アフターピルについてはこちらをご参考ください
http://www.jsog.or.jp/activity/pdf/kinkyuhinin_shishin_H28.pdf
今日は原田隆之先生の「痴漢外来」という本をベースにしながら性依存についてお話しします。今日の話を通じて、人間の脳がどういう風にできているのかを考えてみていただければと思います。
「性依存症」という病名はなく、近いものとしてはパラフィリア障害、強迫的性行動症といったものがあります。治療は問題行動に対する責任のがれでは決してなく、再犯率を下げる意味があります。
性依存症は、ストレスが溜まった時の解消法に性的興奮が結びついてしまい、それがやめられない状態です。アルコールやギャンブルなどの依存症も同じ仕組みです。では、なぜストレスの解消法がボランティアやマラソンと結びつかず安易な方に流れるのかというと、それだけ脳への刺激(報酬系)が強いからです。人間は脳内の快楽(脳内麻薬)にしたがって生きているところもあるので、ストレスがかかると強い刺激と結びつきやすいのです。
治療の基本は環境と行動を変えることです。他に、認知行動療法のワークブックで自己理解を深める、規則正しい生活でストレスが溜まっていないかモニタリングする、周囲のサポートや自助団体の力を借りる、薬物治療などがあります。
それから、性依存症について語らなければいけないことは、被害者がいるということです。被害にあった人は、性的な興奮が不安や恐怖と結びついてしまいます。誰かを好きになった時に自分は汚らわしいのではないかと思ってしまったり、好きになりたいのに恐怖感が出てきてしまうといった混乱が生じてしまいます。被害者のことも考えなければいけないのが性依存症です。
参考図書:原田隆之・著「痴漢外来 性犯罪と闘う科学」(筑摩書房)
依存症
2020.10.25