なんて全然考えていませんと、能ある鷹は爪を隠すじゃないですが、嫉妬を買わない努力をし続けることです。
とにかく隠れる。出世したらそういう人たちを上手に転がすような意識が必要です。
不当な人たちに対して真正面から怒るとよくありません。
こちらが傷つくだけになってしまいます。不正義や非道を指摘しても通じません。
距離をとりながら相手と付き合っていく、相手を傷付けずにこちらの目的を果たすことが重要です。
ナルシスト上司はどうすれば良いのか?
ナルシスト上司の人たちはどうすれば良いのかというと、喰う喰われるの世界ではない、ということをきちんと教えてあげることです。
あなたはすごく怯えているのではないですか、あなた自身の影や攻撃性、優秀さの故に怯えているのではないですかということをしっかりと伝え、依存を削っていくことです。
嘘をつく必要はないんだよ、100点じゃなくてもみんなから愛されるしそんなに不幸な目には遭わないよ、喰われたりはしないんだよということを理解してもらう、分かってもらう、安心感を持ってもらうということが重要です。
ナルシスト上司はナルシスト上司で苦しいのです。
自分はいつか失われてしまいますし、自分が一番大事ということほど怖いことはないからです。
自分以外の何かに価値を見出すとやはり生きやすいです。
自分のことを考えていても泥沼化します。とても不幸だと思います。
ですから、それを共感してあげるのが治療なのかなと思います。
今回はナルシスト上司に傷付けられるというテーマで、ナルシズムのこと、ナルシストの心理、世の中の構造についてざっくりと思いつくままに語りました。
仕事の悩み
2022.1.29