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主観2.0を解説。共感だけでは治らない。患者さんはどのように良くなっていくのか?

00:00 OP
00:45 主観1.0とは?
02:27 合理的な行動を取りたい
03:15 一度客観的にモノを見ることが必要
04:38 一人ではなかなかできない
05:23 共感の延長線上に主観2.0はない

今日は「主観2.0」の話をします。

「主観2.0」って聞いたことないと思います。
これは僕が勝手に作った言葉なんです、ちょっとお恥ずかしいんですけど。
当時はWeb2.0とかWeb3.0とか、そういう言葉が流行ってたんです。バージョンアップするみたいな感じで。
僕も「主観2.0」という言葉を作って、色々なことを説明していたという感じです。

主観1.0とは?

人間というのはそもそも主観的な生き物です。
多くの人は思い込みに支配されたり、自分の感情、欲望、常識に支配されている。
その結果、自分が見たいものを見ているんです。
世界をあるがままに見てないんです。

人間関係をあるがままに見ていないし、問題や何かの課題をあるがままに見ていなくて、自分のバイアスというか、自分のフィルターがかかってしまっているという感じです。

こういうものを認知行動療法的にいうと「認知の歪み」と言ったりします。
精神分析だと無意識、無意識の影響を受ける、加工と言ったりします。

何となくイメージはつくかなと思います。
怖いなと思ってると、柳の影も幽霊に見えるみたいなもので、人間というのは間違ってモノを見ているよと、ただそれだけです。
これが「主観1.0」の状態です。

合理的な行動を取りたい

本当は思い込みや感情に支配されず、合理的な行動を取りたいんです。
スーパーパワーを手に入れることはないんです。

問題を解決するのにスーパーパワーを手に入れたり、今までできなかったことができるようになるということは必要なかったりします。
もちろんそれがあったらいいんだけれども、なかなかそこまで急に成長できないわけです。

でも感情に支配されず、合理的に動けたら、あの時ああいう風に動けたら、もっと冷静に動けたらと思うように、それができるようになるだけで解決する課題は多いんです。
なので、2.0の状態を目指しましょうというのが「主観2.0」です。

一度客観的にモノを見ることが必要

でもこれは一気に進むわけではないんです。
治療は薬を出したり、話を聞く、共感してあげると一気に主観1.0から主観2.0に行くというわけではなくて、一回客観的にモノを見るということが必要なんです、ロボットみたいに。
そういう客観的にモノを見るという状況を挟もうと。

治療とは何かというと、この客観的に見える状況を作るということなんです。

バイアスを取ってあげる、「ここ歪んでるよ」「あなたこれは極端じゃないの」そういう情報を提供して歪みやバイアスを指摘してあげることで、「あ、そうなんだ」とフィルターがかからないあるがままの姿が見えて、そして合理的な行動をとってあげるという動きを促す。
これが主観2.0というものです。

治療は何をしてるのかというと、こういうバイアス、歪み、無意識を指摘してるんだよ、ということを説明したという感じです。

一人ではなかなかできない

これはなかなか一人でできないんです。
知識があった方が自分のバイアスや認知の歪みに気づきやすいんだけれども、なかなか一人だとわからないんです。

ケチな人っているじゃないですか。
ケチな人は「俺ってケチなんだよね」と自分で言っておきながら、行動を変えられないですよね。
1円単位で割り勘とかせがむじゃないですか。
そう言った直後に。

頭では何となくわかってることもしっかり他人に指摘してもらう、そしてそれを治すように促してもらわないと、このフィルターは取れない、フィルターというかバイアスは改善していかない。
治療者やカウンセラーはこのためにいると言っても過言じゃないです。

共感の延長線上に主観2.0はない

でも「いやいや、私はもっと認められたい。感情、今の気持ちに共感してほしいんだ」という人が多いんです。
共感してほしいみたいな人が多いんですけれど、これはもちろんそうなんだよね。
一瞬楽になるんです。

少し楽になるんだけれども、この延長線上に主観2.0はないんです。
一時の休息に過ぎなかったりする。

共感して信頼関係をつくる。
信頼関係を作った上で指摘してあげるということが一番重要なんですけれど、ここに留まっていてはいけないんです。

患者さんやカウンセリングのことをよく知らない人は、話を聞いて共感して貰えれば、自分のことを理解してもらえれば治療は進むと思ってるのですが、それは大間違いです。

「先生それはよくわかるんだけど、まず私のことを認めてほしい、私の気持ちをわかってほしい」と言うんですけど、「いや、わかるよ。わかるんだけど、わかった上でこう言ってるんだよね」という話なんです。

そもそもこういう風に治療していくということが頭から抜けていると、どうしてもただ嫌な誤解だけ生まれるだけなので、こういう主観2.0という概念を理解してもらえたらなと思っています。

人間というのはそもそもバイアスがかかっている、あるがままを見ていない、というのは脳科学的な事実でもあるんです。
常識とはちょっと違うことを理解できるかということと、共感ではなくある種冷静になっていくことが治療ですよ、という感じです。

日常は違うんですよね。
日常のことは、僕もそうですけど、ただウワーッと思って嫌な気持ちになって、時間が経ったら普通に戻ってヘラヘラして、また時間が経ったら怒ったり泣いたりして、ということを繰り返してたりして、常に進歩をしているわけじゃなく、同じことを繰り返しているのが日常というか、普段のことなんです。

それと同じように、今の気持ち、嫌な時間を共感してもらうことで、時間が過ぎればすぐ私は元に戻りますよとみんな思いたいし、思いがちなんですけど、でも日常と治療や病的な状況は違うので、ちょっと成長してあげるということが必要だったりします。

今回は、主観2.0について解説しました。


2023.3.10

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