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考え方を変えるには、精神科医、心理士、コーチング、どこに通うのが良い?

02:33 話の整理
07:58 誤って理解
11:02 心身に問題はないか?

本日は「考え方を変えるには、精神科医? カウンセラー? コーチング?」というテーマでお話します。

よくこういう質問をされます。
話を整理したい、気持ちを変えたい、人生を見つめ直したいとき、さすがに「占い師のところへ行った方が良いですか?」とは聞かれませんが、「医師ではなくて心理士さんに頼むべきことですか?」「病院ではなくてコーチングが良いですか?」と聞かれます。

カウンセラーにも色々な人がいます。
資格がある人ない人、公認心理師という資格がある人、民間の資格がある人、自称カウンセラーの人、心理学部を出ていない人など色々な人がいます。

誰に相談するのが良いのかというと、結論としては、まず精神科医に相談しその上で割り振ってもらえば良いですが、本当のことを言えば、今やっている仕事や家族のことは、自分と境遇の似た先輩や同僚に聞くのが一番良かったりします。

僕もYouTubeの撮り方を、精神科医ではなくYouTubeを撮っている人に相談したりします。「こういうところが不安なんです」と問題を整理した後であれば「ここに困っています」と言えます。
ですが、問題の整理とはどういうことか、これは自分の心の問題なのか、それとも現実的な問題なのか、その辺りは整理するのが難しいです。

その整理は精神科医に頼んだら良いのではないかなと思います。
どこからが自分の問題なのか、どこからが身体の問題なのか、という今回は話をします。

健康的なものと病的なものに分けました。

話の整理

困っているとき、頭の中がグチャグチャしているとき。
自分はこのままではいけないのではないか、今悩んでいるがどこから手を付けたら良いか分からないときがあると思います。
そういう時は、話の整理をした方が良いです。

これはどういう問題なのだろうと整理をしていくスキルは、精神科医より上手い人はいないかと言われると「?」が付きます。
精神科医でなくても上手い人はたくさんいます。
若い精神科医よりもベテランの心理士の方が、はるかに問題を整理する力は強かったりします。

自分の心の問題、家族の問題、仕事の問題を分類していく力は人によりけりですが、精神科医は悪くはないです。
何だかんだ言っても医師国家試験を突破しているので、こういう言い方をすると失礼かもしれませんが、地頭は悪くはないし、論理的な能力、理系の力、分類していく力も悪くはないです。

分類は究極的には算数の「場合分け」というものなので、精神科医でなければいけないということはないですが、悪くないなという気はします。
もちろん医学のこと、人文系の知識もあり、何より経験があります。
毎日やっていることなので、慣れの問題として上手いといえば上手いかなという気がします。

もちろんセンスの問題もあるので、精神科医よりも話の整理が上手い人、分類分けが上手い人はたくさんいると思います。
ですが、精神科医は悪くないのではという気はします。

話の整理をある程度行うと、ひっかかるポイントが見えてきます。
そのひっかかりのポイントを取ってあげたり特定すると、あとは自分で良くなったりしていきます。
自分で解決していく力があるのです。

かつてフロイトという人がいました。
20世紀初頭、まだ薬もない時代、どうやったら人の心の病を治していけるのだろうと考えた人です。
カウンセリングの始祖とも言われます。
最初は色々な試行錯誤をしていたのですが、困っていることを特定して、その抵抗を解釈してあげると自然治癒するのではないか、というモデルを打ち出しました。
後々それは否定されますが、そういうことを言いました。

何となくイメージがつきますよね、人間には自分で自分を治す力がある。
傷があっても異物を取り除いて保護してあげると勝手に皮膚は治ります。
今も多くは変わりありません。
ガンだってガン細胞を取っているだけです。取り除けば自然と治るわけです。

問題を取り除いてあげると、自分の自然免疫力で自然治癒するのではないか、という考えです。
「健康な人」はそれで良いのです。

抵抗とは、つっかかりとは何かというと、自分の弱さ、事故、何か嫌なことがあったことへのこだわりです。
人には長所と欠点がありますが、ついつい欠点を重視しがちです。
自分はこれもできない、あれもできない、ウーッと自分の長所に気付けていません。

「あなたは確かに弱いところはあるけれど、良いところもあるので良いところに目を向けなさい」と言われて、「いやでもなー、でもなー」とウジウジしながらも、やっぱり欠点を見るのを止めよう、私はここは苦手だから捨てちゃおう、得意なことをやろう、という風にすると上手く行くわけです。

アイツにパワハラされた、信頼してた友人に裏切られた、お金を持っていかれた、離婚になった、親が憎かった、親が自分の教育にお金をかけてくれなかった、優しくしてくれなかった、むしろブン殴ってきたなどありますが、それは過去のことです。

現在進行形ではないので、過去のことは恨んでいても仕方がないから次へ目を向けようということです。
「いや目を向けられないんです」と言っているので「目を向けましょう」とグッとやってあげると良くなるということです。
これがある種、健康的な人の治療だったりします。

ただフロイトがここでつまずいたように、ただこれを取ってあげる、同定してあげる、あなたの問題点はここですよと同定して話を整理し、じゃあこれは考えないようにしましょうね、と指示しても良くならない人もいます。

誤って理解

良くならない人はどういう人かというと、今で言うところの依存症。
アルコール依存症、薬物依存、買い物依存、自傷も依存ですし、過食嘔吐も依存症、ゲーム依存も性依存もそうです。
強迫性障害も依存症の一種と最近は言われています。
やめたくてもやめられない。

あとは、トラウマが強烈すぎるので忘れられません。
忘れようと思っているのにフラッシュバックで蘇ります。

境界知能を含め発達障害の場合は、知的な問題で戻ってしまう。
正しく理解できないパターンがあります。

こういう場合は、取り除いてあげても自分の治癒力が弱かったりします。

依存症は「あなたは○○依存なので止めましょう」と言っても止められません。
トラウマも同じで「あなたは今は事件がないんだから忘れた方が良いよ」と言っても、忘れたくても脳の記憶にこびりついて忘れられません。
発達障害は「人の気持ちを考えましょう」と言っても考える力が弱かったりします。
そうすると、自然治癒では上手く行かなかったりします。

こういう問題はどうやって治療したら良いか悩みます。
例えば10年以上ずっと同じ問題で悩んでいる人も結構います。
この治療は「パラダイム・シフト」、新しい概念の習得が必要です。
もう一回世界観、人生観、生き方、人ってどういうものなんだろうというデータを再インストールするようなことが必要です。

再インストールはどうしたら良いかというと、転移や投影という「体験」を通して伝えていく。
「あなたは今僕に怒っているけれど、それはかつてお父さんへ向けていた怒りを僕に向けているんじゃないの?」とややこしいことを言いながら「あ、そうかもしれない」と記憶と現在を結びつけたり、認知行動療法のような形で「病気はこういうものだよ、不安はこういうものだよ」という心理教育と、「次からはこういう行動をしてみましょう」という行動療法によってバージョンアップすることもします。

昔の人は巨大な亀や象の上に世界が乗っかっていて、端まで行くと世界は崖になっていると考えていました。
だけどそうではなくて地球は丸いんだよ、とパラダイム・シフトをしてあげる。

人間とはこういうものなんだ、人間というのは実は悪いヤツなんだ、実は裏切ろうとしているんだ、僕はダメなヤツなんだ、救いようがないんだ、と思っているのだけど、そうじゃないでしょ、とヒョコッと変えてあげるのが重要です。

心身に問題はないか?

もうちょっと調子が悪いとなかなか上手く行きません。
そもそも心身に問題がないのか、ということを考えます。

不安が強かったり体調不良のときは、変に人を信用してだまされたり、優しくされても冷たく感じたりします。
こちらが「あなたに悪いことはしてないよ」と言っても「あなたは毒を盛っている」と被毒妄想があったりします。
「一緒に治療していきましょう」と言っても「コイツはお金儲けのためにやってるんだ」「益田は信用できないヤツなんだ」「アイツがYouTubeでしゃべっているのは僕らを洗脳しようとしているんだ」と思うわけです。
身体の調子が悪かったり、脳に問題があるときはそういう風に思ってしまうのです。

ちょっと似ているものに「つり橋効果」というものがあります。
怖い場所やジェットコースターに乗ったり、ドキドキする場所で異性と一緒にいるとその人に恋に落ちる、というやつです。
これは後々再実験で否定されたりもするのですが、でも何となく分かりますよね。
修学旅行とかで夜道を女の子とかと肝試しに行ったりしたら恋に落ちますよね。
ドキドキしているし、異性もいるし、安心したいし、という特殊な心理状況のときには恋に落ちます。

同じように脳の病気で特殊な状況になったとき、変な妄想、意識になってしまいます。
こういうときは医師の仕事そのものです。

脳の病気があるよ、身体の調子が悪いからそうなっているんですよ、というときには薬の治療で良くしていく。
そうすれば健康になって自然治癒したりします。

考え方を変えるとか今の不安を解決するというのは、ざっくりと3つの層に分けることができ、普通の人であれば話を整理して、ここが問題だねと言ってあげると勝手に良くなります。

ただ整理をするにしても身体の病気から依存症、トラウマ、発達障害という特殊な状況を含めて整理ができるというのは、精神科医だったり心理士、心身の問題を含めると精神科医が診断も含めるので得意だということです。

健康な状態で、これに悩んでいる、転職した方が良いのかな、というのはもちろん精神科医は得意ではありません。
そういうことは先輩や同僚に相談するのが一般的です。
そういう人たちに相談する方が役に立った、益田に相談するよりも周りの人に相談する方が気持ちを変えることができた、こういう生き方をした方が良いと思えたというのは、健康であったということだと思います。

僕らの仕事はあくまで身体の病気があって変な不安が起きていないか、依存症、トラウマ、発達障害など問題があるから話を整理しても良くならないときに本領を発揮します。
一般の人で話の整理をしなければいけないときや、抵抗を同定する面は、下手ではないがそこそこという気もします。

考え方を変えるにはどれが良いのかということをお話しました。

コーチングについては「話の整理」の気がします。
話を整理したり再インストールするということですが、よくわかりません。

それはコーチングの治療が必要なのか、コーチングで何か教える必要があるのかというと、そもそも放っておいても治った問題なんじゃないかという気もするので、何かよく分からない感じはするかな、そんなこともないかな、わかりません。

今回は考え方を変えるにはどれが良いのか、という動画を撮りました。


2022.3.18

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