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リスカやOD、自傷行為を完全解説。メカニズムから治療法まで

00:51 メカニズム
03:12 背景にあるもの

本日は「リストカットやODはなぜ起きてしまうのか、どのように治療をしていけば良いのか」というテーマでお話しします。

リストカットやODは依存症と似ています。依存行為なのです。
アルコール依存症、ギャンブル依存症、買い物依存症、性依存症、ゲーム依存症、スマホ依存症に似ています。
それをやめたくてもやめられないというのがリストカットやODの特徴です。
甘え、かまって欲しい、我慢が足りないということではなく、依存症の仲間なのです。

メカニズム

どのようなメカニズムかと言うと、まず「不安・怒り」を感じます。
わーっとなってそれがエスカレートして頭が真っ白になります。
そして、リストカットやODをしないとダメだ、そうしないと頭がすっきりしないと思いやってしまいます。

リストカットやODをすると、脳内麻薬(エンケファリン)が出ます。
痛みに伴って脳内麻薬が出るので少し楽になり、冷静になります。
冷静になり、自分はこうしなければいけない、怒ってはいけない、今から勉強しなくてはいけない、とすっきりして次に移れます。

ですがまたストレスが溜まってくると、「またあのスッキリが欲しい」ということでやってしまいます。
これが一連の流れです。

また、人といて普段からストレスを感じていると、ストレスを和らげようとして脳内麻薬が出ています。
ちょっと人から離れた時、一人になった時にふと落ち着くと、脳内麻薬が出なくなり急に不安やゾワゾワした感じが起きます。
そして「怖い、怖い」となりリストカットをします。
リストカットやODをするとまた脳内麻薬が出て少し楽になります。
このぐるぐるが止められません。
止められないので、リストカットやODをしてしまうということになります。

本人はかまって欲しいわけではありません。
ODをして救急車を呼んでほしい、リストカットをして傷を見せびらかして、私は苦しい、困っているということを言いたいわけではありません。本当は隠したいのです。
だから、手首ではなく肩の近くや太もも、お腹など、人から見えないところを切ってしまう人はたくさんいます。

それはイライラを抑えたいのです。
他にそれを解消する手段がわからずやってしまいます。

これがリストカットやODの特徴です。

そんなことで死ねるわけないだろうと言う人も多いと思いますが、「生きていたくない」というのが本音です。
自殺をしようとしているのではなく、ただリラックスしたい、イライラを抑えたい、というつもりでやっています。

背景にあるもの

なぜリストカットやODをやるようになってしまうのか、よくあるのが「自分は無価値」だと思っているということです。

・常に否定されてきた
親子関係の中で常に否定されてきた。教育的虐待という形で遊んだりする自由な時間を与えてくれなかった。ずっと勉強させられた、ずっと習い事に行かされた、親から監視されていた。
100点を取らないと「あんたバカね」と否定されるといったことがあった。

・暴力
家庭内暴力があった。母親から殴られる、父親から殴られる。殴られなくても父親と母親が喧嘩している姿を目撃し常にハラハラしている。性的な虐待を受けることもあります。

・無関心
ネグレクト、両親が自分に無関心だったということもあります。

・言葉にするのが苦手
言葉にするのが苦手な人も多いです。
自分で怒りを表現する、不安を表現する、誰かに相談するということが苦手です。

・自分で解決するのが苦手
自分で解決する力が弱かったりします。
そもそも親子関係は解決できない、子どもは無力だから解決できないだろうと言うかもしれませんが、まさにその通りです。
思い切って親に反抗して中学の時にグレてヤンキーになることはできず、良い子のままなので外面は良いけれど内面はすごく傷ついていて、苦しい思いをしている人が多かったりします。
だから「逃げる」ということが思いつきません。
子どもの時もそうですが、大人になって親から自立した後も、一人暮らしをした後も、結婚した後も逃げるという手段が思いつかなかったり、解決する力が弱かったりします。

・冷めた感想
冷めている人が多いです。
「そんなの意味ないでしょ」「生きている意味なんかないでしょ」「そんな綺麗事言うなよ」という感じで言う人が多いです。
「あんたは私に生きていてほしいと言うけれど、本当にそう思ってるの?」「人間死んだらみんな一緒でしょ」などと冷めています。

では僕らはどうしたら良いのかと言うと、ただ辛い思いを聞いて欲しいだけなのです。
それに「いやいや、生きていることに意味はあるよ」「あなたにも長所があるよ」と言われると余計に冷めてしまいます。
「確かにそうだね」「苦しかったんだね」と淡々と聞きます。そういう時間を作ってあげる。
その人の苦しみや痛みをちゃんと聞く、ということです。
0.5秒で「いやいや、あなたにも良いところがあるよ」と言われると、何なんだという感じがしますよね。

その人が生まれた時から受けてきた暴力や痛み、苦しみを聞いていると、こちら側も苦しいですし、それを想像するだけで心がすり減ってしまうような思いをしますが、その洞窟に一緒に留まるような治療が必要だったりします。

リストカットやODをする人の病気としては、境界性パーソナリティ障害、発達障害、強迫性障害、不安障害、うつ病などいろいろな病気が隠れています。
本人だけでなく、親の方にも発達障害や何かしらの病気が隠れていることもあります。

その他の対応としては、マインドフルネスで呼吸に集中する、瞑想する、お経を唱える、切る代わりに輪ゴムで弾く、氷を当てる、氷を持つ、運動する、日記を書くなどの代替行為をする方法もあります。

また、治療として依存のサイクルを客観的に知る、背景にあるその人の無価値感、言葉にするのが苦手だったり、言葉にしても意味がないだろうという諦めを解決してあげることが重要だと思います。

今回はリストカットやODをなぜしてしまうのか、どのように治療をしていくかについてお話ししました。


2022.5.5

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