うつや適応障害が発症してから良くなるまでを解説します。うつ病も適応障害も、薬を使った場合も使わなかった場合もだいたい同じような経過を辿ります。ぐっと落ちてから良くなるのですが、薬を使うと落ち込みの期間が短くなったり程度が小さくなったりします。うつ病よりも適応障害の方が落ち込みの期間が短く程度が小さいです。
落ち込んでから回復するまでを「抑うつエピソード」と言い、大きく分けると4つに分かれます。
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1.うつ病、適応障害の初期 〜6ヶ月
初期は結構無理がききます。周囲は気づいていたりいなかったりしますが、人間の心の機微がわかる人は気づいていたりします。本人は普段より変に元気なこともあります。
うつというと自分を責めているようなイメージもありますが、落ち込んでいるだけに周囲や家族に攻撃的になることもあります。誰でも疲れているときはイライラしてしまうことがあると思いますが、そのようなイメージです。
精神科や心療内科の受診までには6ヶ月ほど掛かったりします。
2.急性期 3〜6ヶ月
一番ひどい時がだいたい3ヶ月〜6ヶ月続きます。この間のことはほとんど記憶に残りません。本人も周りも「今は別人だ」と心得て接した方が良いです。苦しいので、薬を使ってでも落ち込みを抑えることをすすめます。
3.急性期後半〜回復期 6〜12ヶ月
急性期後半から回復期は「何もせずに食べて寝る」という感じです。この段階ではまだパフォーマンスはあまり上がりません。
4.回復期〜再発防止期 12〜36ヶ月
本調子に戻るまでおよそ12〜36ヶ月と時間が掛かり、アップダウンを繰り返しながら終息していきます。この時期になる記憶がはっきりしてきますが、一番落ち込んでいた頃の記憶はぼんやりしています。医師も改めて「この人、こんな人だったの?」と発見することもあり、本人も「うつは脳の病気だったのですね」と発見します。周囲の人が「うつとはこういうものだったのだ」と理解するのもこの頃です。
抑うつエピソード全体を3ヶ月ぐらいで終わらせたいと思ったりするのですが、なかなかそうはいかず早くても1年はかかります。焦らずに取り組まなければならないのが精神科の治療です。それだけ患者さんの変化はゆっくりなのです。