今日は「燃え尽き症候群」について解説します。
ガッと仕事をやって気が抜けてしまったということ、ありますよね。
そのまま「うつ」のようになってしまう人も多くいます。
このような体験をしたことがある人もいると思いますが、それを精神科医目線で語ってみようと思います。
コンテンツ
診断と症状
<診断>
燃え尽き症候群の診断として1つ目の条件は「職場での慢性的なストレスがある」ということです。
この「職場で受けている」というのが診断の肝で、職場以外で慢性的なストレスを受けているのは燃え尽き症候群とは言わないことになっています。
<症状>
・疲労
精神的な疲労感、疲れが取れない。
・仕事への距離、否定
職場に行きたくない、やりたくない。
・貢献、達成感の欠如
自分は社会に対して何も貢献していないのではないか、何か達成感が足りない。
仕事をやり遂げたはずなのに何か空虚で無意味に感じる。
この3つの症状があるのが「燃え尽き症候群」です。
わかりますよね、疲れていて、会社に行きたくなくて、自分のやっていること意味あるのかと。
僕だったら、精神科医って意味あるのかな、オレって薬を渡しているだけなんじゃないかな、YouTubeでバカさらしているだけなんじゃないかな、とかそういうことです。(僕がYouTubeをやっているのはまともになった証とも言えますが…)
臨床的には「ハードワーカーの人」ということになります。
僕は東京の早稲田で開業しているのですが、どのような人を見てきたかというと、コンサルタント、エンジニア、職人、編集者などでした。芸術家、作家、社長などもいました。
治療法
治療法としては、
・休息を取る
・抗うつ薬を使う
ということになります。
燃え尽き症候群は「適応障害」に似ています。
これが発展していくと「うつ病」に似ています。
疲れを感じていても、それを抑えながらやっているのです。
自分をだましながらやっているので、疲れが溜まって脳がすり減り、うつっぽくなってしまいます。
そうなると、休んでもすぐには回復しません。
ひどくなってくると適応障害に、もっとひどくなるとうつ病になるというイメージです。
どのような人に多いのか
例えば上司が「やばい!」と不安を煽ってきます。
多くの人はそれを「また言ってる」と無視するのですが、真に受けてしまいます。
上司としては、どうせみんなサボるからきつめに言っておこうと思って言っているのです。
皆それを「また怖がらせようとしている」と無視するのですが、燃え尽き症候群になりやすい人は、「ちゃんと終わらせなきゃ」と真に受けます。
でも実際は0.8掛け、0.7掛けで良かったりします。
上司の性格を見ながらやれば良いのですが、それができない人が多いのです。
このような話をすると、患者さんは「いやいや、本当にやらなかったら上司は怒りましたよ」と言います。
これも多くの人は怒られても反省しているフリしかしないのですが、真に受けてしまいます。
これはロシアの某大統領のようなやり方で、口では「やれよ」と言っているけれど、「やらないだろうな」という二重構造になっています。
でも実際に自分の立場が悪くなったときに、「約束したのに何でやっていないんだ」と守れない約束をさせておいて、破っているだろうと怒るということをします。
守れない約束を飲まない奴は仲間に入れませんが、本当に都合が悪くなると、守れないはずの約束を反故にしたと怒ったりします。
それを恐れて守れない約束を毎日守ろうとすると、燃え尽き症候群のようになってしまいます。
会社には、建前というか、守れない約束があります。
守れない約束があるのですが、それを切り抜ける賢さが必要です。「赤信号、みんなで渡れば怖くない」というやつです。夜中に車の来ない道で赤信号を守っていたら疲れてしまいます。
そのような上手さが必要です。
かといって夜中に車が通らないだろうと思って渡ったら轢かれる危険性もあるわけですから、そこら辺をうまくやる賢さ、したたかさが求められます。
難しいですが、ゆっくり覚えていけば大丈夫です。
今回は、燃え尽き症候群についてお話ししました。
みんなサボってますから。サボり方がわからない人は一緒に良い加減のバランスを見つけましょう。
仕事の悩み
2021.10.12