今日は「眠りが大事」ということについて語ってみようと思います。
うつが良くなってきたころは寝る時間が伸びます。日中も眠くてなんだかボーッとしてしまい、別の病気になったのではないか、悪化したのではないかと不安に思われる方が多いようです。それは自然の流れで、しかもとても大事なことです。眠たいときは寝て大丈夫、それが治療になります。医療従事者にとっては寝ることが回復に繋がるのは当たり前のことで、精神科に限らず他の病気でも患者さんは寝ています。近年の研究でも寝ることの重要性がわかってきています。
コンテンツ
うつ病の4つのフェーズと眠気
うつ病には発症・急性期・回復期・再発予防の4つのフェーズがあります。
うつが酷い急性期はあまり眠ることができず、よくなってくると眠る時期が続きます。患者さんは、眠いけれど散歩やカウンセリング、リワークプログラムを受けたほうが良いのではと言うのですが、そういったことは回復期の後半で良いです。復職直前でも昼寝くらいして良いと僕は思います。
躁うつ病の躁状態の時と眠気
躁うつ病の躁状態の時はかなりハイな時があってだんだん回復期に入るのですが、その時も眠いです。回復期には躁とうつを繰り返してしまったりします。この時も寝ることが治療になります。
休息に関する誤解
・寝ること、食べること
眠てばっかりいる、食べてばっかりいると、本人だけでなく家族や周囲の人も不安になることがあります。治療者も、回復期になって患者さんが太ってくると焦って薬の副作用だと思ってしまうことがあります。もともと食べられなかったのが食べられるようになり太っただけということもありますので焦ることはありません。回復してくれば痩せたりもします。とにかく眠ること、食べることは大事なので焦らずにやっていきましょう。
・楽しいことをしないといけない?
映画、旅行、ジム、読書など楽しいことをしないといけないという誤解があるのですが、それも誤解です。しっかり休む必要があります。
・教訓にしないといけない?
病気を教訓にして人間として成長しなければいけないという誤解もあるのですが、そんなこともありません。病気をきっかけに認知行動療法やカウンセリングを受けなければいけないのではないか、甘えずに薬をすぐにやめたほうが良いのではないかと思われる人もいますがそれも必要ありません。寝てれば良いのです。
脳の回復には睡眠が必要
脳の回復には睡眠が本当に大事です。脳は意識が治療しているのではなく、無意識が作業することで良くなっていきます。精神分析的な意味ではなく、脳科学的な意味で脳の活動のほとんどは無意識で行われていることです。無意識の作業は寝ている間に行われたりするので、刺激を減らしてそれを妨げないようにします。援助するために薬は専門家の医師が処方しますので、ある程度任せてしっかり休むことが大事です。そうすればよくなります。
このようなことは、うつ病・躁うつ病といった気分障害だけでなく、統合失調症の休息期でもそうです。意外と神経症圏であっても寝ていますし、ボーッとする時期があってそれで良くなっていきます。
ただ、ずっと寝ていても良いのかというとそればかりでもないので、うつの回復期で言うなら回復期の後半は、散歩、カウンセリング、規則正しい生活なども大事です。それは主治医に相談してください。
刺激を減らすといえば、発達障害的な混乱がある人やアルコールなどの依存症の人も刺激を減らすことが大事です。