本日は「デフォルト・モード・ネットワーク(DMN)とマインドフルネス」というテーマでお話しします。難しいですね!
デフォルト・モード・ネットワーク、聞いたことはないですよね。
マインドフルネス、これは聞いたことあるかもしれません。
マインドフルネスは流行っていますが、僕もこれを説明するのは難しく、自分でも良くわかっていませんでした。
流行言葉じゃない?と思っていましたが、今回腰を痛めました。
痛くて夜中に目が覚めたりして、ウーウー言っていました。
「あ、そうだ、マインドフルネスを自分でやってみよう」とやりながら勉強というか何となく意識をしていました。
そうすると、もしかして単純なことなんじゃないかな?と思い、自分でもマインドフルネスやっていたのかな、と気づくことができました。
その話をします。
感情や痛みとどう付き合うか、ということがテーマです。
コンテンツ
デフォルト・モード
デフォルト・モードとは何かというと、脳がぼーっとしてる時の状態のことです。
脳みそとはネットワークなのです。
空港をイメージするといいかもしれません。
世界中の空港では常に飛行機が飛び交っています。
脳はインターネットにも似てます。
インターネットもネットワークなので、常に情報をスマホからサーバへ、そのサーバから他のスマホへ・・・とデータが飛んでいます。
この動き続けているネットワークが脳そのものなのです。
脳みそは常に動いています。
寝ている間、何も考えていない時も、脳みそは動いてるので、ボケーッっとしていると色々な考えが自然と浮かんできます。
Aというものが浮かんだら次はB、ボケーッとしているとまたCというものが浮かびます。
これをデフォルト・モードと言い、デフォルト・モードで活発化している脳のあり方、ネットワークを「デフォルト・モード・ネットワーク」と言ったりします。
デフォルト・モード・ネットワークがOFFのときは、普通に考えたり集中したり何か作業をしているときです。
ONのときは、色々な考えが浮かんでは消え、浮かんでは消えというのを繰り返して、脳が勝手に連想ゲームをやっていたりします。
これは何をしているのかというと、脳みそが記憶の整理や整頓を勝手にしてくれています。
記憶の定着に役立つと言われています。
ただ多くの患者さんは嫌なことをどんどん考えてしまうと思います。
嫌なことがどんどん浮かんで、ああなったらどうしよう、こうしたら不安だな、もっとこんなことがあるかもしれない、と思って不安になります。
不安障害の人は電車に乗ると、無意識の中で、あのときのように発作が起きて苦しくなるかもしれない、怖いな、と連想が進むこともあれば、また発作が起きるかもしれないと早い段階で不安を感じます。予期不安です。
トラウマがある人、夜道で襲われたことがある人は、夜に同じような道を歩くとあの時のことを思い出して不安になります。
夜というだけで不安になったりするかもしれません。
こういう連想ゲームのようなことが起きます。
ボーッとしていると起きやすいです。
感情と考えを切り分ける
では、これを治療的にはどう活かせば良いのか。
デフォルト・モードがONのときにはどう活かしていけば良いのか。
OFFにしていくということです。
やり方のひとつとしては「感情と考えを切り分ける」ことです。
感情を切り分けて、「あぁ自分は不安を感じているな」「まだ不安を感じているな」「もっと不安を感じたな」「元に戻ってきたな」と感情を切り分ける部分と、もう片方の脳で、認知と行動を分けてあげます。
それで頭の中を整理してあげます。
認知行動に関すること、普通の考えやアイデアの部分を整理整頓してあげるのが良いです。
Aについてはこうしよう、Bについてはこうしよう、Cについてはこうしよう、Dについてはこうしよう、と整理整頓して計画を立て、やらないことを決めるという感じです。
僕なら、ああ今日も仕事か、しんどいな、お酒飲みたいな、でも太るしな、本当は甘いものを食べたいな、お昼に時間があったら大福でも買いに行こうかな、と朝歩きながら考えます。
そうするとグチャグチャグチャッとしているので、ピシッと考えるときは、体の健康については腰が痛いけど取りあえず次の3ヶ月ガマン。仕事については今日は予約が○○人だから余裕があるな、明日に備えて昼間にこれだけやっておこう。YouTubeは今日は1本は絶対に撮ろう、ということを考えたりします。
そうやって整理整頓をしていくと、落ち着いたりします。
そうすると、このグチャグチャっとしたものが、こういう風にA→B→C→Dと、頭の中はデフォルト・モードだけど整理されたデフォルト・モードに戻ります。
整理、計画、やらないことを決める、というのは、言語化、概念化、認知の再構築と言ったりします。
積極的に働きかけて頭を整理することで、自分の不安感や考えを整理できます。
感情については、ただ眺めていく、ということも重要です。眺めていくと休まります。
眺めていくと感情は落ち着いてきます。それを理解します。
深呼吸、ゆっくり呼吸することで自律神経が穏やかになってきて、不安感が減ったりします。
うつや不安は薬で感情をクールダウンさせます。
運動も気持ちが良いので、やったりします。
感情、考え、認知、行動というのは、相互関係があります。
分離しているがどこか影響し合う、ということも覚えておいてください。
カウンセリング、瞑想、散歩
こいうことを考えたりするのも一人だと難しいです。
・カウンセリング
カウンセリングで喋ることで気持ち良くなって感情が良くなります。
頭の中が整理され、新しい概念を知ることができるので思考も整理されます。
・瞑想
瞑想をするとゆっくり呼吸をするので気分が穏やかになります。
頭に色々なものが浮かんだり消えたりしますが、そもそもデフォルト・モードは自動でやってくれたりしますから、整理されます。
・散歩
散歩も気持ち良いですね。
気持ち良いので感情も穏やかになっていくし、散歩しながら頭の中に浮かんだものを整理していくと、言語化、概念化、認知の再構築が起きます。
そうすると整理されます。
整理された後に、生きていれば新しいことを知ったり新しい出会いがあったり、何か新しい変化が起き、そうすると段々と積み重なってグチャグチャっとなります。
また同様に整理して、穏やかになります。
これを繰り返すのが人生です。
ホワイトボード左側はデフォルト・モード、右側はデフォルト・モードに+αしているので、デフォルト・モードのOFFではあるがわかりにくいのでこのように書きました。
デフォルト・モードのONやOFFは、完全にOFF、完全にONということはありません。
ある程度はグチャッと考えてもらっても構いません。
デフォルト・モードのON/OFF
真逆のもの、デフォルト・モードのOFFというのは、集中している場合、何か作業をしている場合、何かに熱中している場合、瞑想は感情や考えが浮かんでは消え、感情が生まれては消え流れていくさまを観察するという瞑想ですが、マインドフルネスの方は呼吸に集中して雑念を払う瞑想になります。
デフォルト・モードONで苦しい人は、先ほどの瞑想をやるのも良いですが、マインドフルネスをやるのも良いよ、というのが治療の考え方です。
パニックになっている時にはとにかく呼吸に集中しなさい、デフォルト・モードをOFFにしなさい、OFFにして不安から離れましょう、ということです。
余裕があったらデフォルト・モードの中で頭の中を整理しましょう。
しかしデフォルト・モードにずっといると疲れますし、頭をずっと使っているのも疲れるので、バランスが難しいです。
家でボケーッとしていて苦しいです、休んでも休まらないという人は、デフォルト・モードの時間が長すぎるので、OFFにして何かに集中した方が良いです。
ずっと集中して何かをやり続けている結果、物事の整理、頭の中の整理が進んでいないなら、ちょっとボーッとして、海でも山でもどこでも良いのですが、自然を見ながら頭の中を整理したら良い考えが浮かんでくるかも、と言ったりします。
精神疾患がある場合
うつ病や精神疾患がある場合は、デフォルト・モードがOFFの場合もあまり頭が働きません。
働かないので空回りになってしまうこともあり、連想と感情のサイクルが崩れるのがうつ病という病気なので、何をやっても嫌なことしか思い浮かばないです。
だからできること、簡単なことからやります。
何かを考えるのではなく、呼吸に集中するだけならできるので、それをやってみるのがマインドフルネスです。
直接脳がやられているので薬をちゃんと使いましょう、というのがうつ病の治療です。
余裕が出てきたらカウンセリングで頭を整理しましょう。
脳の話
補足として脳の話をします。
・学習と忘却
脳の重要な要素は、学習と忘却というものがあります。
学習していくと脳は連想ゲームが強まります。
ネットワークが強くなっていって、色々なことを思い出しやすくなります。
逆に使わないと忘れていきます。
トラウマの人は毎日そのことを思い出したりするので、どんどんトラウマが蘇りやすくなります。
依存症の人も毎日お酒を飲むから、どんどん飲みたくなってしまいます。
逆に使わなくなると忘れます。
トラウマも感じなければ、思い出すことがなければ忘れていきます。
・記憶/情動
記憶や感情は再構成されます。
写真のネガのように一度焼き付いたら離れないものではなく、毎回毎回作り出されるものです。
再構成されます。
記憶というのは、あるのではありません。
毎回自分で作っているのです。
感情もそうです。
毎回作るし、学習によってでき上がります。
記憶や感情は我々が親や社会から学ぶことででき上がっていくものです。
ですから、辛い感情や不安しかなければ、もっと勉強した方が良いです。
色々な概念を知る。僕のYouTubeもそうですが、色々な概念を知ることで、「不安-不安以外」ではなく、不安にも色々な種類があり、支配されるような不安もあれば、程々の不安、付き合っていける程度の不安もある。ちょっと嫌な思いはするけれどもそれほど悪くない不安もあるとわかります。
・プライミング効果
一番最初にできた記憶は忘れにくいです。
一番最初の出会い、親との出会いというのは後まで引きずります。
一番最初に嫌な思いをすると、第一印象で人の印象が決まるような感じで、トラウマもそうですが、最初にガッと来てしまうと、嫌なものと憶えてなかなか抜けないことがあったりします。
これをプライミング効果と言ったりします。
トラウマにしても不安にしても全部記憶の問題です。
記憶は頻度、回数やその時の感情、場所、珍しい場所なら記憶は強化されます。忘れにくくなります。
これが脳の特徴です。
どうしたら良いのかというと、何度も何度も治療を受けにいく。
僕のYouTubeもそうです。頻度を増やして毎日毎日観る。楽しいな、気持ち良いな、悪くないな、と思いながら嫌な記憶や感情を処理します。
楽しみながら自分のトラウマに向き合っていく、自分の不安に向き合っていく。
そして場所、珍しい場所、マンネリ化せずにやると良いなという感じです。
安心できるカウンセリング・ルームや旅行先で、益田のYouTubeを観る。そんなことしたくないよという感じですが(笑)、そうすると取り掛かりやすいということです。
今回は、デフォルト・モード・ネットワークとマインドフルネスというテーマで、人間の脳の構造から、マインドフルネスはどうして役にたつのか、記憶や不安はどうなっているのか、ということをざっくり解説しました。
前向きになる考え方
2022.3.12